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    黒羽(DQアカ)

    Twitterに流しにくいものを垂れ流します。

    2023.05.17 Twitter垢 乗っ取りに合っています…
    近いうちに連携切る事になるかと…。
    無念。

    からの、復活!!!
    ヒィーーーハァーーー!!!

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    黒羽(DQアカ)

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    ◆領主踊り子if③◆

    やっちまった。
    後悔はしていない。

    ・エイト君が旅のキャラバンの踊り子、ククがマイエラ領主の肩書きでのクク主ifです。
    ・エイト君が身体でお金をとっています。

    大丈夫な方のみお進み下さい…。

    #クク主
    kukuMaster

    ③一緒にいたい◆一緒にいたい(領主踊り子if)◆


    エイトと『お友達』になった。

    友達…という初めての感覚に、オレの心はどこかふわふわしていた。

    不思議と、嫌な事があってもイライラしない。
    何を言われても、ゆったりと構えられた。
    今なら他人に、優しく出来るような気がする。

    …こんな気持ち初めてだ。
    出会って数日なのに、エイトとは何かが深く繋がっている気がしていた。
    ウマが合うって、こういう事なんだろうか。

    そんな頃、オレはエイトのキャラバンの長と、食事をする約束を取り付けていた。

    エイトと仲良くなれた事もあり、キャラバンとはより親密なパイプを作っておきたい。
    そう、かつてなくオレは交渉に意気込んでいた。

    多少の公私混同は許されるだろう。
    そう、臨んだ食事だった。


    …それがどうだ。


    「早速ですが、ウチの踊り子は、領主殿のお気に召しましたかな?」
    「…?」

    キャラバン長が、ニヤニヤといやらしい顔で話す。
    オレは、エイトの『夜の営業』の事か、とピンと思った。

    やはり、コイツがエイトの身体を金の為に使わせているようだ。
    コイツが、エイトの悲しい顔の元凶。

    …許せない。
    今このまま、コイツを責め立てる事も出来なくはないが、オレは少し様子を見ることにした。


    「そうですね。とても魅力的で、一度で心を奪われました。」
    「はは!さすがはマイエラ領主殿、お目が高い。アイツは一級品でしょう?旅先で、色々と可愛がって頂いては、有難いお言葉を戴くのですよ。」
    「でしょうね。あれだけの技術はなかなか身に付かない。」
    「そうでしょう、そうでしょう。そこで、モノは相談なのですが、領主殿。あやつを定期的に買いませんか?」
    「…?どう言う意味です?」

    オレは表の仮面を崩さず、心の中で目を細めた。

    「なぁに、そのままの言葉です。領主殿が欲しい時、欲しいだけあやつを好きに出来る。」
    「好きに?」
    「そうです。近くにいなくても、キメラの翼を待たせます。いつでも、お側に遣わしますよ。」
    「なるほど。」
    「そう。悪くない話でしょう?…ただ、その為には多少のお気持ちを頂きたいのです。我々も家計が火の車でしてね。後ろ盾の一つになって頂きたいのですよ。」

    そう言い、キャラバン長が食卓の席を立ち、オレのそばに近寄ってくる。
    …キツイ香水が鼻に香る。
    そして指で数字を現した。
    確かに、オレなら払えなくはない額だが、馬鹿にならない額だった。


    「なぁに、領主様からすればお安いお買い物でしょう。」
    「……。」
    「これを1年で4回。四季ごとに頂けましたら、いつでもエイトをお側に使わせましょう。」
    「……。」
    「もしエイトに飽きる事が有れば、2人目をお付けしても構いませんよ。ウチには美しく、口の硬い者が他にもおりますのでね。」
    「…なるほど。」


    この手順、話の組み方。
    間違いない。
    こいつは、キャラバン隊のメンバーに売春をさせている。

    おそらく、全員がエイトと同じ、元は拾った身寄りの無い子供たちだ。
    こうして、世界を練り歩き、各場所に客を作って儲けているのだろう。

    勿論オレだって、世の中にはこういう『稼ぎ方』がある事くらいは知っている。
    しかし、問題はその対象がエイトである事だ。

    バカ真面目なエイト。
    今の仕事に、誇りを持っていると笑ったアイツ。
    このまま、アイツをこんな腐った世界に置いておくのか?

