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    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

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    伊那弥彪

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    支部に投稿した学パロうぎゅ短編

    ##短編集

    宇妓学パロ短編3点【キスの日】

    今日はキスの日らしい。なので俺からじゃなく可愛い恋人からのアクションを待ってたが、学校じゃなんにも無し。放課後も今日はとっとと帰りやがった。俺からやっときゃ良かったと後悔したよな。そして今日も後1時間になったわけだが…
    良し。明日腰抜けにしてやる。今日やれなかった分、明日ガッツリでろでろどろどろにしてやる。キスでな。
    そう決意した時LINEが鳴った。
    スマホを見ると送り主は謎の鎌をアイコンにした可愛い恋人。速攻でLINE開くわな。LINEの画面には『即消せよ』の4文字。
    ……何を?そう返そうとした時に動画が送られてきた。動画のサムネは可愛い恋人が自撮りしてるもんだった。写真嫌いのアイツが珍しいな、と思いながら動画を再生すると…
    待て。待て待て待て待て待て待て。
    な ん だ こ れ
    動画の内容は、可愛い恋人が視線を泳がせながら画面に向かって「チュッ」と音を立てて唇を尖らせるもんだった……その後、顔を真っ赤にして口を抑えてる可愛い恋人が一瞬だけ映り動画は終了した。
    動画を見終わった俺は速攻で返信した。
    『保存した』
    消すわけねぇだろ。鍵付きもんだわ。
    可愛い恋人からは『消せや!』と送られてきたが、『無理』と返し、その後通話に切り替えて、可愛い恋人の声を聞きながら俺は今日を終えた。



    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



    【体調不良】

    「うぅぅん…」
    「どうした?顔色わりぃぞ」

    放課後いつも通り美術準備室にやってきた妓夫太郎はどこか具合が悪そうにしていた。そんな妓夫太郎を心配して宇髄は顔を覗き込む。

    「いや…朝から何か気持ち悪くてなぁ…」
    「バカタレッ!だったら学校休めよッ!」
    「そしたらアンタに会えねぇだろぉぉ」
    「だぁぁもう!それは反則だわ!」

    具合が悪いのに自分に会いたいという理由で登校してきた可愛い恋人を宇髄は抱き締める。だが、その身が心配なのには変わりなく…

    「んで?心当たりは?」

    妓夫太郎に具合の悪さの心当たりを聞くが、

    「んあぁぁ……悪阻?」
    「……」

    宇髄の心配をよそにヘラッと笑ってふざけた返答をしてきた妓夫太郎。宇髄は思わず真顔になる…

    「責任取ってくれよなぁぁ」

    宇髄の真顔に構わず妓夫太郎はその後もふざけていくが…

    「…そりゃおかしな話だ。俺はお前に手ぇ出してねぇ筈だが?」
    「…宇髄?」
    「どこの誰のガキだ?ん?」

    ググッと顔を近付け、真顔で圧を掛けていく宇髄。そんな宇髄からの圧に流石の妓夫太郎も焦りを見せ、冷や汗をかきはじめる。

    「ぃゃ、ちょ…ぅ、宇髄?」
    「それともお前はキスで妊娠しちまう体質なのか?それなら今後お前にキスはできねぇなぁ」
    「〜〜ッ!だぁぁぁッ!ふざけて悪かったって!だからそんな事言うなよなぁぁッ!」
    「そんな事?」
    「今後俺にキスできねぇって今言ったじゃねぇか!」
    「…キスして欲しいのか?」
    「当たり前だろうがッ!」
    (可愛過ぎんだろコイツ)

    宇髄としては少しだけ懲らしめてやるつもりだったが、素直に気持ちを伝えてくれた妓夫太郎が愛おし過ぎて思わずそのまま唇を重ねてしまう。
    ちゅっ、ちゅぅッと音を鳴らし、軽く唇を吸ったり舌先をツンツンと突く、いつもよりも軽めのキスを終え、宇髄は妓夫太郎の口を解放した。

    「ぃ、いきなりはすんなよなぁぁッ」
    「お前がキスして欲しいって言ったんだろ」

    突然の宇髄からのキスに眉間にシワを寄せながらも、頬を赤らめて照れてる事が伝わってくる妓夫太郎。そんな妓夫太郎に宇髄は思わず笑みが溢れ、今度は触れるだけのキスを唇に当ててくる。

