寝付くまでの一悶着 カタカタ、カチャカチャと部屋の中に小さな音が響く。
部屋はそれなりに明るいが、現在の時刻は午前1時に差し掛かろうとしている。
「なつのさま~。いい加減寝ましょうよぉ」
部屋の主であり恋い慕うお方に声をかける。
「う~ん。あとちょっとだから、先に寝てていいよ?」
さっきからずっとこの調子である。先日配信されたばかりのゲームが楽しいのはわかる。そして沼にはまるかのように時間が過ぎていくというのもわかる。
だが、だがしかしである。せめて生活が犠牲になりかけるのはやめてほしいというのが本音だ。
「むぅ~」
そう。あくまでもなつの様の体調を心配しているのである。けして、けっしてかまってもらえないから不満に思っているわけではないのである(重要)。
修行終わりや業務終わりにやっているので、なつの様の自由にさせてあげたい気持ちはもちろんある。だが、せめて寝る時間だけはきちんと確保してほしい。
ただでさえ修行に行くときにあくびをしながら、しかも若干ふらついているときがあるのだから。
さて、どうやって寝かせようか……。とりあえず、横にさせることさえできればそれで勝ちなのだ。問題は、どうやってそこまでもっていくかである。
などと悩んでいたら、いい考えが思い浮かんだ。やってることはいつもと変わらない気がするが、これならちゃんと布団に入ってくれるだろう。
「なつのさま」
「ん~……。ン」
カプリ。と首筋に軽くかみつく。そして驚いてこっちを振り向いた瞬間に口づけで口をふさぐ。頬をしっかりと挟み込んで逃がさないようにしながらその柔らかさを楽しむ。
最後にかるくペロリとしてから口を話すと、なつの様は完全にこちらに向き直っていた。
「おま……、いきなり何するんだよ……」
「なつの様?このまま最後までして、ぐったりしたところをベッドに運ばれるか。それともおとなしくここまでにして添い寝で済ませるか。お好きな方を選んでください♪」
自分のその言葉に、なつの様は以前のことを思い出したのかジトっとした目で見てくる。
「自分はどっちでもいいですよ?どっちにしても得しかないですもん」
「……おとなしく寝るから、せめてセーブはさせて」
「あい!」
勝った!
なつの様がゲームをセーブしている間にこちらも獣化して寝る準備に入る。なつの様にモフモフされながら寝るのが最近のお気に入りである。
あと、この時期は湯たんぽとしても重宝されるので一石二鳥だ。
「なんか、だんだんと変なことばっかり覚えていくなぁ」
誰の影響だろ……?とつぶやきながらも優しく抱っこしてくれるなつの様。
そして一緒の布団に入ってしばらくすると、心地の良い寝息が聞こえてきた。
なつの様は寝つきがよいほうなので、横にさせしてしまえばわりと簡単に寝てくれるのでとても助かる。ただ、添い寝してるときはがっちりホールドされているのでいたずらができないのが残念である。
心地よい寝息を聞きながら自分も眠りに落ちることにする。
翌朝。
自分の予想通り起きる時間がぎりぎりになって、バタバタしながら修行に出かけて行ったのはここだけの話。