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    @chierumaji

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    平和なスペマスのお話をば……
    アニマスもいます。(友情出演のG▲も)

    タイトル通り、S▽に褒められたいS▲のお話

    いつも通り何でもいいよっ!て方向け(捏造とか)

    褒められたいS▲の話「▽〜、お昼休憩いたしましょう?」

    机に向かって書類を片付けていたA▽の元に、お昼休みになり、ウキウキとしたA▲がやってきた。
    「あ…‥もうそんな時間?ごめん、兄さん。僕まだこの後」
    「点検なら、先程私が済ませておきましたよ!」
    どやあ……と、効果音が流れてきそうな顔をしているA▲。
    「えっ!?あ、ありがとう……あ……でも、」
    「ふふ、貴方のことはお見通しなんですよ♪
    こっそり貴方の残ってる分もやってきちゃいました〜」
    「ありがとう兄さん!!ほんと助かったよ…流石ノボリ兄さん!!」
    「おやおや、そんなに褒めても何も出ませんよ〜」
    「兄さんは本当に凄いよ……何でも出来て、かっこいいよ……」

    そんな様子を、事務室の入り口から、S▲はじーっと見ていた。

    「……えっと……S▲さん、何か用かな……??」
    その視線がずっと気になっていたA▽はついついツッコんでしまった。

    「なっ、し、失礼致しました。隠れて見ていたのですが……」
    「ふふ、足しか扉で隠れてないですよ?」
    おぉっ!?と何故かびっくりしているS▲。
    入口から思いっきり見えていたのだ。
    「何か御用でしたか?」
    「実は、私の方の▽を探しておりまして……
    高確率で、お二人の所に来ているので、探していたのです。」
    「おやおや………もしかして。」

    A▲はコツコツと歩き出し、事務室から出て行き、数分後。

    「貴方がお探ししていたS▽様、お届けです〜」

    ぷらーんと、チョロネコを連れてくるかのように襟を掴んで、A▲の間食用の板チョコを加えたS▽を連れてきた。

    「やっぱり休憩室で冷蔵庫を漁っておりましたよ。」
    「あのね、このチョコ、そんなに甘くない。甘くないチョコ好きじゃない。」

    もごもご、ごくん。

    チョコを口の周りにつけつつ、食べ切ったS▽。
    「なら、食べなければ良かったのでは?」
    ポケットからハンカチを取り出し、口の周りを拭いてあげるA▲。
    「クダリ、勝手に他人の物を食べるんじゃないですよ。」
    「兄さん、お菓子食べ過ぎるから僕が買ってくる以外食べないでって言ったよね?」
    こっそりとA▽はA▲の耳元で釘を刺した。
    「買っておいただけで、私は食べてませんよ〜。だから無罪です♪」
    A▲はS▽を渡した。
    「あのね、いつもあの冷蔵庫お菓子ある。ボクらの方、お菓子無い。」
    「無駄遣いですし、お菓子なんか無くとも3食きっちり食べれば良いでしょう。」
    すると少し表情は全く変わらないが、むすっとした印象を受けた。
    「ほら、仕事終わってないのですから帰りますよ。」
    ズリズリと襟を掴みながら引きずっていった。

    (…………おやおや。何か、面白そうな事が起きそうな予感、ですね♪)
    その様子を見て、A▲は、口元に手を当て、何かを考えているようだった。


    ーーーーーーーー

    『ありがとう兄さん!!』
    『流石ノボリ兄さん!!』
    『兄さんは本当に凄いよ……何でも出来て、かっこいいよ……』

    (………兄さん、ですか。)

    ズリズリと引き摺りながらS▲は悶々と考えていた。

    (……流石……凄い………かっこいい………

    ……………)
    「あのね、ノボリ。」

    (べ…‥別に、羨ましいなどということは、ありませんが。

    ………ですが。)

    「あのね!」
    「おっ!?……な、んですか。私は、別に、」
    「あのね、事務室すぎてる。どこいくの。」
    その場所は、事務室と全く別のところだった。
    思考を巡らせているうちに、通り過ぎてしまっていたようだ。
    「…………散歩したかっただけです。」
    「ボクのこと、ヨーテリーかなんかだとおもってるの?」
    不貞腐れてしまったようだ。
    「違います。少し考え事をしていただけですし、お前は勝手にどこかに行くので襟を掴んでいるだけです。」
    「……………」
    「……ほら、行きますよ。」
    またズリズリと引きずっていく。
    「……………なのに。」ボソッ
    「なんですか。文句があるならハッキリと言いなさい。」
    「……………あのね、つまんない。」
    「…お前は何に不貞腐れているのです。」
    少し鋭い目線をS▽に向けた。
    「あのね、めんどくさい。さっさといこ。」
    するりとS▽はS▲の手から逃れ、ぴゅーっと去ってしまった。

    (…………)

    『あのね、つまんない。』
    『あのね、めんどくさい。』

    (………………クダリは、私の事を、好いている訳、ないでしょうね……

    ………いや、私は、何を考えているのでしょうか。
    そんなことどうでも良いでしょう。)

    『兄さん!』
    『ありがとう!』
    『流石!』

    (……………いやいやいや。アレがそんな事)

    『あのね、ノボリ、ありがと。』
    『めずらしくやるじゃん。』
    『………ノボリ、にーさん。』

    (………………いやいやいや。)

    ゴツゴツとS▲は壁に頭をぶつけて、煩悩を振り払おうとしていたのを、数人の部下たちは微妙な顔で見つめていた。


    ーーーーーーーーーーーー

    (………なんで?)

