Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    伊那弥彪

    ラクガキと二次創作文物置。支部にアップしたりする。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 133

    伊那弥彪

    ☆quiet follow

    学パロ宇妓バレンタインネタ。文法やら何やらムチャクチャかもしれません。

    ##宇妓
    ##学パロ

    Valentine Kiss2月14日の放課後、今日も謝花妓夫太郎は美術準備室へとやって来ていた。だがいつもとは違い、あまり浮かない表情を浮かべては、居心地悪そうに静かにソファーに座り込んでしまっている。

    「なぁに顰めっ面してんだよ」
    「別にぃ〜」

    部屋の主である美術教師宇髄天元に指摘され、妓夫太郎はプイッとそっぽを向く。その向いた先に視線に捉えてしまった光景……準備室の机に置かれた山程の可愛らしいラッピングが施された贈り物…思わず、チッ…と舌打ちをし顔を顰めてしまう。

    「何?妬いてくれんのか?」

    そんな妓夫太郎の反応に、マグカップに飲み物を注いでいた宇髄はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた。
    宇髄のその言葉に妓夫太郎は言葉を詰まらせる。

    妬いている…
    確かにそうかもしれない。
    今日この日にこの男に贈り物ができる女子達に……
    宇髄天元と謝花妓夫太郎…2人は恋人として付き合って1年以上になる。キスは付き合いが始まったその日に交わし、SEXは卒業してからと約束もしている。2人の仲は良好中の良好だった。だが、妓夫太郎は昔から自分に自信を持てなかった。容姿に関しては特にだ。今年はバレンタインで盛り上がる街中に感化されて、恋人として宇髄へチョコレートを用意しようかと思った。だが、綺麗にラッピングされたチョコレートが飾られたウィンドウに映る自分の姿を見て、その思いを留まらせてしまう。

    (…俺みてぇな奴からチョコレートなんて貰っても迷惑なだけだよなぁぁ)

    そう思い、妓夫太郎はその場から逃げるように立ち去った。
    チョコレートを用意する勇気が持てなかった妓夫太郎は、ギュッと口を紡いだ。恋人としての自信も少しずつ削がれていく…。自分は本当にこの男と恋人として付き合っていて良いのかと…。
    そんな妓夫太郎の表情に宇髄は何かを感じとったのか、意地の悪い笑みを消して、どこか寂しさを感じさせる微笑みを浮かべながら妓夫太郎に語り掛ける。

    「ってもなぁ、本当に欲しいチョコは貰えてねぇんだよなぁ」
    「……は?こんだけ貰っておいてかぁ?」
    「あぁ。本命のチョコが…な?」

    赤い宝石のような瞳が妓夫太郎を熱く見つめる。
    その視線に胸がドキッと高鳴る妓夫太郎だが、宇髄の言う「本命のチョコ」というのが何なのか分からず、思考し……

    「……GODIVAとかかぁ?んなもん高校生に求めんなよなぁ」
    「何でッそうなるんだよッ」

    妓夫太郎の出した答えに、宇髄は思わずガックリと肩を落とし、頭を抱えて深く溜息をつく。そんなあからさまな態度の宇髄の真意に全く気付かない妓夫太郎は首を傾げては「違ぇのかぁ?」と呟く。

    「……あぁ、まぁ…去年もそうだったしな…今日はちゃんと準備してきておいて正解だったぜ」
    「は?準備ぃ?」

    ブツブツと呟く宇髄の言葉が耳に入り、妓夫太郎は更に疑問符を頭に浮かべた。
    準備とは何だろうか?去年の事も言っているみたいだが、去年は付き合って少し経ったくらいで、特に何も無かったようだが……?
    そう色んな考えを巡らせていると、湯気の立つマグカップを目の前に差し出された。

    「待たせたな。ほら、飲めよ」
    「お、おぅ……」

    差し出されたその熱いマグカップを受け取る妓夫太郎。
    いつもの事だ。いつもこの部屋にやって来たら、こうやってマグカップに飲み物を用意してくれる。なのに何故だろうか。いつもと何か雰囲気が違うような気がする…
    気のせいかと思ったが、マグカップから香る匂いがいつもとは違う事に気付いた。
    いつもは大人びたコーヒーの香りを醸し出すマグカップから、甘く優しいカカオの香り……ココアだろうか。
    いつもとは違う飲み物…だから違う雰囲気と感じたのかと妓夫太郎は納得し、冷えた体を温める為、その飲み物を口にした。
    甘さの中に微かなほろ苦さを感じるその味わい…それは、普段飲んだ事のあるココアよりも深みがあり濃厚な感じがした。
    やっぱり好きな相手が用意してくれたものだから、特別に感じてしまうものなのかぁ?とその温もりを味わっていると、

