わたしとワルツを(仮)何故こんなにも緊張しなければならないのか。ステラは一口、また一口とエールを口に含む。異様に口が乾くのだ。
その緊張の根源であるセスはと言うと特に話させようと急かすでもなく、時間をかけて煙草を吸っていた。時折、器用に煙の輪っかを作っている。
「あの」
「うん?」
「占い師か何かなんですか…?」
「そう畏まらなくても」
ようやく話し出したステラがあまりにも強張った様子だったからか、セスは肩を揺らして笑った。
「占い師とか探偵とか大したもんじゃないよ。ただ昔から第六感みたいなのが強くて」
「……超能力ってこと?」
超能力ねえ、とセスは呟いてから、煙草を持っていない方の手で人差し指をすっと立てる。
「人の考えてることとか、場に残った念みたいなのを感じやすい。だから」
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