エマの心音を聴くトワのトワエマ「嗚呼、キーパー様は「生きている」のだな」
エマの胸にそっと耳を当てながら、トクトクと規則正しく脈打つその音にトワは意識を預ける。自分には発することの出来ない、柔らかで力強い命の息吹を感じるその音に、目の前の彼女、エマが確かに"生きている"と強く実感した。
だがそれと同時に、生きていると言うことは寿命が存在すると言う事、その自然の摂理には抗うすべもない。……人間であるエマは、必ず自分を置いて先にあちらへと逝く。機械<オートマタ>のこの身では彼女と一緒に年老いる事など出来ず、あちらへ行くことも出来ない。故にこの姿を保ったまま、その最後を看取るのだ。息もしない、心音ももう聞こえない彼女の冷え切った手を握りながら。
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