    「…それ、何だと思う?」
    「……は?」
    「お前が今飲んでんの、何だと思う?」
    「??ココアだろぉ?」

    何を頓珍漢な事を聞いてくるんだこの男は…と妓夫太郎は首を傾げ奇異の目で見つめた。すると、その見つめていた顔が突然目の前に接近しては自分を見つめ返してきて妓夫太郎は驚きから目を見開いてしまう。その見開いた目を、赤い瞳がまた熱く見つめてくる……。

    「ッ……」

    その熱が伝わった為か、妓夫太郎の心臓は激しく鼓動し、ジワリと滲む額の汗は紅潮し始めた頬へと落ちる。
    いつも見る顔なのに、いつも向けられる瞳なのに…何故か今日は緊張してしまう。

    「な、なに…」
    「それな、ココアじゃなくてな……ホットチョコレートなんだわ」
    「……は?」

    ホット…"チョコレート"……?
    言われてみれば、ココアというよりもチョコレートを飲んでる様な感じだった。でもそれが一体どういう意味なのか……
    妓夫太郎は先程まで意識していた今日という日が何だったのか、スッカリ頭から抜け落ちてしまっていた。
    自分の言葉の意味が伝わっていないと理解した宇髄は眼を細め、「この鈍感め…」と呟き口元に微笑みを浮かべた。そして……

    「ッん……ッ」

    宇髄の唇が自分の唇を塞ぎ、妓夫太郎は思わず瞼をギュッと閉じる。それは条件反射だった。宇髄の綺麗な顔を間近で直視できない妓夫太郎の条件反射。好きだからこそ気恥ずかしさが込み上げてきてしまう。一度だけ薄っすらと瞼を開いた時は、宇髄の宝石の瞳と視線が合ってしまい、心臓が爆発しかけた。それから妓夫太郎は絶対に瞼を開かない。ギュッと強く瞑ったまま、宇髄からの濃厚なキスを受け入れる。
    だが宇髄は違った。まるで妓夫太郎の表情を堪能しているかのように、目元に笑みを浮かべて、妓夫太郎の口内を犯しつくす。

    「んぁッ…あ、ふぁッ……」

    妓夫太郎の舌に存分に舌を絡ませ己の唾液を絡ませた後、今度は上顎を舐めとるように舌を這わせていく。歯茎から奥へ…奥から左右へ……それはいつも以上にねっとりとした濃密なキス。妓夫太郎はまるで自分の口内が食べられているかのような錯覚に陥ってしまう。

    「あッ…あふぁッ…んんッ……」

    熱い吐息と共に妓夫太郎の口元からは唾液が溢れ落ちる。その唾液も逃すまいと宇髄は隙間が開かぬよう深く唇を重ねる。
    塞がれた口からは、くちゅ…くちゅり、ちゅる…と淫靡な音だけが鳴り、その音は妓夫太郎の聴覚も犯していく。

    「んんッ…んッ……」

    まだ誰にも犯された事のない初心な身体は、口内と耳を犯され熱く滾っては、頬を赤く染め上げていく。その熱さのせいか、妓夫太郎の目尻には生理的に涙が溜まり始める。

    (だ、だめだってのぉッ…このままじゃぁッ…)

    このままでは脳まで蕩けておかしくなってしまいそうだ…そう訴える為、意を決して妓夫太郎は瞼を薄っすらと開いた。そこには自分を見つめる宝石の瞳…妖艶で吸い込まれそうなその瞳から妓夫太郎は目を離せなくなってしまう。
    潤んだ青い瞳に見つめられ、宇髄はご満悦そうに眼を細め、妓夫太郎の口内を味わう。いつもよりも長く、濃密に……。
    ようやく口が解放されたのは10数分後だった。飲みかけのホットチョコレートはスッカリ妓夫太郎の手の中で冷えてしまっていた。それとは逆に妓夫太郎の身体は熱く滾ったまま。ハァハァと熱い乱れた息を吐きながら、淫らに濡れた舌先を唇から覗かせ潤んだ瞳で宇髄を見上げる妓夫太郎。そんな妓夫太郎にゾクッと快楽が走った宇髄だが、まだ卒業前…後半月…と自身を制し、微笑みを浮かべた。だが、その微笑みは欲情が隠しきれず、ニヤニヤと頬の緩んだ笑みとなっていた事に本人は気付いていない様子。

