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    yuewokun

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    ##sc16受けお題
    ##爆処景

    sc16受「女装」爆処景「女装するなら下着まで頑張る派?」
    「ガワだけで十分派」
    「諸伏は?」
    「えっ………………えっ?」
     二対の目がこちらを見る。さっぱり意味がわからない。なんのはなしなんだろう。
     談話室で適当な話題に花を咲かせていただけだったはずだ。最初は色んな人間がいたのに気付けばよくつるむ五人になって最後には3人だけになって。それで突然上がった話題に思わず固まってしまった。
     いったいなにがどうしてそんな話になったんだ。

    「諸伏は女装するなら下着まで頑張る派?」
    「いや聞き直さなくていいから」
     もう一度質問を繰り返す萩原に首を横に振った。そういう「え?」ではない。
     そもそも松田が律儀に答えていることにも違和感がある。それともこの幼馴染組はそういった話題をよく取り上げるのだろうか。オレたちはそんな話したこともないし思いついたこともないので、幼馴染にもいろいろあるんだろう。それにしてもなんだその話題は。
    「んー諸伏は女性物の下着履く時点でめちゃくちゃ恥ずかしがってくれそう」
    「ねえ勝手に想像しないで」
    「いや恥ずかしそうにめくりあげたスカートの向こうにあるただのボクサーパンツ。これはありだろ」
    「ありじゃないよ想像しないでって」
     真剣な顔で二人が言う。やめてほしい。そもそも女装なんてしない。
     それでも二人はオレの言葉なんてお構い無しに話を続ける。
    「今度の休み、着てみて欲しい服買ってくるから着て」
    「お、いいなそれ」
    「良くないけど!?」
    「諸伏も俺たちに着せたいものがあれば買ってきていいから」
    「いやないけど」
     オレを置いて二人は楽しそうにそれはもうノリノリで話をギュンギュンに進めてしまう。女装する気もないしさせる気もないという俺の言葉はまるっとスルーされている。全くもって解せない。


     後日本当に二人が服を持ってオレの目の前にやってきた。紙袋を差し出してきた時の二人の目はなぜだかキラキラしていた。純粋な少年のようなそれがとても眩しい。そんな表情、使うところが間違っていると思う。
     仕方なく受け取ってちらりと中を見ると随分とふんわりした生地が目に入った。紙袋の持ち手から手にかかる重力もそれなりで、随分重厚な衣装を持ってきたらしい。ぺらぺらのよくあるコスプレ衣装よりは数倍良い素材であろうことはわかった。
    「これ、俺だけが着替えるの」
    「諸伏がどうしてもって言うなら俺達も着るよ」
    「まあ女装なんてしたことあるしな」
    「あるの?!」
     爆弾発言に目を見開くと、松田がそのふわふわ頭を揺らして頷く。
    「高校の文化祭で俺らは着たことあるんだよ」
    「二年の時は男女逆転執事メイド喫茶だったし、三年の時は逆宝塚ミュージカルだったもんね。しかも逆宝塚の時は俺も松田も女役だったし」
    「一年のときも女装コンテストに強制参加させられたしな」
     予想以上に経験豊富すぎて開いた口が塞がらなかった。なんだか圧倒されてしまい、そのまま着替えを促されついうっかり頷いてしまった。そんなのはずるいと思う。
     ちなみに紙袋には律儀に女性物の下着がふたつ入っていた。色味も形も違う。
     どっちがどっちの趣味かは知らないが、それぞれ趣の違うそれに妙なリアルさを感じてしまい、あやうくSAN値チェックが入るところだった。こんなかたちで友人の性癖を知らされたくない。

     さて、その下着、どうしたものか。
     服はいい。ただの、というと語弊があるがまあクラシックなメイド服だ。ロング丈のそれは、少し動いただけでうっかり下着が見えてしまうなんてことも無ければ薄すぎて色々透けてしまうなんてことも無い。ただただ上等な衣装だった。もうこれに腕を通すこと自体にはそこまで抵抗はない。高校時代毎年女装をさせられていたというふたりの話をきいて、なぜだか自分も経験したことがあるような感覚になったのだ。
     しかしそうはいってもこの窮屈な女性物の下着を身につけられるかと言われると躊躇うものがある。もしかしてだが先日の萩原の口ぶりからして、彼は女性物の下着を身につける派なのだろうか。

     悶々と考えた末、なんとか決断した俺は衣服を整えて二人の前に立った。ふんわりスカートにフリルが付いた白いエプロン。襟も袖口のボタンもきっちり留めて、ヘッドドレスも装備した。露出のほぼない完璧なクラシカルメイドの完成だ。服装だけは。
    「お、いいねやっぱ似合う〜」
    「諸伏にはこういう清楚なクラシカルなのが似合うよな」
     二人が上から下まで見て楽しそうに声をあげて頷く。それからにんまりと笑って首を傾げる。
    「それで、下着はどうしたの」
    「それなんだけど……」
     ゆっくりとスカートを両手手持ち上げる。じいっのふたりの視線がそこに集中するのがわかった。
     あ、と萩原の声があがる。
    「着替えなかったんだ」
    「うん…………でも」
     メイド服のポケットからそれを取り出す。
    「二人が、着て欲しいって言うなら…………着るよ」
     片手ずつに持った、それぞれの用意した下着を見せびらかすと、ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
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