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    せきしょく

    @Sekishokudesu

    呪五夏/文字only

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    せきしょく

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    いい夫婦の日なので教師if五夏です!
    すけべまで書きたかったけどキリが良いので全年齢です_(:3」∠)_

    12/18の新刊ではこんな感じの二人がいちゃらぶセッするお話の他二本のスケベ話を収録したスケベオムバニスを!!!!出したいです!!!!

    進捗ヤバヤバなのでがんばります;;;;;;;;;

    入籍済みの教師if五夏がご飯食べるだけ 都内某所の高層マンション。大抵の人物は、そこが僕が借りている部屋の一室という認識でしかない。今日送ってくれた見慣れない顔の補助監督もきっとその一人だろう。僕を乗せて運転する人は何故か皆戦々恐々といった態度でハンドルを握るが、この子はどちらかといえば困惑したような表情をしていた。理由はまぁ、なんとなく解るけど。
     エントランスの前で車を降り、送ってくれたことへの感謝を伝えながらカードキーを翳せば、ピカピカに磨き上げられた自動ドアがゆっくりと開く。仰々しいそれが閉まる直前、五条さんってスキップするんだ、という補助監督の声を僕の耳が拾い思わず吹き出した。
     愛しい伴侶の待つ愛の巣に一刻も早く向かいたいと思えば、足取りも飛び跳ねるくらいに軽くなるというものだ。スーツ姿の初老の前を横切る際、ねー!と微笑みかけて右手を振る。お辞儀をした後顔を上げたコンシェルジュは、やはり困惑した表情を浮かべていた。

     くんくんと忠犬よろしく嗅覚を働かせ、今夜のメニュー当てゲームを一人開催する。甘辛いような匂いが鼻腔を擽り、胃がきゅるりと鳴き声を上げた。和食だな、と想像するだけで口元が緩む。酒と味醂と醤油と砂糖を入れとけば大体和食になるんだよ、なんて言いながら作る大雑把な家庭の味。それが、実家で出されていた味のしない質素な精進料理なんかとは比べ物にならないくらい美味いということを、僕の体はよく知っている。
    「たっだいまー!」
     ガチャリとドアを開けて、部屋中に響き渡る声量で帰宅を告げた。節電!と言い張る同居人のおかげで、玄関周辺は薄暗い。でもその分、廊下の先に続くダイニングから漏れる灯りが妙に輝いて見えるのが僕は好きだった。今日も一日何事もなく帰れたという安心感は、何物にも代え難い。
     ダイニングからひょっこりと顔を出した長い黒髪がさらりと揺れる。いつもなら僕の無事の帰宅を確認した後また引っ込んでしまうのだが、そのイベントにも変化が出るのはやはり件の呪霊の影響だろう。アイマスクを外し眼を凝らして視ても、飼い主の身体に影響を及ぼす様子は見られない。調伏に要する時間がまちまちというのも不思議な話だなと感じた。
    「おかえり。早かったね」
    「傑が心配ですっ飛んで来ちゃった。体、大丈夫?」
    「問題ないよ。今日は色々とすまなかったね」
    「なーに言っちゃってんの!僕は傑の手料理が食べられると思って楽しみにしてたのよダーリン♡」
    「ふふ、ありがとう……それじゃあ手を洗って着替えておいで、ハニー」
     普段なら素気なく終わるであろう夫夫の会話も弾む弾む。これが上機嫌にならないわけがないでしょ。こんなこと言ったら何だけど、ぶっちゃけ僕は今回の呪霊にめちゃくちゃ感謝している。傑に取り込まれた上、上手く馴染んでくれなくてありがとう!ってね!