    ステージの後、他の男の元に行き、その欲を満たす為に奉仕する。
    あの身体で、あの手で、あの唇で。
    他の男に触れる。

    …だめだ、許せない。

    どんどん沸き起こる、キャラバン長への嫌悪感。
    それをオレは静かな顔で隠していた。


    「…領主殿?」
    「いえ…なんでもありません。あまりに魅力的な提案だったものですから。」
    「それは良かった。前向きに検討頂けるようだ。」

    そう言い、キャラバン長は、またあの顔でガハハと笑った。
    オレも穏やかに微笑んで見せた。

    オレの中でのゴングが鳴り響いた。
    絶対、このキャラバン長を締め上げてやる。

    しかし、この考えは、エイトの居場所を奪うことになる。
    それでもオレは、エイトをこの男から解放したい。
    そんな勝手な正義感で、オレはこの男に狙いを定めた。







    …コンコン。

    その日は、夜0時を回っていた。
    自室で書類に目を通していたオレは、ある心当たりに胸を躍らせた。
    そして、かけていた眼鏡を外し、テーブルに置くと、そのまま部屋の入り口を開ける。


    「よぉ。」
    「こんばんは。お邪魔してます。」

    扉の前で、エイトが恥ずかしそうに微笑む。

    あの約束から、エイトが部屋に遊びに来るようになって、早3日目だ。
    いい加減慣れてもいいのに、エイトは未だ恥ずかしそうにオレの部屋をノックする。
    今思えば、身体を売りに来てる時の方が、よっぽど堂々としていたんじゃないかと思う。

    …でも、そんな所も可愛い。
    そのまま、オレはエイトを部屋に招き入れた。


    「今仕事終わり?今日も遅かったな。」
    「うん…ごめん、どうしてもこの時間になっちゃって…来ても大丈夫だった?」
    「当たり前だろ。でもごめん、オレがまだ少しかかりそうでさ。ちょっと…こっちで待ってて。」
    「あ、うん。」

    そう言い、エイトの手を取ると、オレは例のテーブルにエスコートした。

    「あの…わざわざ、エスコートしなくていいよ。」
    「なんで?来てもらってるのに、おもてなししないわけにいかないじゃん。」
    「おもてなしって。その、僕…女の人じゃないし。」
    「性別?なんか関係あんの?」
    「…ふふ、なんでもない。」
    「?」

    そう笑うエイトをチェアに座らせる。
    オレはそのままデスクに戻り、仕事に手をつけ始めた。


    …カサ。


    「……。」
    「……。」

    「…なに?」
    「えっ!あ、ごめん。つい…。」

    エイトの視線を感じ、オレはちろりと少し視線を上げる。
    エイトは、ハッと視線を外した。

    「その…ククール、今日…眼鏡なんだね。」
    「あぁ、仕事の時だけかけるんだ。」
    「眼鏡、似合うね。カッコいい。」
    「そーお?」

    そう言い、パチンと片目でウインクしてやると、エイトはまた、ふふ!と笑った。

    「キザだなぁ〜。」
    「いいだろ。似合ってんだから。」
    「おまけに自信満々だ。」
    「まぁね。顔と頭は悪くない方だと思ってるから。」
    「確かに…町で今のされたら、女の子はきっとイチコロだね。」
    「それを言うならエイトだって。ステージでさ、あの流し目はヤバいよ。」
    「え?」

    オレは手元の書類から目を離さないまま話す。
    エイトはその声から恐らく、きょとんとこちらを見ているだろう。

    「ほら、踊ってる時さ。ステージから観客を射抜くような…あの強気な目線。いやぁ…腰砕けちゃうね。」
    「そ、そうかなぁ?」
    「少し目を伏せてから見つめてくるのとか、色っぽいし。」
    「えへへぇ…そうかなぁ〜??」
    「…オフのおまえと話してるとさ、とても同一人物と思えないんだよな。」

    そう言い、オレは手元の書類にサインを入れていく。

    エイトは話せば話すほど普通の男の子だ。
    年齢は、聞けば18歳。
    この前成人したばかりだという。
    気を許すと、普段の口調もどこかぽやぽやしている。