    ふとS▽が自分達の所の休憩室の冷蔵庫を開けると、S▽がお気に入りのチョコが10個以上入っていた。
    冷凍庫には、自分が好きなアイスもたくさん。

    いつもでは到底あり得ない光景に、S▽の頭の中にははてなマークがたくさん浮いていた。

    (差し入れ?お土産?なにこれ。こわい。)

    (ふふん。どうですか。Aマスさま達のところよりも沢山入れさせて貰いましたよ。

    ほら、普段なら絶対ダメですが、特別ですよ。)

    今度はしっかり顔以外出さないように扉の影から見つめていた。

    しかし、S▽は何も取らず、パタン、と、冷蔵庫を閉じ、さっさと部屋を後にした。

    (…………何故です???)

    お菓子やアイスを沢山詰め込む作戦は、儚くも失敗したようだ。


    (これならどうです。)

    次は、S▽の机の上に残っていた書類を全て終わらせておいて『やるじゃん』と言わせる作戦だ。

    S▲は何気なく隣の席に座って、チラチラとS▽の様子を見つめていた。
    トイレのために席を外していたS▽が帰ってきた。
    「………」
    帰ってくると、じーっと自分の机を見つめているS▽。
    (ほら、どうです。全て終わらせたのですよ。)
    チラリと見ると、S▽は、どういうわけか、帰りの支度を始めた。
    「えっ、ちょ、待ちなさい!」
    「なに?しごとおわってるから、かえるだけ。」
    「私がやっておいたのですよ!」
    「え、いつもとおなじじゃん。」
    「あ…………」

    いつもS▽は気が向かないと仕事をしない。
    そのため、ほとんど仕事はS▲がやっているのだ。

    「ボク、余計なことしかしないから、最低限しかしなくていい、ってノボリがいった。でしょ。」
    「う…………」

    こうして、『ありがとう』と言わせる作戦は失敗したのでした。


    それからも、嫌いな食べ物を抜いておいてあげたり、欲しいと言っていた物を買ってやったりしたが、全くS▽は素知らぬ顔をしていたのだ。

    そんなある日、S▲がまたふらりと何処かに行ってしまったS▽を探していた時だった。

    「あのね、いいの!?」
    (クダリの声……?)
    声の聞こえた方向へ向かうと、廊下の一角でS▽がA▽と話しているのが見えてきて、特にやましい事もないが、陰に隠れてその様子を見ていた。
    「うん。兄さんが偶然見つけて買ってきたみたいで、僕らじゃ食べきれないからお裾分けに来たんだ。後でS▲さんにも渡して欲しい。」
    白い箱……ケーキ屋さんなどで使われているような箱をS▽に渡しているのが見えた。
    S▽の目がキラキラとしていて、とても嬉しそうだ。
    「あのね、A▽のにーさんにもおれい、いっておいて。」
    「……独り占め、しちゃ駄目だからね。」
    「あのね、ボクが貰ったから。」
    全く……と呟いて、A▽はそのまま去って行った。
    そしてS▽も嬉しそうに小さく鼻歌を歌いながらそれを持って腕をブンブン振りながら歩き出した。

    (…………私、は。)

    S▲も、しゅーん……という風に少し落ち込みながら廊下を歩いていった。



    ここだけの話、箱にはケーキが中に入っていたのだが、ぐっちゃぐちゃになっていた。

    ーーーーーーーーー

    「Sー▲ーさーまー」
    「………なんですか。」
    ずーん……と机に伏せていたS▲の元に、A▲が現れた!
    ……というように、少し楽しそうなA▲と何故かG▲もいた。

    「今少々忙しいのです。要件なら後にしていただけますか?」
    「いえ、わたくし達は用はないのですが、貴方の部下の方が書類を渡しずらそうにしてまして……」
    G▲が少し言いづらそうに、後ろにいる数人の部下の方を見た。
    「なっ!?申し訳ございません!!」
    バッ!と起き上がり、書類の確認をして、それをまた返した。
    「…………失礼致しました。少々、考え事をしておりまして………」
    「いえ、いいのですよ〜。」
    A▲はひらひらと手を見せていた。

    「………ただ一つ。貴方の悩み事を解決できるかわかりませんが、一言。

    …貴方は、貴方のままでいいと思いますよ?」
    G▲は何を知っているのか分からないが、ただそう言った。
    「………肝に、命じます。」

    何のことを示しているのかはわからなかったが、妙に説得力があり、その言葉が頭から離れそうもなかった。


    ーーーーーーーーーー

    (………少し、疲れました。………というか、もう、割とどうでも良くなりました。)

    はぁ、と、ため息を吐く。

    「あのね、ためいきはくと、しあわせにげる。にがしたしあわせ、ボクがぜんぶもらうから。」
    隣を歩いていたS▽がしれっと話しかけてきた。
    (………うるさいですね。)
    「……いま、うるさいっておもったでしょ。いつもうるさいのノボリ。」
    「はいはい。今少し気分悪いので話しかけないでください。」
    「はい、はいっかい。」
    「……………」
    イラッ

    「まぁ、でもゆるしたげる。」

    そっとS▽はS▲の耳元に口を寄せ、少し意地悪そうに言った。



    「いつもありがと、ボクのノボリおにーちゃん。」







    「……………………………



    ……



    …………






    ……………え???」



    S▲の脳が再起動した頃には、S▽はとっくにいなかった。

    そしていつのまにか大量に入れておいてた冷蔵庫の中のチョコも、冷凍庫のアイスも全てS▽のお腹の中に仕舞われていたとかなんとか。

    「だからお菓子やアイスを沢山食べるなと。」
    「…………….」(お腹痛い。)



    終わり
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