    「ごちそうさん」

    そう満足感に満ちた顔で告げ、舌でペロリと自身の口角を舐める宇髄。

    「お前からのバレンタインチョコ美味かったぜ」
    「は、はぁッ?」

    宇髄の言葉の意味が理解できず、顔を顰めて睨みつける妓夫太郎。だが潤んだ瞳と紅潮した頬では迫力に欠け、宇髄には何ら意味のない寧ろ愛らしいものとなっている。

    「俺からのバレンタインチョコのホットチョコレート飲んだろ?んで、お前の口ん中に残ってたホットチョコレートを俺が頂いたっつうわけ」
    「バレンタイン……」

    妓夫太郎はようやく理解した。今日の飲み物がホットチョコレートであった理由を。
    それは宇髄からのバレンタインチョコ。そして、チョコレートに満たされた自分の口内を舐めとるようにしてきたあの長く濃密なキスは、自分からのバレンタインチョコという事にされた事も。

    「つうわけで、1ヶ月後はお互いに3倍返ししような?」

    目の前で囁かれたその吐息混じりの言葉は、優しさの裏に官能的で艶めかしさを滲ませていた。それが意味するものが何なのか…
    蕩けた脳が更に熱に犯されていく……

    「ぃ、一応ッ、3月末までは在校生なんだよなぁぁッ」
    「それまで待てるわけねぇだろ。お前だって待てねぇ癖に」
    「ッ……」

    それまで待てない…その言葉が妓夫太郎はとても嬉しく感じた。宇髄は自分を求めてくれている…恋人として。宇髄の恋人は自分なのだと、削がれて始めていた恋人としての自身が少しずつ戻ってくる。

    「…んじゃぁ、他の奴にはお返しすんなよなぁぁ。俺がたっぷり3倍返ししてやんだからよぉ」

    それはいつもの自信たっぷりの小憎らしいニヒヒッと笑った顔。宇髄が大好きな妓夫太郎の笑顔だった。その笑顔を向けてくれて、宇髄は心底嬉しそうに微笑み、「勿論だ」と返答しては妓夫太郎を抱き締め、触れるだけのキスを落とした。












    オマケ


    昼休み、妓夫太郎は頭を抱えていた。その手には3つの小さなチョコレート。クラスメイトからの義理チョコである。義理チョコなのだから何を頭を抱えているのだろうと思われるが、

    (梅に見つかる前にコレなんとかしねぇとなぁぁ)

    『ハァァッ!?アタシ以外の女からチョコレート貰ったの!?どこのどいつよそのアバズレはぁぁッ!!』と暴走する妹の姿を想像し、深い溜息をつく。そこに、丁度良い姿を見つけた。

    「バレンタインなんて無くなっちまえぇぇ!!」
    「落ち着け善逸!ほら!俺があげるから!」
    「男からの友チョコなんていらねぇんだよなぁぁッ!」
    「紋逸がカマキリ化しちまったぞ!」

    1年生の例の3人組だ。どうやら約1名女子からチョコレートを貰えず荒みきってるらしい。

    「よお。筍組のへっぽこトリオぉ〜」
    「ぬおッ!?本物のカマキリ!!」
    「何のようですかねぇ!可愛い妹さんからチョコレート貰える謝花先輩ぃぃッ!!」
    「俺も禰豆子たちから貰えるよ!」
    「この裏切り者ぉぉッ!!」

    一声を掛けただけでこの騒々しさ。本当は自分から絡みに行くのは気が引けるのだが、まぁ今回はしょうがねぇと、妓夫太郎は手に持っていた3つのチョコレートをそれぞれの頭目掛けて指で弾き飛ばした。
    頭にコツンと当たったソレを3人は「え?」と目を丸くして手に取る。

    「ソレやるわ。俺が持ってても面倒なだけだからなぁ。んじゃぁなぁぁ。HappyValentine」

    いつものニヤニヤとした意地の悪い笑みを浮かべ、後ろ背でヒラヒラと手を振りながらその場から去っていく妓夫太郎。
    予想だにしなかった相手からのチョコレートに炭治郎はドキドキと胸を鳴らし、善逸は「え?これホワイトデーに3倍返しとか取り立てられない?」と冷たい汗をかき、伊之助は何も考えぬままチョコレートを口にしては「うめぇぞ!」と叫んだ。

    翌日の放課後の美術準備室…

    「なぁお前さ、昨日竈門と我妻と嘴平にはチョコレート渡したって聞いたんだけど?どういう事だ?ん?」
    「いや、だからあれは…クラスの女子から貰った義理チョコをだなぁぁ…」
    「傷付いたなぁ俺ぇ。俺には準備してくれてなかったのになぁ。他の野郎にはあげたんだよなぁ。あ〜ぁ。ホワイトデーにはド派手に10倍返しくれぇして貰わねぇとなぁッ」
    「……ぜ、善処する」

    巨体にソファーの上で詰め寄られていた妓夫太郎。
    妹からは何も言われなかったが、恋人とはとても面倒な事になってしまいました。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💯😭😭💕💕❤😍🍫🍫👏💯💯😍😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works