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    黒羽(DQアカ)

    Twitterに流しにくいものを垂れ流します。

    2023.05.17 Twitter垢 乗っ取りに合っています…
    近いうちに連携切る事になるかと…。
    無念。

    からの、復活!!!
    ヒィーーーハァーーー!!!

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    黒羽(DQアカ)

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    ◆領主踊り子if⑨◆

    やっちまった。
    後悔はしていない。

    ・エイト君が元旅のキャラバンの踊り子、ククがマイエラ領主の肩書きでのクク主ifです。
    ・エイト君が身体でお金をとっていました。
    ・結婚してからのイチャイチャあり。
    ・出会ってからくっつくまでエイト君の気持ちを知りたい9のお話。

    大丈夫な方のみお進み下さい…。

    #クク主
    kukuMaster

    そうだあの時は(領主踊り子if)◆そうだあの時は◆



    「…はぁ、終わり!疲れたぁ〜。」

    最後の書類にサインを入れると、
    オレは左手の羽ペンをインク入れにスコンと投げ入れる。
    そのまま、デスクの上にぐたりと顔を埋めた。


    「ふふ、遅くまでお疲れ様。」

    そんなオレに、エイトが離れた場所から労いの言葉をかける。

    ひれ伏したテーブルから、チラリと目だけでエイトを探す。
    同じ部屋の中、本棚の近くにある大きめのソファー。
    最近はそこが彼の定位置だ。

    エイトは優しく微笑むと、開いていた本に栞を挟んで閉じた。
    字を覚えてから、エイトは暇があれば本を読むようになった。
    聞けば、物語から経済学、法学までジャンルは問わないらしい。
    エイト曰く、本は色んな世界が覗けるから好き、なんだそうだ。

    …文字を覚えた事で、エイトの世界がまた一つ広がって良かったと思った。



    少し前、オレはエイトにプロポーズをして、無事に受け入れて貰う事が出来た。
    正真正銘の家族になれたんだ。

    それからというもの、
    エイトの個室は一応残してあるが、基本的にはオレの部屋で2人で過ごすようになった。

    部屋は元々一人には広すぎるので苦しくはない。

    …が、ベッドだけは、これを機に一回り大きなものに変えた。
    2人でも、ゆったりと使えるサイズにしたいと思ったからだ。
    買い換える時、執事のパノンがニヤニヤした目を向けてきたのは今でも忘れない。

    …別にいいだろ、パートナーなんだから。


    「ねぇ、早くこっちきて。紅茶いれるね。」
    「ん〜サンキュ〜。」

    声に導かれ、重い腰をなんとか待ち上げる。
    オレは長時間のデスクワークで緩んだガウンを直しながら、エイトの隣に座った。

    「ん?これって…。」
    「君、このお菓子好きでしょ?この前街に来てたバザーで見つけたんだ。」

    テーブルの上に広げられた、オレの好きな茶菓子。
    地方の品なので、その辺にはあまり出回っていないレア物だ。
    隣では、エイトが手慣れた手つきで紅茶を煎れている。

    「え、買っておいてくれたの?ありがとな。」
    「だって、君はいつも、僕の好きなものばっかり買ってくるからね。君の好きな物は僕が買わないと。」
    「そっか?そんな事ないけど。」
    「ふふ、そんな事あるんだなぁ。」

    たわいもない会話をしながら、オレはふとある瞬間を思い出した。

    「あー…なんかさ、この感じ…ちょっとデジャヴだな。」
    「え?」
    「ほら、エイトと出会った頃、ケンカしただろ?エイトがまだ踊り子の時。このブランドの菓子買ってきてくれたのに、オレがヤキモチ妬いて台無しにした夜の事。」

    エイトは一瞬手を止めると、そのまま紅茶をゆっくりとカップに注いだ。

    「あぁ、あったねぇ…本当に最初の頃の話だ。」
    「あの時…エイトの首にキスマーク見えてさ。そしたらオレ、頭がカーってなって。気付いたらもうあんな感じ。」
    「あれは僕も覚えてるよ。あの瞬間、君に軽蔑されたって思ったから。」
    「あの時は…本当にごめんな。オレ、あの頃にはエイトの事、こういう気持ちで好きだったんだよ。なのに全然自分の感情に気付いてなくてさ。」

    エイトは紅茶の入ったカップを1つ、ゆっくりとオレの前に差し出す。


    「…やだ。絶対許さない。」
    「え?」

    意外な言葉に、オレはキョトンと目を開く。
    そのまま、エイトは俯いてつぶやいた。

    「でも…今、キス…してくれたら……許して…あげても…いいよ。」
    「…きす?」

    オレはポカンと繰り返す。
    エイトは変わらず視線を合わせようとしない。
    よくみると、横髪から覗く耳が赤くなっている。

    「は……?なにそれ…かわいすぎない?」
    「可愛くなんか、ないよ…//」
    「もー!そんなんどこで覚えてきたの??いくらでもしてあげるっての!どこがいい?手?頬?額?唇?」
    「え!?えっ!?//」
    「よしきた。全部だな。」

