Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    takaki_0510

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 24

    takaki_0510

    ☆quiet follow

    思いついたからなんとなく書いただけ。こんくんと同居する猫の怪異がちょっとだけお仕事するだけの話。

    猫又日記~弧拍こんの万事屋雑記帳~ 吾輩は猫又である。名前は……今のところない。
     「狐珀こん」という、人間社会に馴染んだ狐と共に暮らしている一般猫又である。
    ……永く生き過ぎたせいか、本当に一般猫又かは自分でも疑わしい。むしろ自分も怪異に属しているのでは?と思うが、それでも一般であると言い張りたい。

     そんな自分が何をしているかというと、狐珀こんの自宅兼事務所(前探偵事務所、現万屋事務所)にて猫ハラを要求されていた。

    「めんどくさい……」
    「そこをなんとか!」

     机の上で寝そべったりする猫に喜ぶ人間たちがいるのは知っているが、仕事の邪魔をされたいと望む奴は初めて見た。いや、猫の集会でそんな人間がいると聞いたことがあるような気がする……。

    「そんなことより仕事しなさいな……」

     今回彼が引き受けたのは猫探し。依頼人は小学生の男の子。名前は安藤拓篤くん。報酬はなけなしのお年玉1万円。
     探しているのはちょっと大きめの三毛猫のオス。特徴として尻尾にハートがあるらしい。

    「だいたい、猫探しなんてできるの?」
    「わからないけど、あんなに必死な姿見ちゃうとねぇ」

    ……この男、お人よし過ぎないだろうか?依頼料だって相場から見たらだいぶ低い(あの年代からしたら大金なのは間違いないだろうが)。

    「だってあんなに泣いてたんだよ?」
    「……」

     最初のうちは冷静だったが、話してるうちに涙で顔がぐしょぐしょになるくらい一生懸命に探しているのだろう……。まぁ、たしかにあんな姿を見たら手伝いたくなる気持ちはわからなくもない。
     ただまぁ……。

    「普通は見つからないだろうなぁ……」
    「ん?なんか言った?」
    「何でもない」

     そっぽを向くと彼は再び地図とにらめっこを開始した。自分を膝に抱きかかえながら。

     あの少年からは僅かだが同族のにおいがした。つまりいなくなった彼の飼い猫とやらは妖の域に足を踏み入れているということだろう。
     つまり、自分から姿を消したのは間違いない。そんな相手を一般人が探すなんて無理がある……。とは思うものの、同族を放っておくというのも寝覚めが悪い……。
     さてさて……。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー
    「で?お前さんがみけと呼ばれてた、たくまくんの家の猫かい?」

     眷属たちに手伝ってもらいながら周辺の猫たちに聞き込みを行って、ようやっと見つけたのは、予想通り妖に足を踏み込んだ猫又だった。

    「お前さん、命を複数持ってるな……?」
    「はい……」

     最近は見かけないが、たまにいるのである。「猫は命を九つ持っている」という逸話の様な者たちが。
     死を回避するという意味では究極の幸運体質なのだろうが、ストックされた命が尽きるまでは死ねないというもはや呪いの様なものでもある。どんな重症でも必ず救助されるし、その救助が間に合ってしまうので死にたくても死ねない。そういう意味では哀れなのだろう。
     
     そんな経緯ですれ違うこともあるだろうが、あの少年ならその辺は大丈夫ではなかろうか。と思うゆえに探すことにしたのである。

    「そもそもの話、あの子はお前さんが猫又だって気が付いてると思うぞ?」
    「え……?」

     彼の猫の尻尾を見る。先端が僅かに割れており、そこの黒毛によって見事なハートになっている。「尻尾にハートのある猫」で間違いない。

    「どうしてもだめならその時は手助けしてやるから。だから今回は帰ってやんなさい」

     2本のしっぽを揺らしながら言ってやれば、彼自身も本当は帰りたかったのか即座にうなずいた。



    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    「お兄さん!本当にありがとう!」

     翌日、狐珀こんに保護させたみけの画像をみた依頼人は、学校帰りに息を切らせて迎えに来た。
     再会を果たした少年は本当にうれしそうで、もう離すものかとでもいうように猫を抱きしめている。
     猫の方も、やはり本心は離れたくないのか少年に身を寄せている。
     ここから先は彼らの問題であるが、なんとなく大丈夫だろう。という予感はある。

    「でも、どうして手伝ってくれたの?」

     狐珀こんの質問には答えない。その代わりに、彼の頭にのしかかる。ついでに、眷属の猫たちも使って机を占領してやる。ご要望の猫ハラである。

     決して同情などではない。ただ、同じように怪異に足を踏み入れている、帰る場所のある者を放っておくのは寝覚めが悪かった。ただそれだけだ。
     チュールをよこせ。と肉球パンチで催促しながらそんなことを思っていた。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works