Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 133

    伊那弥彪

    ☆quiet follow

    隊士ifにょた化宇妓、妓隊士化、妓女体化、梅男化(本人登場無し)、何でも許せる方向け
    たまにはこんなにょた妓ちゃん書きたい。にょた妓は身長148cmの小柄なイメージです。

    ##宇妓
    ##女体化

    一大事春の心地良い日和…自身の屋敷の縁側で宇髄はお茶をしていた。日が暮れれば再び鬼狩りの任務に出掛けなければならない。ゆっくりと過ごせる内はゆっくりしなきゃな…と、目を閉じては長閑な空気を楽しむ。
    聴覚の優れた宇髄の耳には、春の穏やかな音だけが聞こえ……

    「……ん?」

    たまには穏やかな音を楽しむかと思っていたが、何やらけたたましい音がこちらに近付いてくるのを感じた宇髄は目を開き、屋敷の塀へと視線を向けた。その瞬間…

    「柱ぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

    ピョンと身軽な動きで高い塀を乗り越えて来たかと思えば、一瞬の速さで宇髄の懐に突進してきた黒い小柄な影…その小柄な影を宇髄はその逞しい胸で受け止め、深い溜め息をつく。

    「妓夫太郎…お前なぁぁ…」

    宇髄は顔を顰めながら小柄な影・妓夫太郎へ視線を向けた。
    いきなり突進して来るな、塀からじゃなくて普通に門から入って来い、等々色々と言いたい事を用意していたが、その言葉は宇髄の口から出てくる事は無かった。何故なら…

    「うぅぅ〜!柱ぁあ〜!」

    見上げてきた妓夫太郎の目には大粒の涙。それは妓夫太郎には珍しい泣き顔。それも号泣に近い泣き方。大粒の涙は次々に頬を伝っては零れ落ち、小柄な身体はブルブルと震えてしまっている。そんな弱々しい妓夫太郎を見た宇髄はギョッとし、言葉を詰まらせてしまう。

    (おいおい…ギャン泣きじゃねぇかよ…)

    自分に助けを乞うように潤みきった瞳で見つめてくる妓夫太郎に宇髄は困惑するも、震えるその肩を優しく手で包み込んでいく。

    「どうした?何があった?ん?」
    「う、うぅぅぅッ…」

    ひっくひっくと言葉を上手く発せない妓夫太郎に宇髄は優しい声色で話し掛ける。
    妓夫太郎はいつだって強気だ。弱音は決して吐かない。涙も見せる事等ほとんど無い。その妓夫太郎がこんなにも泣いている…一体彼女の身に何が起こったのか…宇髄は憂いの視線を向けながら妓夫太郎の顔を覗き込む。

    「妓夫太郎…」
    「う、ぅぅぅッ…梅が…梅がぁぁぁ……」

    梅…妓夫太郎の大切な弟。妓夫太郎が愛してやまないただ一人の弟。その名が震える声で告げられて、宇髄の不安は更に加速していく。

    「梅がどうした?」

    妓夫太郎にとって弟はかけがえのない存在。人間嫌いな妓夫太郎が鬼殺隊で働くのもすべて弟の為。そんな弟の身に何かあれば妓夫太郎は我を見失い錯乱するだろう。
    何事も無ければ良い。弟の身に何も無ければ…
    そう宇髄は願うが、妓夫太郎の取り乱し様に不安が押し寄せる。
    もし取り返しのつかない事であれば、自分が守らなければ…この小さな身体が自らを傷付けない様に…
    肩を抱く手に力が入る。辛そうにしながらも、震える口で伝えてくれるその言葉に、宇髄は息を呑んだ……

    「梅がッ…梅がぁぁぁッ…!反抗期になっちまったんだぁぁぁぁぁッ!!」
    「………へぇ〜。そりゃ随分とおっっそい反抗期だなぁ」

    あまりにもどうでも良かった理由に宇髄は思わず心を込めていない言葉を妓夫太郎に発してしまう。
    俺の心配を返せ!!でもぶっちゃけると、ギャン泣きのお前可愛いわ!!っと平常心を取り戻しては、未だに泣いている妓夫太郎の頭を撫で回す。一応慰めているつもりである。

    「うわぁぁん!!柱にとっちゃどうでも良いかもしんねぇけど、俺にとっちゃぁ一大事なんだぁぁぁ!!」

    どうでも良いと思っている事が即バレし、宇髄は少しだけ心を痛め苦笑を浮かべる。しょうがないので泣き続ける妓夫太郎を優しく抱き締め、「よしよし」とあやすように背中を擦っていく。それに甘えるように妓夫太郎は宇髄の胸の中で「わぁぁん!梅ぇぇッ!」と泣き叫び続ける。

    (にしても…あの弟が反抗期にねぇ…)

    いつも「お姉ちゃんお姉ちゃん!」と妓夫太郎にべったりな弟・梅。妓夫太郎の側に居たいが為に鬼殺隊入隊を希望した事もあった。まぁそれは妓夫太郎が「んな事言ったら嫌いになるぞ」と悲しみの表情で伝えたところ、「じゃ入隊しない」と即諦めたのだが。その位梅は妓夫太郎が好きなのだ。妓夫太郎と恋仲の宇髄の事も目の敵にしている。そんな梅が反抗期…正直、信じ難い話だと宇髄は首を傾げる。

