嘘/真実「俺はアンタと別れる」
そんな頓珍漢な事を同居している恋人が急に言い出したのは、きっと今日という日のせいだろう。そう宇髄天元は思った。
「…別れるって」
「別れるっつったら別れんだよ」
「……」
ソファーに座る自分の前に立つ宇髄を見上げ、一歩も引かぬという表情を浮かべる宇髄の恋人・妓夫太郎。
今日は4月1日、エイプリルフール。嘘というのは分かっている。分かっているが……
「お前な…エイプリルフールだからって、人が傷付く嘘は感心しねぇなぁ」
「嘘ってすぐに分かったんだからいいじゃねぇか」
「良くねぇよ」
ハァと溜息をつきながら、宇髄は座る妓夫太郎の脇を持ち上げ、今度は自分がソファーに座った。妓夫太郎はというと、そのまま宇髄の膝の上に座らされ、そのまま丸太のような逞しい腕によってガッチリホールドされてしまっている。
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