    しかし、ステージの上のエイトはプロだ。
    頭の先から指先まで、全てに神経が通っている。
    数回しか観たことはないが、素直にカッコいいと思った。


    「おまえこそ、ファンの子に言い寄られたりしないの?」
    「うーん、ないかなぁ。毎回ステージに来てくれる人はいるけど…。」
    「……それ、男?」
    「そう!なんで分かったの?」
    「まじかよ…。」

    明らかに度を超えたファンなのでは…と思いながらもオレは口をつぐむ。
    こいつにとっては、大切ないちファンだからだ。

    そんな話をしながら、オレは最後の書類にサインを入れた。


    「はー…終わった。」
    「お疲れ様。ねぇ、早くこっち来て。実は今日、茶菓子を持ってきたんだ。」
    「マジ?丁度小腹空いた所だったから助かったぜ。」

    そう言い、オレは座るエイトのそばに寄る。
    …その時、エイトの首筋に、赤い痕が見えた。

    一瞬、心臓が止まった。


    「エイト…。」
    「…?なに?早く座って。」
    「おまえさ、最近…金、どうしてんの?」
    「え?」
    「ここ数日、オレの所来てるけど。…夜の稼ぎの方。」
    「…っ。」

    オレの言葉に、エイトが一瞬紅茶を淹れる手を止めた。

    「…なんで?急にどうしたの?」
    「ここ数日…この時間から来て、ウチに泊まってくけど…偉い人に何も言われないの?」
    「言われないよ。この時間は…僕の時間だもん。」
    「なぁ…お金、どうしてんの?」
    「それは僕の問題だから。ククールは考えなくていいんだよ。」
    「そうだけどさ。…その首の痕、もしかして…他で身体売ってるわけ?」
    「ッ!」

    エイトはバッと首筋に手を添える。
    …オレの予想を肯定するような仕草だ。
    予想が確信に変わり、腹の底がぐつぐつと煮え返る。
    だが、オレは表情を変えないまま話し続けた。


    「オレには金を払わせないで、他の男から金取ってるわけだ。」
    「そ、そんな言い方…しないでよ。」
    「なんで?オレが払うって言ってるじゃん。…なんで他の男の所に行くわけ?」
    「だって…君は…友達でしょ?僕…君からお金、貰いたくない。」
    「友達だからじゃん。おまえが辛いことしてんのに、黙って見てろっていうのか?」
    「辛くないよ。仕事だもん。」
    「でも嫌だろ?好きでもない男に身体触られるなんて。」
    「仕方ないじゃない…今までずっとそうして来たんだから。…なんで?なんで急にそういう事言うの?」

    エイトの表情が曇る。

    …違う、オレはおまえにそんな顔をさせたいわけじゃないのに。
    心と裏腹に、口からは冷たい言葉が溢れ出す。

    「オレさ…おまえがそういう事してんの、嫌なんだよ。」
    「…?どういう、事?」
    「おまえが…知らない男とヤってんの。嫌なんだよ。」

    オレがはっきりそう言うと、エイトは俯いたまま、ぎゅうと手を胸の前で握った。


    「…やっぱり。」
    「え?」
    「…やっぱり、僕の事…気持ち悪いと思った?」
    「は?」

    俯いているせいか、声が小さくて聞き取りにくい。
    声色も、どこか震えていた。


    「身体でお金を貰ってる踊り子…嫌悪感があるんでしょ?」
    「何言ってんだ?違…。」
    「そうだよね…汚い仕事だもん。でも…君は…違うって…僕のこと分かってくれるって。僕…嬉しくて…。でも、何か勘違いしてたみたい。」
    「エイト?待て、落ち着けって。」
    「初めから…そう思ってたんだよね。あぁ…だからあの時も、僕の事抱いてくれなかったのか…。あの時から…君は…。」
    「エイト!」

    かつてなく饒舌なエイト。
    よくない空気を感じ、オレはエイトの手首を掴んだ。
    エイトがオレをゆっくりと見上げる。
    …大きな瞳が、不安げに揺れていた。