    「なぁ妓夫太郎…」
    「うぅっ、んん?」
    「どういう風に反抗期なんだ?梅の奴」

    純粋で染まりやすい性格…悪く言えば単純…そんな梅の事だから、もしかしたら誰かに唆されているのではないか?と考え、宇髄は梅の変化を妓夫太郎に問う。場合によっては手を貸してやらなければならない。そう決意して…

    「うッ、ぁ、あのなぁぁ…俺が任務から帰って来たらなぁぁ」
    「おう」
    「梅の奴なぁぁ…梅の奴……」

    くしゃりと歪む妓夫太郎の表情。その表情から辛さが伝わってくる。

    (まさかアイツ…コイツを傷付ける様な事言ったんじゃ…だったらコイツの弟でも容赦しねぇぞッ)

    そう宇髄の胸がざわつき始めた瞬間…

    「髪の毛バッサリ切ってたんだぁぁぁぁッ!!!!うわぁぁぁん!!!!」
    「………あぁ。暖かくなったもんなぁ、最近」

    本日二度目の、心を込めていない言葉。
    妓夫太郎の言葉を聞いた瞬間、「あ、これ反抗期でもねぇや」と宇髄は察し、泣き叫ぶ妓夫太郎の頭をわしゃわしゃと撫でていく。勿論慰めているつもりである。

    「梅なぁぁ!すっごく誇らしげになぁぁ!「お姉ちゃんどう!似合う!?」って聞いてきたんだぞぉぉぉッ!!」
    「うんうん。で、似合ってたのか?」
    「似合ってたに決まってんじゃねぇかぁぁぁ!!」
    「んじゃそんなに悲しむ必要ねぇだろ」
    「梅のあの綺麗な髪を結うのが俺の楽しみだったんだぁぁぁぁ!!!今日だってどんだけ楽しみにして帰って来たかぁぁぁ!!うあぁぁぁぁん!!」

    女を捨てたと言っていた妓夫太郎の楽しみが、弟の髪を結う事だったと知り、宇髄は「随分とまぁ可愛い趣味持ってんなぁ」と思わず頬を緩ませてしまう。
    おそらく梅は髪を切り男らしくなった自分を褒めて欲しかっただけなのだろう。大好きな姉がその髪を結う事を楽しみにしているとは知らずに…
    まぁ梅の髪は確かに結い甲斐がありそうではある。艶のある白髪でサラサラの指通り良い、まるで銀糸のような髪……
    そんなふうに梅の髪質を思い出していた宇髄は、ある事を閃いた。その閃いた事を微笑みを浮かべながら妓夫太郎に告げていく。

    「なぁ妓夫太郎」
    「うぅッ、んんー?」
    「これからはアイツの髪の代わりに、俺の髪を結えよ」
    「……へ?」
    「アイツの髪と俺の髪似てんだろ?だから、代わりになりゃ良いと思ってな」

    艶のある白髪、サラサラで指通り良い髪質…長さは少し足りないが、確かに梅の髪と似ている宇髄の髪。代わりとなるならば宇髄の髪が一番なのかもしれない。妓夫太郎を思って…そして少し下心も有りで宇髄はそう提案してみた。
    宇髄からのその提案に妓夫太郎は一瞬目を丸くしたが、すぐさま涙を引っ込め、

    「結う!柱の髪、俺が結うぅ!!!」

    何故かキリッとした表情で宣言してきた。涙で潤んでいたその瞳はキラッと光り、宇髄の瞳を見つめる。滅多に見ない妓夫太郎の無邪気な瞳に、宇髄はニッコリと満面の笑みを浮かべ、更なる提案を語ろうとする。

    「んじゃ妓夫太郎…俺のよm…」
    「今結わせてくれぇ!柱ぁ!」

    宇髄の言葉に大声で被せてきてはジッと宇髄を見つめてくる妓夫太郎。妓夫太郎にしては珍しい真っ直ぐな瞳…その瞳につい圧されてしまった宇髄はたじろぎながらも、再び提案を語ろうと…

    「分かった分かった。分かったからとりあえず俺のy…」
    「結いたい結いたい!結わせてくれぇ柱ぁぁあ!」

    無理なようである。弟の髪が結えなかった反動か…今の妓夫太郎は髪結いお化けと化してしまっている。
    どんだけ髪結いてぇんだ!と項垂れ頭を抱える宇髄だが、チラリと視線を向けた先には、期待の眼差しで見つめている愛しい者。

    (可愛い顔しやがって…惚れた女の期待にはきっちり応えなきゃな…)

    その眼差しに胸を貫かれ、宇髄はもう一つの提案を飲み込み、フゥと一息をついて自身の額当てを外していく。

    「今髪解くから思う存分結えよ」

    そう宇髄が告げれば、妓夫太郎の表情はパァッと明るくなっていく。その笑顔に自身の心も明るく照らされていくのを感じた宇髄は、フッと優しく微笑みを浮かべる。
    この笑顔をずっと側に置いておきたい。この屋敷でずっと自分を待っていて欲しい。その願いから「嫁になってこの屋敷に住めば俺の髪いつだって結えるぞ」という提案だったが、今は言わないでおこう…と宇髄はその提案を一旦心に仕舞う事とした。

    (でもまぁ、いつか必ず嫁になってもらうからな、妓夫太郎)

    そんな宇髄の想いを知らぬまま、妓夫太郎は解かれた宇髄の髪を嬉しそうに結い始める。優しく心地良いその手付きに宇髄は春の温かさとは違う別の温かさを感じ、心を落ち着かせては愛しい者との長閑な時間を楽しむのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺👏☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works