僕と夏と。(💙side)世間は夏休み真っ只中だが、あいにく夏期講習というものが課されている僕らは毎朝のように登校している。
家で自堕落に過ごさないようにということだろうか、どうせ勉強するなら静かな図書館で自習したいところだ。
―――終業を知らせるチャイムが鳴る。
生徒たちは各々帰り支度をし始め、ある者はスマホ片手に教室を後にし、ある者は教師に質問を投げかけている。
自分もほとんど惰性でリュックを背負って顔を上げると、廊下に見慣れた金髪の男が手を振っているのが見えた。
「ルカも終わったんだ。おつかれ」
「アイクもおつかれ。そっちの夏期講習、大変?」
僕と並んで歩きながらそう聞いてくる彼は、前期の試験で壊滅的だった科目の補習を受けている。クラスメイトなのだが、そういうわけで夏の間は別室なのだ。
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