アニバーサリー(記念日) ギノは記念日を祝うのを少し嫌がるところがある。別に本気なわけじゃないだろうが、ここまでは幸せだったと区切りをつけるのを、怖がっているようにも思えた。俺の考えすぎかもしれない。けれど付き合い始めた日や、初めてキスをした日、セックスをした日、可愛らしいプロポーズをした日なんかにギノはナーバスになる。それはきっと、俺がことごとく裏切ってしまったからなのだろう。きっとギノはまた俺がどこかに行ってしまうと思っているのだろう。だからあんなふうに、俺の申し出を断ったのだろう。
話は数日前にさかのぼる。付き合い始めた二十年ぶりの日が近づいてきたから、俺はディナーの予約を入れようとした。そのためにシフトを調節して、ギノも休むようにと促そうとした。しかし彼は仕事があるからと断り、今度にしようと言ったのだ。二十年目だ、に十年目なのにこれだ。俺はしばし呆然として、それを花城にからかわれた。そして今日が二十年目の日で、ギノはいつもと変わらず仕事に励んでいる。
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