    「違う、落ち着け。そうじゃない!」
    「…ごめん、なさい。」
    「!」
    「僕、もう行くね……さよなら。」
    「エイト!」

    そう言い、エイトはあっという間に部屋から出て行った。

    たしかに掴んでいたエイトの手首。
    踊り子ならではの身のこなしで、さらりと、あっという間にすり抜けて行ってしまった。

    確かに捕まえていたモノが、急に腕の中から消えていった。
    オレはただ、部屋にポツンと残され、立ち尽くしていた。

    テーブルには、二人で飲むはずの紅茶のカップと、エイトの茶菓子が広げられていた。
    …いつか、オレが好きだと言っていたブランドの菓子だ。
    この数日で、時間のない中手に入れたんだろう。


    「…くそ!なんでこうなるんだよ。」

    そう言い、オレは頭を掻きむしった。

    こんなはずじゃなかった。
    こんな事を言うつもりじゃなかったんだ。
    エイトは完全に誤解している。

    でも…オレの言い方、もう少しなかったか。
    あの首筋の痕を見たら…責めるような言葉しか出てこなかった。

    なんでオレを頼ってくれないんだ?
    こんなに、おまえの事を想ってるのに。

    ここ数日…他の男と、寝てからここに来てたのか?

    なんで?
    なんで?

    ぐるぐると、理解できない大きな感情が渦巻く。


    「あー…クソ。独りよがりにも程があるだろ。」

    落ちついてエイトの気持ちを考えたら、当たり前だ。
    あいつが、オレに金を払わせる訳がないじゃないか。

    初めての友達だと言っていた。
    初めて、オレが、エイトにとっての特別枠だったのに…。

    オレが壊した。
    エイトの気持ちを考えなかった。
    勝手な独占欲で、エイトを傷付けた。

    「…オレのバカやろ。」

    そう、小さく呟いた。








    あの夜以来、エイトはオレの部屋に来なくなった。
    …当然といえば当然だ。

    オレも、特にエイトに会いに行く事もせず、ただ仕事に没頭した。
    正しくは…会いに行く勇気がなかった。

    ふわふわと、温かかった感情が消えた。
    まるで、エイトに会う前に戻ったみたいだ。



    「エイト様、最近いらっしゃらないですね。」
    「……そーだな。」

    仕事中、紅茶を用意しているパノンがサラリと触れてくる。

    ここ数日、明らかに不自然なオレ。
    そこに違和感を感じて、こいつは遠慮なく触れてくる。
    …本当に、この執事には恐れるものがないのだろうか。


    「ククール様、何か失礼な事でも仰ったのではないのですか?」
    「っばか言え…ってか、なんでオレなんだよ!」
    「エイト様はとても配慮ある方でしたから。喧嘩になるなら、きっかけはククール様の方ではないかと思いまして。」
    「…主に向かって、本当失礼な奴だよな。」

    オレはまさかの図星に、パノンに難癖をつけた。
    パノンは飄々と紅茶を蒸している。

    「気難しい我が主に、ようやく出来た理解者でしたのに。一体何を仰ったんです?」
    「……何って。」

    言葉とは裏腹に、優しい瞳で語りかけるパノン。
    その視線を受け、オレは大きくため息をついた。

    …このままでは、何も変わらない。
    そう思い、オレは心に溜めていたものを吐き出す事にした。




    「おやまぁ…。」
    「…なんだよ。」
    「我が主人ながら…あぁ、なんと嘆かわしい。」
    「はぁ?」
    「まさか、ここまでとは…。」
    「なんだよ…もったいつけんなよ。」

    頭を抱えるパノンに、オレは書類にサインする手を止めた。
    パノンはキリ、とこちらに顔を向けた。

    「では遠慮なく。はっきり申し上げて、最低です。不躾過ぎます。エイト様の身の上、お分かりの上で関係を作られたのでは?一体どこまで懐が狭いのですか。」
    「んなっ…!」
    「あの身の上、きっと自由な時間の方が少ないでしょう。エイト様はそんな中、健気に毎日ここまで通われていたというのに。ククール様に責められ、さぞやショックだったでしょうに。」
    「……。」
    「大切なあなただから、お金の事、頼りたくなかったんですよ。」
    「…分かってるよ。」
    「いいえ、何も分かってません。仮に、マイエラにいる間は、ククール様が彼を補助したとします。その後の彼はどうなさるおつもりだったのです?離れたら終わりですか?それとも定期的に送金するのですか?…はたまた、キャラバンから彼を買うのですか?」
    「…!おまえ、なんでそれ知ってんだよ。」

