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    黒羽(DQアカ)

    Twitterに流しにくいものを垂れ流します。

    2023.05.17 Twitter垢 乗っ取りに合っています…
    近いうちに連携切る事になるかと…。
    無念。

    からの、復活!!!
    ヒィーーーハァーーー!!!

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    黒羽(DQアカ)

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    ◆領主踊り子if⑤◆

    やっちまった。
    後悔はしていない。

    ・エイト君が元旅のキャラバンの踊り子、ククがマイエラ領主の肩書きでのクク主ifです。
    ・エイト君が身体でお金をとっていました。
    ・家族になった後のお話です。


    大丈夫な方のみお進み下さい…。

    #クク主
    kukuMaster

    ⑤家族になれたら(領主踊り子if)◆家族になれたら(領主踊り子if)◆


    「パノンさん、少しキッチンをお借りしたいのですが…宜しいでしょうか?」
    「えぇ、勿論です。」

    夕食の支度をしている私に、エイト様が声をかけてくる。

    ククール様が迎えた、新しい家族。
    エイト様はとても礼儀正しい青年だ。

    彼をこの屋敷に迎えてから、早1ヶ月が経とうとしている。
    にも関わらず、彼は未だ私には敬語を崩さず、怠惰な面を見せない。


    「突然、如何されたのですか?」
    「あの…僕、このお屋敷に迎えて頂いてから1ヶ月経つので、お二人にお礼がしたくて。」

    そう言い、町で仕入れたであろう食材を広げる。
    材料から、ケーキを作ろうとしているようだ。

    「手作りケーキですか。」
    「わぁ…どうして分かったんですか?」
    「ふふ、私も少し料理をしますからね。」
    「本当は、お二人には秘密で用意しようと思ったんです。でも、このお屋敷でパノンさんに秘密は無理かなって思って。先にばらしちゃいました。」
    「おや…気を遣わせてしまいましたか。でもククール様は、きっとお喜びになりますよ。」
    「だといいのですが…。あの…パノンさんもケーキ、苦手じゃないですか?」
    「えぇ勿論です。こう見えて、甘いものには目がないのですよ。楽しみにしておりますね。」
    「はい…!頑張ります。」

    そう言い、広いキッチンに2人で並んで立つ。

    …どんなに、主が彼に信頼を置いていても、主人の口に入るものには目を光らせておかねばならない。
    そういう意味では、このタイミングで隣で調理して貰えるのは都合が良かった。
    しかし、そんな心配を他所に、ケーキにはただ愛情だけが詰め込まれていく。


    「あの、ずっと聞きたい事があったんです。聞いてもいいですか?」
    「なんでしょう?」
    「パノンさんは、最初…どうして僕をお屋敷に迎え入れたんですか?」

    彼が、食材を広げながら訊ねてくる。

    「どういう意味でしょうか?」
    「このお屋敷に、夜に初めて来た時の事です。マイエラの領主様なんて、そう簡単に通してもらえないと思っていたんです。なのに、あっさり通して貰えたので、驚いて。」
    「なるほど。」
    「ククールの部屋に通されて部屋に入ると、ククールは真っ先に僕を疑いました。命を狙われることがあるから、と。なのに、パノンさんはそう言った事を僕に言わなかったなって。」
    「そうですね。」
    「自分で言うのも変なんですけど…僕が暗殺者だったら、とか考えなかったですか?」
    「そうですねぇ。」

    そう言い、私は食事の皿を並べる。
    彼の手はケーキ生地を混ぜている。
    料理の心得があるようで、その手際は悪くない。


    「御気分を害さないで頂きたいのですが。私はすでに貴方の事を調べ上げていました。」
    「えっ?」
    「云うならば、貴方のキャラバンの事を。」
    「…!」
    「今までの業績、メンバー、勿論裏家業の事も。ククール様が貴方がたをマイエラにお呼びする前に、『全て』。」
    「…。」
    「ですので、先に貴方の事も存じておりました。ステージの夜に、夜迦の営業にいらっしゃるのも貴方だろうと予想しておりました。実際の貴方は、手元の写真より余程可愛らしかったですが。」
    「あ、ありがとうございます?でいいのでしょうか。」

    主相手のいつもの調子で冗談を交えると、彼は、ふふ、と微笑んだ。
    本当に素直な方だ。
    …少しだけ、腹を割って話をして、この方の緊張を解いておく事にした。


    「細かい事は省略しますが。手元のデータには、貴方が過去に薬を盛ったり、相手を傷つけるような行為をした記録が一切になかった。素行も純朴で、仕事に誇りを持っている。あの頃、ククール様は少し公私共にお疲れ気味でしたので、年の近い貴方様なら寄り添ってくれるのではと考えたのです。」
    「そうだったんですか…でも、僕がいつ気を変えるか分からないですよね?」
    「おっしゃる通りです。しかし、ククール様もああ見えて、頭の回転は早い方なので。怪しければご自分の身は自身で守られる。」
    「……。」
    「そこで何かあれば、勿論私の責務ですが。領主たる者、その程度の罠をかわせなければ、今後の業務は務まりませんので。その時はククール様が悪い、そう思っておりました。」
    「…ふ、ふふっ!」
    「…?如何されました?」
    「いえ、すみません。…お二人、揃って同じような事言ってるなぁって思って。」
    「?」