     ダイニングテーブルに並んだのは根菜と豚肉の甘辛煮、生野菜のサラダ、焼き茄子の入った味噌汁とほかほかの白ご飯。青菜のお浸しとひじきの煮物は冷蔵庫のタッパーに詰められていたものたちだった。
    「残り物ばかりでごめんね。買い物に行く暇がなくて」
     眉尻を下げてそう謝る傑にまったく非は無いし、むしろ冷蔵庫の中身たちだけでこれだけの鮮やかな食卓を作り上げるその手腕には惚れ直すしかない。冷めないうちに食べようかとどちらともなく促して手を合わせれば、幸せが立ち込める夕食の時間が始まった。慣れ親しんだ傑の味は、一日働いて空っぽだった心身にじんわりと沁みていくようだった。すべての皿に箸をつけその度に美味いと素直な感想を溢せば、傑は細い目をより一層細めてはにかむ。美味いと可愛いが大渋滞である。
     食事中の話題は、傑が今日一日をどう過ごしていたかについてだった。思った事を口に出してしまうというのは想像以上に不便だったようで、傑は退勤してから真っ直ぐ帰宅したと言う。突然の休暇は真面目な彼にとって罪悪感を生む材料となり、何か動いておかなければ気が済まなかったらしい。たまのオフくらいソファーでゴロ寝でもしてればいいのに、と思ったが、それができないのもなんとなく予想はしていた。結果的に放置してしまっていた部屋の掃除を始めたら、これがまた止まらなくなったとのこと。
    「これもコイツの影響なのかなぁ。一つ気になりだしたら、あっちもこっちも気になってしまって……」
    「でもおかげで部屋中ピカピカだよ。なんか、清々しいって感じ!ほんと、ありがとね」
     最大限の感謝を込めて言葉を紡げば、目の前の顔が嬉しそうにふにゃりと緩む。うーん可愛い。可愛すぎて今齧っているデッカい人参も甘く感じる。今度は一緒にやろうよ、いっそ模様替えとかしちゃう?なんて話を進めながら器の中身を口へと運ぶ。温かな料理と空間に身も心も満たされていく心地だった。
    「あっ、でね!一番頑張ったのは、風呂場なんだ」
     ピカッ、と音がしそうなくらいの笑顔で傑が言う。可愛いは既に天元突破していた。テーブルを挟んで抱き締めたくなるのを必死で堪える。傑は、日頃から自分の働きを自慢するようなタイプではない。つまり嘘が吐けなくなった今、僕に対してそんな話をするということは幼い子供の言う駆けっこ一等賞獲ったよ!と同じ類なのではないかと考えた。勘弁してくれ、可愛すぎる。そう思うも声には出さず、茶碗に残った最後の一口を咀嚼し飲み込んでから会話を続けた。
    「いやーん、傑ってば天才ちゃん♡じゃあ今日はぁ、僕と一緒にお風呂入っちゃう〜っ?」
     本気半分、冗談半分くらいのつもりで茶化し気味に問い掛けた。入籍し家族になったとはいえ、すべてを晒して無防備になる瞬間まで一緒、というのは抵抗感を覚える時があるだろうと考えてのことだ。実際、傑はこの手の話にはあまり乗ってこなかった。相変わらず地方の任務を積極的に熟すおかげで、自宅でしっぽりなんて時間もそう多くはない。僕たちにとって結婚とは心の繋がりで、この家は二人の帰る場所に過ぎないのだ。
     ──と、そう思っていたわけだけど。
    「……ぅん、はいる……」
     ぽぽぽ、と花が咲くように端正な顔面から首元までを赤く染め上げながら頷く姿を見たら、時が止まった気がした。カラン、と軽い音を立てたのが自分が落とした箸であることに気付いて、それらを拾いながらフーーー……っと静かに息を吐く。その声を聞いて何か勘違ったらしい傑が慌てて弁明するのをぼんやりと聞いていた。
    「……ァ……や、ごめっ……冗談だったよね!すまない、なんか舞い上がってしまっ……て……」
     ゆらりと立ち上がった僕を見遣る傑の言葉が、次第に窄んでいく。やだなぁ、そんなに怖がらないでよ。いや本気で怖がってはいないだろうけど。ちょっと僕のヤる気スイッチを入れてくれちゃったおかげで真顔になっているだけなんだから。
    「……傑、今日一日、家の事してくれてありがとうね」
    「え……?あ、うん……」
    「傑は一日頑張ったからぁ、あとは僕が頑張るね」
    「……あっ、えっと……なにを……?」
    「んー、手始めに洗い物と洗濯かな!あ、傑はリビングでテレビでも観てのんびりしててね」
     だって、と呟いてから熱を持った右耳に唇を寄せる。大袈裟に揺れる肩をあやすように手で撫でれば、息を詰める声が聞こえた。
    「……食べてすぐだと、ぐっちゃぐちゃに突き上げられるのしんどいでしょ?」


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    せきしょく

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    すけべまで書きたかったけどキリが良いので全年齢です_(:3」∠)_

    12/18の新刊ではこんな感じの二人がいちゃらぶセッするお話の他二本のスケベ話を収録したスケベオムバニスを!!!!出したいです!!!!

    進捗ヤバヤバなのでがんばります;;;;;;;;;
    入籍済みの教師if五夏がご飯食べるだけ 都内某所の高層マンション。大抵の人物は、そこが僕が借りている部屋の一室という認識でしかない。今日送ってくれた見慣れない顔の補助監督もきっとその一人だろう。僕を乗せて運転する人は何故か皆戦々恐々といった態度でハンドルを握るが、この子はどちらかといえば困惑したような表情をしていた。理由はまぁ、なんとなく解るけど。
     エントランスの前で車を降り、送ってくれたことへの感謝を伝えながらカードキーを翳せば、ピカピカに磨き上げられた自動ドアがゆっくりと開く。仰々しいそれが閉まる直前、五条さんってスキップするんだ、という補助監督の声を僕の耳が拾い思わず吹き出した。
     愛しい伴侶の待つ愛の巣に一刻も早く向かいたいと思えば、足取りも飛び跳ねるくらいに軽くなるというものだ。スーツ姿の初老の前を横切る際、ねー!と微笑みかけて右手を振る。お辞儀をした後顔を上げたコンシェルジュは、やはり困惑した表情を浮かべていた。
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