    オレはいつかの食事会の会話の事を思い出し、思わず声を上げた。
    パノンはなんの事もない、という顔で続ける。

    「愚問です。このキャラバン、先代の頃から、金持ち相手に裏家業をしていました。その筋ではとても有名ですよ。まぁ、先代は少年には興味がないようでしたので、情報だけではありますが。」
    「そうだったのか…ってか、おまえ知っててよくキャラバンを呼ぶ事を止めなかったな。」
    「昨今の、踊り子の話題性は耳にしておりましたので。ビジネスとしては間違いないと踏んでおりました。」
    「オレが売春を買うとは思わなかった?」
    「はい。ククール様はその辺遊び尽くしていらっしゃいましたし。金銭を支払ってまで、男娼に入れ込む事は無いと考えておりました。」
    「…冷静すぎて腹立つな。」
    「ククール様、本件の問題はそこではありません。」

    そう言い、パノンが人差し指を立てる。

    「ん?」
    「ククール様。何故そんなにエイト様に固執されるのか、一度お考えになる事をお勧め致します。」
    「どういう意味?」
    「本当に、『お友達』ですか?」
    「……え。」

    オレはポカンとパノンを見る。
    彼は口元に手を当て、こちらを伺うような顔をしている。

    「…は。」
    「……。」
    「どういう事…?」
    「お可哀想に。遊んでばかりいて、本気になった事がないから、そのツケが回ったのですね。」
    「おい!」
    「私はてっきり、彼をこのお屋敷に迎えるものだと思っておりましたのに。」
    「へ…。」
    「新しいお部屋のお掃除だってはじめておりましたよ。」
    「…え、えっ??」
    「鈍いにも程がございませんか。」


    「えー…!?」

    急な出来事に、オレはポカンとしてしまった。
    オレが、エイトの事を…………すき?


    「お言葉ですが。エイト様の話をする貴方の目は、愛しい人を想う目でしたよ。」
    「や、やめろばか!」
    「…それすら気付かず、やきもちとは。」
    「やきもち?…オレが!?」
    「エイト様が他の男に奉仕する様を想像して、我慢ならなかったのでしょう?」
    「…そう、だけど。」
    「ククール様は、エイト様を抱けますか?」
    「だッ!!?」
    「その感情こそが答えでは?」

    そう言い、パノンは紅茶をカップに注いだ。
    オレはただ、デスクの上に視線を戻した。


    …エイトの事は、可愛いなと思う。
    そのエイトを抱けるか…?

    うん。
    普通に抱ける…と思う。

    そうか…オレはエイトに恋していたのか。

    いつからかなんか分からない。
    ステージで強気な彼を見て、夜に砕けた彼を見た。
    馬鹿みたいに頑固で、でも腐らずに真っ直ぐに生きている。



    「……出会って、まだ1週間経ってないんだぞ。」
    「では、彼を手放せますか?」
    「……。」

    パノンの鋭い質問に、オレの心はノーと答えていた。

    「しかし、感情に気付いたとしても、どうなさるかは貴方次第です。情報ですと、キャラバンは明日の講演をもって最後、明後日にはマイエラを発つようですよ。」
    「明後日…。」
    「ここ数日、色々とキャラバンの事をお調べになってらっしゃいましたね。」
    「おまえ…なんでも知ってるな。」
    「当たり前です。執事ですから。」
    「…そっか。」

    そう言い、オレは椅子の背もたれに身体を預けて天を仰いだ。


    「貴方を一番近くで見ておりますので。それに、こう見えて、貴方様の事が心配なんですよ。」
    「…うん、分かってる。ありがとな。」
    「いえ。後悔だけはなさらないよう。」

    そう言い、パノンは部屋を後にした。
    …でも、どこか心のつかえが取れた気がした。

    そのまま、オレは残された紅茶に手を伸ばした。







    【続】



    パノンさん、大活躍の回。
    なんかうちのククールは、誰かの後押しないと動けないんだよなぁ。。
    トロデ王とか。。

    次回、最終話予定です。

    ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


    2023.04.06 黒羽
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