    エイト様がくふくふと小さく微笑む。
    なぜ笑われたのかは分からないが、文脈から主も似たような事を言ったのだと推測した。

    「いいですね…なんだか、信頼関係を感じます。」
    「いえ。お互いに問題の責任を押し付けあってるだけですね。」
    「ふふっ…お二人は主従である前に、とっても仲良しなんですね。」
    「そうでしょうか。」

    そう言い、作った食事を小鉢に盛り付けていく。
    その横で、エイト様もケーキ生地を焼きはじめていた。


    「でも、そのおかげで、今僕はここにいる事ができるのです。とても感謝しています。」
    「こちらこそ、感謝しておりますよ。」
    「え?」
    「ククール様は、私にとって主。その裏では末の息子の様な方です。あの方の幸せが、私の一つの生き甲斐でございました。」
    「…パノンさん。」
    「エイト様がお屋敷にいらしてからは、始終緩んだ顔で。それはもう幸せそうです。…あんなお顔は久方ぶりに見ました。本当に、ありがとうございます。」
    「そ、そんな事!」
    「まだまだ、幼い我が主です。エイト様、どうか長い目で支えて差し上げて下さいませね。」
    「そんな、僕こそ…。僕の方が、救って貰ったんです。お二人に…助けて貰ったんです。」

    彼は真っ直ぐに、こちらを見て言葉を放つ。
    心から、そう思っているのだろう。
    …本当に、可愛い息子が1人増えたような気持ちになる。


    「貴方も、もう家族ですよ。ククール様にもし何か酷いことを言われるようでしたら、いつでもこのパノンにおっしゃって下さいませ。この世で、ククール様を嗜める事が出来るのは…修道院のお兄様と私くらいでしょうから。」
    「ふふ!はい。ありがとうございます。」

    そう言い、エイト様は花のように微笑んだ。






    「ただいまぁ…。」
    「ククール!お帰りなさい。荷物片方持つね。」
    「エイト…さんきゅ。」

    19:00頃、会合に出ていた主人が帰宅された。
    本来、執事がいち早くお迎えするべきだが、ここは空気を読む。


    「お疲れ様でございました。」
    「あぁ。変わった事ない?」
    「はい。万事通なく。先にお食事になさいますか?」
    「そうする…腹減った。先に着替えてくる。」
    「かしこまりました。」

    そう短く会話を終える。
    荷物を一つずつ持ち、話しながら部屋に戻る2人を後ろから見送った。
    まるで熟年夫婦だ。

    「エイト、パノンにいじめられたりしてない?」
    「してないよ!あ…むしろ可愛いって言われた。」
    「…は?どういう事?」
    「思ってたより、可愛かったんだって僕。」
    「いや…マジでどういう事???」


    …エイト様、それでは誤解を招きます。
    そう、後ろ耳に会話を聞きながら、私は食事の準備に向かう。






    そのまま、私は2人に食事を振る舞った。
    ククール様の視線がどこか鋭いのは、気のせいではないだろう。
    その後、食事を終え、エイト様が離席する。
    例のケーキを取りに行ったのだと思う。


    「…エイトに可愛いって言ったんだって?」
    「おや。やきもちですか?」
    「オレがいない間に随分仲良くなったんだな。」
    「そうですね…ククール様に飽きたら、私の所に来て下さるかもしれません。」
    「真顔で言うな!そんな日は来ませーん。」
    「そうですね。大事になさって下さいませ。あんな素直なお人はいませんよ。」
    「…当たり前だろ。」

    そう言い、ククール様がニッと笑う。
    守るものが出来て、より逞しくなった気がする。


    「おまたせしました!」
    「えっ…。」
    「おぉ。」

    エイト様が両手でケーキを持って登場する。

    「ククール、パノンさん。僕を家族として迎えてくれて、本当にありがとうございます。感謝の気持ちを伝えたくて、ケーキを作ってみました!」
    「えっ!おまえが作ったの!?これ!?」
    「なかなかの手際でございましたよ。」
    「へへ…早速取り分けるね。」
    「器用なヤツだな〜とは思ってたけど。すげーな。」

    エイト様はククール様にケーキを取り分けると、空いた席にまた一つケーキを取り分けて置く。

    「これはパノンさんの分ですよ。」
    「ありがとうございます。お二人をお部屋にお送りした後に頂きますね。」
    「そんな味気ない事言うなよ。早くそこ座れって。紅茶でいいよな?」

    ククール様がニヤニヤしながら言う。
    エイト様は、じっとこちらを見つめている。

    …これは、お言葉に甘えるべきだろう。


    「…ご馳走になります。」
    「…っ!はい!」

    エイト様が嬉しそうに微笑む。

    主に紅茶を入れさせ、主のパートナーからケーキを振る舞われる。
    先代が見たら、殴られるだろうな。

    そんな事を思いながら、私は家族のテーブルの席に着いた。





    【完】


    夫婦とお父さんの話。
    そんな感じで書きました。

    実は④より先にちまちま書いていたやつ。
    日の目を見て良かったです。

    お読み頂きありがとうございました。


    2023.04.08 黒羽
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