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    ドミキタ

    @11_13_26

    御倉、ユテ、ジェヨン

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    ドミキタ

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    プロ御幸xアイドル倉持 パロ
    on the 32 beatの続き

    #御倉
    cancelling
    #3B
    #きみくら2025
    #♦️A
    #ダイヤのA
    aOfDiamonds

    Step Left & Right「お疲れっしたー!じゃあかんぱーい!」
    合図とともにジョッキがぶつかる音がして、よく冷えた琥珀の液体が体内に取り込まれていく。
    暑い日の屋外、それも大仕事を終えた後ともなれば格別なそれを、一気にグラスの1/3ほどを飲んでしまう。

    海岸沿いのスタジアムやイベントホールをすべて会場にした、夏にぴったりな二日間の大型音楽イベントを無事に終えて、他のパフォーマーの方々と打ち上げと称した飲み会に、俺たちLPBも同席していた。
    普段あまり接点のないグループや人気バンドも飲み会に参加しており、そうそうたる顔ぶれの中に呼ばれて緊張していたこと、自分のメンバーとは席が離れていたことなど、要因はいくつもあったと思う。
    気づいた時には、まずいなと自覚するほどには飲み過ぎていたらしく、そのうちどうにもならなくなってしまった。
    「みぅきよんでぇ」
    「みゆき?YOICHIくんのカノジョさん?」
    「みうきにむかえきてもらうからぁ、よんでぇ……」
    「YOICHIくんアイドルだけど彼女いんの?LPBって恋愛禁止とかないの?」
    「お迎え呼んだらみゆきちゃん紹介してよ」
    「みうきぃ〜……」
    みゆきちゃん迎えに呼んであげるから番号出して、と言われてスマホのロックを解除しメッセージアプリの音声通話を起動して、
    「みうき〜、むかえきてぇ〜」
    と、自らで迎えを呼びつけた。



    「こんばんは。えっと、くら……LPBのYOICHIを迎えに来ました、御幸一也です」
    電話で呼び出してから10分ほど経ったころ、そう名乗りながら“みゆき“がどうにもならなくなった倉持のいる卓に顔を出した。
    焦茶のスラックスに、第一ボタンを外して腕まくりをしたワイシャツ、オレンジがかったブラウンのネクタイを締めた、会社員にしては体躯の大きい男が現れた。
    倉持の迎えを待っていた同じ卓の男たちは、“みゆき“がどんな女の子なのかを予想しながら待っていたがために、自分よりもデカイ男がやってきたことに、それなりにアルコールが回った頭では状況を理解するのに時間を要していた。
    「ほら、倉持起きて。帰るよ」
    男たちが呆然としている間にも、御幸は倉持の帰り支度を手伝い、肩を組んで立ち上がらせ、早々と店を後にしようと動いていた。
    「あ、コイツこんなんになって支払いしてないですよね。これくらいあれば足りますか?」
    そう言って紙幣を数枚スラックスのポケットに入れていた長財布から取り出して、一人分には多すぎる金額を机に置いてすぐその場を後にした。
    スーツ姿の大男が、ジャラジャラとキーホルダーやマスコットのついたバッグを背負い、自力で歩くことのできない酔っぱらいを引っ張るようにして歩く姿は、残された男たちの目になんとも滑稽に映った。
    「酔ったときに呼びつけるみゆきって、一体どういう関係の人だよ……」
    「めちゃくちゃ気になるのに連絡先もらうの忘れた……」



    「全くもう……大して飲めないくせになんでこんなになるまで飲むかな」
    倉持を後部座席に乗せて、キャップを開けたペットボトルの水を差し出してやれば素直に受け取ってくれる。
    吐くような気配がないことを確認して発進したがシートベルトをきちんと締めていなかったらしく、駐車場から出ようと左折した拍子に窓に頭をぶつける音がした。ルームミラーで様子を伺うと、呻き声付きで顰めっ面をしているのが暗がりでも見てとれた。
    「ぅう〜ん」
    「ちょうど地方遠征から帰ってきてたから良いけど、ちょっとでも予定違ったら俺まだ仙台だったんだからね?」
    今日までの3日間、仙台に本拠地を持つ球団との試合で千葉を離れており、明日の午前中に都内で取材がなかったらあと一泊していただろう。
    もし帰っていなければ倉持はどうやって家まで帰ったのだろうか、無事に帰れるのだろうか、と心配になる。
    「でも、帰ってきてたから、いいじゃねーかよ……」
    「もー……倉持が呼べばどこにだって駆けつけてやるって」
    「ヒャハ……プロ野球選手様が王子様きどってんじゃねー……」
    実際これまでに倉持に呼んだときは地方だろうが、海外だろうが、どこであろうと駆けつけたし、これからだっていくらでもそうするつもりだ。
    こんなクサイこと本人には言わないが、俺がしんどい時期に元気をくれた推しに、今度は恋人として可能な限りそばで支えてやりたいと心からそう思っている。
    「寝てていいよ」
    「んーん」
    人が運転している時は絶対に寝ないと決めている誠実な人の王子様か、悪くないな、と思いながら自宅に向かう最後の交差点を右折した。
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