    そう言うと、オレはエイトの頬に手を添え、手のひら、額、頬、唇にゆっくりとキスを落とす。

    「これで、許してくれる?」
    「…うん。許す。」
    「ふは、良かった。」
    「あの…ククール。僕も、あの時は早とちりしてごめんなさい。」

    そう言い、エイトも小さく微笑んだ。
    そんなエイトの肩を、オレはゆっくり抱き寄せた。


    「あ…そう言えばだけど、あの時はまだエイトにとって、オレは友達…だったんだよな?」
    「…?どうしたの急に?」

    紅茶のポットをテーブルの奥に置くと、エイトはきょとんとこちらを見る。

    「いや…そのさ、エイトって…最初オレの事どう思ってたのかなって。いつ頃から意識してくれてたのか…気になって。」
    「え?うーん…いつかな…。君が特別になった瞬間…って事だよね?」
    「そう。…なんかいいな、その特別になったっていう表現。」
    「改めて言うと、なんか照れちゃうね//」

    エイトはえへへ…と笑う。

    え〜〜…オレのパートナー、可愛いくない??
    すんごく可愛くない??

    オレは緩んだ口元に手を当てる。


    「…で、オレの第一印象はどうだった?」
    「そうだなぁ…すっごく綺麗な人だなって思ったよ。あの夜、初めてドアから君の顔を覗いた時…ドキッとしちゃった。」
    「ふぅん?そんなの微塵も感じさせなかったな。」
    「そりゃあね。感情が顔に出てたら仕事にならないから。…あ、あと若いなって思った。」
    「若い?」
    「うん。僕の知る限り、領主クラスだと若くても40歳後半とかかな。君は僕と3つ違うだけなのに、数年前から領主様してるって知って驚いた。」
    「なるほど。」

    オレは紅茶に口を添えた。
    喉からジンワリと温かい紅茶が身体に広がる。

    「あとは?」
    「あと…そうだなぁ。最初は…変わった人だな〜って思った。」
    「え、どういう事?」
    「だって…夜にお部屋に行ってさ。あの空気でまさか…そ、添い寝してって、言われるなんて…思わなくって…。」

    そう言うと、エイトは思い出したかのようにクスクス笑う。

    「オレってピュアだろ?」
    「ふふっ…とっても、ね。あの日は僕たち、結構遅くまで色んな話をしたじゃない?そしたら君、途中で寝ちゃったんだよ。覚えてる?」
    「覚えてるよ。気付いたら朝だったからな。」
    「そうそう、熟睡してたよ。変わってるよね…出会って間もない、こんな怪しい人間が隣にいるのに。」
    「…プライドの為に言うけどさ。これ、誰にでもって訳じゃないからな。オレだって相手をちゃんと見るよ。」
    「にしても、油断しすぎだよ。僕に寝首かかれたらどうするつもりだったの?」
    「そういう相手は…まず屋敷に入れない。」
    「…あ、そっか。確かにそうかもね。」

    優秀すぎる執事の防御壁を突破した。
    オレにとってはそれだけで大分信用になる。

    「でも、そうだとしても甘いと思う。人なんてすぐには判断出来ないからね。それに、君の命を狙ってる人、沢山いるんでしょ?」
    「まぁ…それなりに?」
    「なのになんで君は…あんな…スヤスヤ…ふふ。」
    「おーいエイト君。笑うか叱るか、どっちかにしてくれ。」
    「だって君の寝顔、本当に可愛くて…。普段はこんなに大人っぽいのに、眠ると子供みたいなんだよ?知ってた?」
    「ふーん。それはエイト君しか知らないと思うぜ?」
    「あ……そ、そっか//」

    オレの言葉の意味を理解したエイトが、照れくさそうに笑った。
    その顔を見て思う。
    お前こそ、擦れてる様で誰よりもピュアだし、綺麗なんだぞって。

    そのまま、オレは続ける。

    「エイトと話してるうちに、感じたことのない安心感を感じたんだよな。なんていうか…居心地のよさ?この相手なら、大丈夫…みたいな。非理論的だよな。」
    「確かに、なんだか君らしくないかも。」
    「つまりあの瞬間から、すでにエイトはオレの特別だったわけだ。」
    「そっかぁ…。」
    「あの後いじってきたからドニの奴らに聞いたけど、運命ってやつはそーゆーもんらしいぞ。ま、オレも初めてだったけどな。」
    「運命…。」
    「で、話それたけど。そろそろ聞かせてくれよ。いつからエイト君はオレの事大好きになってくれたの?」

