偽愛におちて隣に座っている小さな男を見るとカルエゴはいつも胸に違和感を感じていた。心配?興味心?それはどちらともしっくり来ない気持ち。いつの間にか目で追っていて、気がつけばいつも隣にいようとしている。側にいれば体の力が抜けるし、あまり気にした事のない自分の感情の激しさや意外と動いた表情筋に驚くくらいには心を許している。
「どうしたのカルエゴくん」
「いや…」
しばらく学園生活を共にして、まるで心を許してもらえたように、シチロウは俺の前では躊躇なくマスクを外すようになった。そんなシチロウに応えるように昼食はもう学食を取らなくなったし、二人であまり人が来ない中庭で隠れるように食事を楽しむようになった。食事が止まっている俺の事を心配して、コロっとした目で俺を見つめてくる。ふいっと目線を逸らしては静かに食事を再開した。
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