たまご日記のはじまりイルマが言う、トモダチ同士になって、そして恋仲になった。シチロウとカルエゴの距離はそこから変わらないまま、ただお互いがそばに居る世界に何にも疑問はなかった。
「………見つけちゃった」
シチロウは森の奥でそう一人呟いた。すっかり寝不足になった目を何度も擦った。
目の前には卵が数個、木の幹の中にそこにあった。本に載っている写真と瓜二つ。探し求めていたものがそこにあって、シチロウは喜ぶ…つもりでいた。その卵はシチロウがずっと求めていたものだ。これを探し求めて森に出てきて数日、見つけた瞬間喜ぶどころかシチロウは少しだけ後悔をした。
「………」
一人無言がしばらく続く。一つ、その紫色の卵を持つと、シチロウはそれを静かに抱いた。
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