    オレは隣のエイトの頬を指でぷにぷにとつつく。
    エイトはもはや慣れて、されるがままだ。

    「う、うーん…待ってね、思い出すから。」
    「うん。」
    「最初は…たしかに友達だったんだよね。初めて出来た、歳の近い同性の友達。」
    「うん。」
    「君と…ケンカして、君の部屋に通わなくなってから…何をしてても君の事が頭から離れなくなって。町で…友人らしい2人組とか見るたびに、そうなれなかった君と自分を重ねてて…。」
    「うん。」
    「なんか、言葉にできない消失感…があって。その後、あの…ドニでの最後の講演の後、キャラバン長に…君の所へ女の子を向かわせるって聞いて…そこで、かな。」
    「嫌だった?」
    「うん…急に頭の中がヤダって叫んだんだ。確か僕、君に言ったよね…あの時。」
    「うん。熱烈な告白の言葉な。脳内永久保存してる。他の人に添い寝しちゃヤダ…君の事が好きですってやつ。」
    「え!?何でその部分だけ!?は、恥ずかしい…今すぐ忘れてっ!!」
    「そうしたいのは山々なんだがな…なまじ頭がいいせいか、エイトの可愛い声も表情も、脳内再生できるレベルで覚えてんだわ。」
    「い、いやだぁ〜!!//」

    そう言い、エイトが両手で顔を隠す。

    「大丈夫大丈夫!これ、オレがしばらくヘタれてたのもセットだから!」
    「ヘタ…??」
    「だって、こんなにエイトが好きなのにそれに気付くの遅くいし。挙句にはエイトの事悩ませて、傷付けて、好きな子に先に好きだって言わせて。オレヘタれでしょ。」
    「…そ、そんな事思わないけど。」
    「元百戦錬磨のククール様ともあろうものが、本命相手にしたらこれだよ。笑っちまうよな。」
    「でも僕、君に好きになってもらえて本当に良かった。君は素敵な人だから引くて数多だろうし、そもそも同性同士だし。この気持ち自覚してから片思いだったらと思うとぞっとする。きっと…一生引きずってたと思うよ。」

    そう言い、エイトがオレの肩に頭を預けてくる。
    オレはその頭をゆっくりと撫でた。

    「それ、そのままそっくり返すから。オレ、エイトともう数日も離れらんないくらい依存してるから。」
    「え…?あ、サザンビーク公演の事?」
    「うん。エイトと離れても、もっと我慢できると思ってたのに、正直1週間もたなかった。」
    「あ、あのね?それ、僕もだよ?」
    「え?」

    エイトはオレの肩から頭を持ち上げると、そっとオレの耳元に囁く。
    ここにはオレ達しかいないのに、秘密事を話すような仕草が可愛いと思った。
    そのまま、エイトはこそこそと耳元で話し続けた。


    「僕、キャラバンに着いてから数日で…君の事想って…シてたから。」
    「…えっ?」

    一瞬、言われた言葉が理解できなくて。
    オレはキョトンと隣のエイトを見つめた。
    エイトは少し恥ずかしそうに微笑んだ。

    「ふふ、ヒミツね?」
    「ちょ、ま…え!?それ、詳しく!!」
    「…あ、もうこんな時間だ。明日もあるし、そろそろ寝なきゃ。」
    「まって!待ってくれよエイト君!!シてたって何を!?え…そういうこと…?ちょ、そ、それって勿論一人でだよな!?」
    「さ、ククール。もうお布団行こうね。」
    「なぁ!それ、オレの事想像してって事!?キャラバンで!?声抑えて!?うわぁ…エロい…やばくね?それめっちゃ見たい!!」
    「…見たい?」
    「見たい!!!」
    「そっか…そう…えぇ…と、そのうちね。」
    「お、言ったな!?絶対だからな!?約束だからな!?」
    「ふぁあ…うん。やくそく、ね。」

    目をギンギンに開くオレとは逆に、エイトは眠そうにふわふわとあくびをする。

    「え〜…一人エッチしてるエイトとかやばい…考えた事なかった。」
    「え、食いつきがすごい…(笑)」
    「な。オレ自身、めっちゃ興奮してる自分に若干引いてる。」
    「え?…ふふ、素直でよろしい。しょうがないから…ククールだけ。特別だからね?」
    「まじかぁ…うわ〜今日寝れるかな。」
    「今日は大人しく寝ます。」
    「はい…。」

    そう呟いたオレを布団に押し込むと、その隣にエイトが身体を入れてくれる。
    オレが悶えている間に、部屋のランプも消されてすっかり寝る支度が完了していた。


    「今日もお疲れ様。おやすみ。」
    「おやすみ…。」

    そう言い、エイトが瞳を閉じる。
    そのまぶたにそっとキスを落とすと、オレもエイトを追って、夢の中に旅立った。





    【完】

    夫婦になった頃、こんな昔話をしている時もあったのではないかと。
    そしたら、最後に思わぬ約束してるし…。。

    エイト君のひとりエチチ編、あるかもしれません。

    ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


    2024.07.28黒羽



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