    「んで?具合わりぃ心当たりは見つかったか?」
    「んぐ…いや、特には…」
    「夕べ変なもん食ったとか」
    「んん?昨日の晩飯は梅が珍しく作ってくれたハンバーグだったけどなぁ。まぁちょっと黒焦げだったり、ちょっと生煮えだったりしてたけど食えなくはなかっ…」
    「100%原因それじゃねぇかッ。薬局で腹薬買ってやっから飲めよッ」




    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



    【ファーストキスは開戦を告げる】

    意を決して告白した
    そしたらOK貰った
    それが数分前…

    「んんッ‥んッ」

    美術準備室でリップ音と蜜液の絡む音が響く。
    ちゅっ、ちゅる‥くちゅ、くちゅり‥ちゅぅッというその淫靡な音は妓夫太郎の耳に入り、彼の体温を上げていく。

    「んあッ…あふッ‥ふぅッ」

    口の隙間から溢れる声と熱い吐息。その熱で赤く染まっていく頬。
    想い人に抱き締められているという状態だけでも体温は暴走してしまいそうなのに、濃厚なキスのせいで妓夫太郎の身体は溶けてしまいそうなくらいに熱くなっていく。
    思わず想い人が着ているパーカーの胸元をギュッと掴めば、想い人は口の隙間が無くなる程唇を密着させ、妓夫太郎の口内を更に犯していく。

    「んんッ…ん〜ッ」

    目をギュッと瞑り、そのいつ終わるのかも分からない濃厚なキスに妓夫太郎は蕩けていく。
    頭の奥がジンジンと響き、キスだけなのにまるでSEXをしているかのような錯覚に陥る程の快楽。目尻に涙が溜まりだし、口からは唾液が零れ落ちて、腰に力が入らなくなってしまう。初めてのキスがこんなにも濃厚なものになるなんて思ってもいなかったと、妓夫太郎は蕩けていく頭の片隅で呟く。

    「んぁッふあッ…あッ…」

    長い濃厚なキスが終わり、ようやく解放された口からは舌が名残惜しそうに糸を引いていた。ハァハァと激しく息を乱し、目を瞑りながら真っ赤な顔で自分を見上げている妓夫太郎に、彼の想い人宇髄は微笑みを浮かべる。

    「エッロい顔するなぁお前」
    「ッはぁ…ディ、ディープなやつ、してくんなよなぁぁッ」
    「恋人同士のキスっつったらこれだろ?」
    「いや多分違うッ…初めて‥しかも、ついさっき告ってOK貰ったばかりでするやつじゃ無いッ絶対」

    意を決して告白をしたら、「俺もお前の事好きだぜ。じゃ、今から俺ら恋人な」と笑顔であっさりと了承され、それだけでも面を食らっていたというのに、その後すぐに先程の濃厚なキスを受けるハメになってしまい、妓夫太郎は「コイツ‥軟派過ぎね?」と宇髄の倫理観を疑問視してしまった。

    (まぁ、それでも好きな事には変わりねえけどなぁぁ)

    惚れた弱みというやつなのか。倫理観が狂っていたとしても、宇髄になら全て許してしまうだろうなぁと妓夫太郎は確信していた。例えそれがSEXだとしても。

    「…な、なぁぁ」
    「ん?」
    「せ‥SEXとかも、そのうちすんのかぁ?」

    聞く内容が内容なだけに、恥じらってしまう妓夫太郎。視線を宇髄へ向ける事ができず、もじもじと自分の胸を掻いてしまう。そんな妓夫太郎の羞恥心を知ってか知らずか宇髄は優しく微笑みを浮かべ、

    「それはお前が卒業するまでしねぇよ。だからそう身構えんな」
    「あ、そこはちゃんと常識持ってたんだなぁぁ」

    倫理観を疑っていたが、そこはちゃんと常識を持っていたようで、妓夫太郎はホッと胸を撫で下ろした。

    「まぁキスは手加減しねぇけどな」
    「はッ?まさか、毎回こんなんばっかしてくんのかよッ」
    「俺の恋人になったんだ。それくらいの覚悟はしとけよ?妓夫太郎」

