習作 間隙の灯 地表から何百メートルも離れた空の上は風が強く、上を見上げれば星々の輝きがいつもよりも近く感じた。黒だけでない深い藍色、青、灰色などが入り交じって様々な姿を見せる空は、きらきらと光る宝石のような星々を撒き散らした天鵞絨のカーテンのようだ。
「どう?いい景色でしょ?」
耳元で声がして乙骨が視線をずらすと、一対の星がこちらを見ている。乙骨はその言葉にこくんと頷いた。無下限呪術で五条が宙に制止しているのは何度か見たことがあったが、まさか自分も同じような体験をするとは思わなかった。天幕を覆う星空と、眼下に広がる煌びやかな光。どちらも命を燃やす光のように美しく、言葉も忘れて目を奪われてしまう。
「憂太。もうそろそろ」
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