吸血鬼の結婚の禁忌が云々と考えていたのは、まあ拳ミカの話なんですけど、兄弟婚に抵抗のない土壌で育ったケンとミカエラが日本に来てどうなるかって話を考えていたわけですよ。


幼い頃からニコイチ兄弟で仲睦まじく、周りからも「まああの子たちは将来結婚するわねオホホホホ」くらいに見られていた２人。
出奔の頃は成人してるけど睦まじさは微塵も変わらず「再会した暁にはもう永遠に離れないっ！」と誓い合い、（トオルを潰さない程度に）ガシッと抱き合い劇的なBGMが挿入されて全米が泣いちゃう別れのシーン。

ケンは明治大正昭和を日本でトオルを育てて過ごす。透くん何歳なんや。知らんけど。その間に、あれ？兄弟婚ってとんでもない？という価値観が全方向から襲いかかってくる。
透くんは日本の価値観の中ですくすくと育っていく。
人間社会で暮らすためには、その社会の価値観から大幅にずれた生き方を透くんに示すわけにはいかない。

第一次・第二次大戦をも潜り抜けてようやく再会が叶ったとき、この点においての価値観がずれた三人ができあがってるんじゃないかと。

ミカエラの意識：兄さんやっと会えたね愛してるいざ添い遂げましょう！ああトオル可愛い！
ケンの意識：ミカエラを愛してるけど、どうすりゃいいんだ透に何て言おう
トオルの意識：兄２人が恋人である可能性なんて微塵も想像してない。（言われたら自己の培った倫理観に反する。）

さあ！ここからどうなる！どうする長男！！　慕ってくる次男！　純粋な目で真っ直ぐ見てくる三男！　ダンゴ三兄弟！

トオルに言えないことはできない。兄弟として仲良く暮らしていこう、どんな形でも愛情は変わらないよ、と話し合って昭和平成令和と楽しくポンチに、むしろ透くんに見せづらいんじゃないかその性癖は大丈夫か、な生活を送っていくうちに、賢弟はなんとなく兄２人の睦まじさに気付くと共に、広がる交友関係の中で吸血鬼特有の価値観も学び理解していき、人間社会のジェンダー意識のアップデートも後押しして、「あれ？兄貴たちって好き合ってねえ？」と勘付いていく。むしろ恋仲から離れようと頑張ったミカエラのツンデレが逆効果。「ミカ兄ってばケン兄のこと好きすぎだろ。あれ？ケン兄は、あれ？あのスケベハゲ、女好きなんだよな？あれ？」忍ぶれど色に出にけり新小岩。新横浜においては、恋すてふ兄の名まだき立ちにけり、である。人知れずとかバレバレなんだよ。詠み人・賢弟。

そんな、当人２人がなんとか人間社会の言う兄弟やろうね、と積み重ねた努力を、周囲が生温かく微笑みながら突き崩していく。先頭で旗を振っているのは賢弟である。
「トオルーッッ？！？！？！」

サウイフモノヲ
ワタシハヨミタイ