鼓動 居残りを終え、学校を出れば外はもう真っ暗だ。流川は自転車を押しながら、桜木とともに冬の夜の家路を辿る。桜木には、先月告白された。密かに好きになっていて、でも桜木はマネージャーが好きで、だから、バスケやってりゃ同じコートに立てるから、それでいいかと思っていたのに、思いがけない事態にびっくりして、てめーマネージャーはいいんか、と聞いてみたら、ハルコさんはそういうんじゃねぇんだよ…とはっきりしない返事を寄越されたが、そういうのじゃないなら、と流川は納得する。そう言えば告白されて頷くのは初めてだったので、いいけど、と、何となくすっとしない答えになってしまったが、流川が言った直後、緊張でこわばっていた桜木の顔がほわほわと綻んだので、こいつも納得できたらしーからこれでよし、と流川は満足した。つき合い始めて、登下校は一緒にしている。朝、お互いに何の用事もなければ待ち合わせしている場所で、帰りは別れた。今日も辿り着いてしまう。どちらともなく、足を止めた。
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