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    takaki_0510

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    POIPOI 24

    takaki_0510

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    とろんさんが御使い狼くんのイラスト描いてくれたのでさらっとくろねこものがたりをば。

    黒猫の足跡と掃除とお風呂騒動と 山にあるとある神社。
     世間で話題に上った台風も全て過ぎ去り、太陽がしっかりと顔を出す。

    「は~!ようやっと天気が良くなった!これで掃除ができる!」

     この神社にお仕えする狼くんは、今がチャンスとばかりに溜まりに溜まっていた掃除を開始する。
     強風で折れ落ちた枝や飛ばされてきた落ち葉などを箒で集めて積み上げる。この辺は後ほどまとめて燃やすとして、周辺が終わったら次は境内である。
     雨上がり特有の湿気でおちた埃を全て箒ではき、仕上げの水拭きをしているところでそれは起きた。

     トテトテ……という音とともに黒い何かが視界の端を横切った。そちらを見ると黒猫が歩いている。数年前からよく遊びに来る黒猫だ。

    「あれ?ずいぶん久しぶりだね?元気にして……」

     そして気が付いてしまった。その黒猫の足元に、見事な足跡があるということに。そしてそれは、自分がすでに掃除をした場所に続いているということに……。
     よく見ればその黒猫はその毛に折れた小さな枝葉を絡みつかせており、泥の様な汚れもついている。足跡が付いてしまうのも納得である。

    「……」
    「……」
    「……」
    「……にゃ、にゃぁ」

     ジィ~!と黒猫を見つめる狼くん。ごまかすように笑う黒猫。

    「確保!」
    「にゃぎゃ~!」

     とっさに逃げようとする黒猫をぎっちりと捕獲する狼くん。そこでさらに気が付いてしまう。その黒猫は濡れていたということに。そして……。

    「黒猫くん?ちょっと……臭うよ……?」
    「にゃ……」

     その言葉に、黒猫は一気に大人しくなった。そう、その黒猫からはわずかに生臭いようなおかしな臭いがしていたのだ。

    「もしかして、また食べられてたの……?」

     この黒猫、いたずら好きが影響してあちこちでちょっかいを出しているらしく、一部大型の強者には非常食としてちょくちょく丸のみにされているらしい。その度に転移魔法などを駆使して逃げ出しているようである。
     おそらく、このヌルついた液体はその強者の胃液なのかもしれない……。

    「お風呂でしっかり洗おうね?」
    「……にゃぁ」
    「嫌がってもだめだよ?綺麗にしておかないと、また捕まっちゃうよ?」
    「にゃっ!」
    「それじゃ、ちょっと大人しくしててね?」

     そう言うと狼君は黒猫をそっと掃除の終わっていない場所に降ろすと、手早く残りの掃除を済ませていく。
     そして黒猫を抱えると浴室へと直行したのだった。


     この神社の浴室は氏子にも開放されている温泉でもあり、源泉からお湯を引き込んでいる。
     昔はよくたくさんの人が朝から利用していたが、今は人も少なくなり夕方から夜にかけてしか利用する人がいない。
     とはいえ、そこそこ里はにぎわっているのでそれはそれでよい。

    「さ~て。まずはこのドロドロを流さないとね~」
    「みゃ~……」

     最初に毛に絡んだ枝葉を取ってやり、つぎにそっとお湯をかけて流していく。毛の奥まで謎の液体が入り込んでしまっているのか、桶のお湯を四回ほど変えてようやっとヌルついたものが取れた。
     そのまま次は黒猫専用に買った猫用シャンプーで泥汚れをしっかりと落としていく。

    「なんでこんなに真っ黒なの……?」

     汚れが溶けだした桶の湯はすっかりと黒くなってしまう。再びお湯を取り替えて洗っていく。
     お湯が汚れ無くなったので流すのを終えてタオルで包む。

    「ちょっと待っててね」

     ついでなのでそのまま自分の掃除汚れも落とすことにした狼くん。
     体を洗って、湯船はやめておくかと片づけようとしたところで足元に黒猫が来たことに気が付く。

    「ん?一緒に入るの?」
    「にゃっ!」
    「お風呂入るまでは嫌がるのに、濡れると途端に嫌がらなくなるよねぇ……」

     少し不思議に思いながら黒猫を抱きかかえると、一緒に湯船につかる。

    「もう少ししたら上がって、アイス食べようね」
    「にゃ~!」

     風呂上がりにタオルで包んで乾かしてやれば、しっかりきれいな毛並みになった黒猫。
    「ふにゃぁ~」
    「ほら、ちゃんとしたらこんなにきれいになった」

     最中アイスを食べながらゆったりくつろぐ黒猫を抱えながら自分もアイスを食べて一息つく。
     秋の気配もすぐそこまできていた。
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