    胸を撫で下ろしたのも束の間、宇髄から満面の笑顔で宣言された言葉は爆弾そのものだった。そして何より、今まで「謝花」と呼ばれていたのが「妓夫太郎」に変わり、妓夫太郎は身体の奥からカーッと熱を沸き上がらせ、顔を真っ赤にして固まってしまう。
    そんな妓夫太郎を宇髄は笑顔で見つめていた。言葉は発さずただ見つめるだけ…ジッと…。妓夫太郎は「ヤバイ…何か言わねぇとッ」と口をパクパクさせるが、思うように言葉が出てこない。
    どうしたら良いんだぁッ!?と妓夫太郎が困惑していると、

    「っと、そろそろ時間だな。妹待ってんじゃね?」
    「え?あ、そ、そうだなぁ…ぁ、んじゃ、その‥また」
    「おう。また明日な」

    宇髄の時間を報せてくれる言葉に、ようやく言葉を発せた妓夫太郎。今のカッコ悪い自分を想い人に見て欲しくなくて、ぎこち無い笑顔を浮かべながらそそくさと準備室から出て行く。チラリと後ろに視線を向けると、そこには優しい笑顔で自分を見送ってくれている宇髄の姿。その笑顔にまたカーッと熱が沸いて出て、駆け足で美術室から出てドアを閉め、廊下に出て立ち尽くしてしまう。

    「……ヤベェ」

    本当に恋人になったんだ…ずっと片思いしてたアイツと…名前も呼んでくれた…
    一人になり、沸々と沸き上がってくる実感。
    美術室の扉にもたれ掛かり、閉じた口を手で覆う。
    あんな濃厚なディープキスを、さっき自分はやっていたんだ。大好きな相手と…。
    思い出すだけでまた身体が溶けてしまいそうな熱に犯される。力が抜けてしまいそうな腰に手を回し、妓夫太郎はポツリと言葉を零す。

    「…俺、あんなキスされて卒業までもつのか」

    自分が卒業するまで後約1年はある。それまでに抑えきれるか分からない自分の欲情。
    抱いて欲しい。何なら今すぐにでも。
    今でも爆発してしまいそうな欲情に不安が残る。
    でも宇髄は自分の事を思って言ってんくれたんだ。なら自分もちゃんと宇髄の気持ちに応えてやらなきゃいけない。
    卒業までは自分と欲情との戦い…「ちゃんと勝てるようにしねぇとなぁ」とつぶやき、フゥ…と一息をつき気持ちを落ち着かせて、妓夫太郎は妹の元へと向かった。

    一方、妓夫太郎を見送り、美術準備室に一人となった宇髄は…

    「…あ〜マジでヤベェー」

    妓夫太郎に向けていた笑顔はどこへやら。真顔となり、準備室に置いているソファーに座り込んで宇髄は思いに耽っていた。

    (一々反応が可愛過ぎんだろアイツ)

    こっちから告白しようとした矢先に向こうから告白してきた。即OKした。我慢できずにキスもした。ディープなやつを。
    キスの時の反応全てを目に焼き付け脳に焼き付け、SEXの事を聞いてきた時の恥じらう姿も目に焼き付け脳に焼き付け、名前を呼んだ時の真っ赤になった顔も目に焼き付け脳に焼き付け、準備室から出た後こちらに視線を送ってまた真っ赤になった顔も目に焼き付け脳に焼き付けた宇髄。その全てが愛おしくて、そして、欲情してしまう姿だった。
    だが、卒業までは絶対に手を出さない。そう最初から決めていた。そしてそう宣言した。だからこそ守らなければならないこの約束。

    「…もってくれよ、俺の理性」

    妓夫太郎が卒業するまで約1年。それまでは理性の糸を切らしてはダメだ。
    妓夫太郎の為。妓夫太郎の為と思うなら、自分は耐えれる。例え、妓夫太郎がどんなに可愛くてエロくて無自覚に誘惑してきて欲情しても…。

    「……いやいや。大丈夫。うん。大丈夫だ」

    本日、宇髄にとって理性VS欲情という人生最大の戦いが幕を開けた。
    頑張れ宇髄。負けるな宇髄の理性。
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