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    kxxx94dr

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    94/ドラロナ(五十路、やもめ、Δ)ミニパパ
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    kxxx94dr

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    Δドラロナwebオンリー、開催おめでとうございます!

    これは約1年前、アニメを見てどハマりし勢いで書いたものになります
    なのでΔ未履修の時です
    94で初めて書いたものなので色々おかしいこともありますがせっかくなので

    シャモさんのこちらのイラストからです
    https://twitter.com/shamo_dr/status/1479138526537330688?s=20&t=aVkOYwRE

    #Δドラロナ

    Bubble「ドラ公! 俺も!」

     え、と振り返ったドラルクが見たのは、高く舞い上がった水飛沫だった。ぐっしょりと濡れて額に張り付く髪をかき上げると、目の前には随分と機嫌が良いロナルドが湯の中で笑っているのが見えた。いくら大きめのバスタブとはいえ、さすがに大の大人が向かい合って入れば、膝が当たり大分狭くは感じる。
     普段は自分から入ろうとはしないくせに珍しいこともあるのだと眺めていると、再びキラキラと光を受けた雫が目の前に散らばって肌の上で弾けて消える。あ、と声にする前にパシャという音と、からからと楽しそうに笑う声が浴槽に響いた。

    「ははっ、どんくせぇな!」
    「ロナルド君!? さっきから何なのだね!?」

     怒鳴ったところで愉快に笑う声だけが返ってくるだけだった。あははと笑いながら、再び手のひらで水を掬っては散らばしていく。指の隙間から溢れる水滴が、鮮やかな彼の爪先を濡らして怪しく光っていた。
     珍しいこともあるものだ。こうして彼が風呂を愉しむことも、こうして彼がここに来るまで気づけなかったことにも。ドラルクは濡れた頬を掻く。ここ数日仕事が立て込んでいたとはいえ、もう少し気を引き締めねば。何かあってからでは遅いのだから。まあ、今日は危険なことではなかっただけ良かったと、表情を緩めた。

    「いっくら待ってもドラ公出てこねぇから」

     ようやく返事らしい返事が返ってくる。不機嫌ですといわんばかりに口を尖らせて、青空みたいな瞳がじっと真っ直ぐに見つめてきた。部屋で一人の時、一体この瞳の奥で何を思っていたのかを考えると毒気を抜かれてしまう。

    「そんなに経っていたのか。気付いてなかったよ」
    「おせえんだよ」
    「何か用でもあったのかい?」
    「これやろうって言っただろ」

     何の約束をしただろうか。ドラルクは口元に指をあて、数時間前に話していたはずの今日の予定を思い返す。この後はパンケーキか何か作って、香りのいい紅茶でも淹れてゆっくりと部屋で過ごそうと思っていた。どこかに行く予定はなかったはず。
     ぱしゃんと高い音に視線を天井から目の前に戻すと、ロナルドはうつぶせになってバスタブから身を乗り出し床へと手を伸ばしている。何か取ろうというのか、もうちょっと、などと言いながらずりずりと体を外へとはみ出させた。自分とは違う引き締まった体躯が、徐々に水に隠されることなく現れる。

    「お、おいっ! ロナルド君!」
    「なんだよ、うるせぇなぁ……ん?」

     何か小さな物を握り締めた手をバスタブに置いて、ようやく体を起こしたロナルドは顔だけ後ろに向けると、そこにはのぼせたわけでもないのにほんの少し頬の血色を良くして、眠たげな重たい瞼を限界まで見開いたドラルクがいた。珍しい顔を見た。ロナルドも同じように目を丸くする。そしてにっと口角を上げた。
     背中に張り付いた襟足の髪を片側に寄せると、濡れた項からまっすぐに伸びる背筋がドラルクの目の前に晒される。ほんのりと赤みを帯びた肌の上を水が伝い落ちていく。

    「……すけべ」
    「なっ…! 断じて違うぞ!?」

     次々と飛び出す意味のない言い訳などロナルドの耳には届かないらしく、鼻歌混じりでバスタブの縁に肘をついて手にした何かを口元に運ぶ。動くたびに揺れる水のせいでバランスが取れず、ロナルドは足を伸ばしドラルクの体に絡ませた。ご機嫌でふうと息を吐くと、ドラルクの小言混じりの声を包み込んだまん丸のシャボン玉が浴室に飛んでいく。
     形を変え、ふわふわと飛んでいく。ロナルドが唇をきゅっと窄めると次々と生まれては消えていく小さな球体を、ドラルクは黙って目で追った。ようやく静かになった浴室で、ロナルドはまた振り返って笑う。

    「部屋でやっちゃダメって言ったのお前だろ?」
    「……確かにそうだが、その」
    「キレイだろ?」

     肩に乗せた足先でドラルクの顎をついとなぞれば、ガシガシと頭を掻いて目元を覆ってしまった。そんな姿がおかしくてロナルドは声を出して笑うと、もう一度ストローに口つける。
     ぱちんと弾ける音に、動きを知らせる水の音。二人の言葉を飲み込んだシャボン玉はいくつもいくつも舞い上がっている。何もない、ただ穏やかな二人だけの休日がそこにはあった。
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