彼は食べられたのだろうか?目が覚めると何故か涎垂らした馬鹿ヅラがいて、あぁコイツは寝顔も馬鹿っぽいな…と納得して、ふとここは何処だ?と辺りを見渡す。
頭が酷く痛い。どうやら二日酔いのようだ。
昨日は確か居酒屋で同期である加古と堤と来馬とコイツの5人で呑んでいたはずだ。だが今は畳ではなく、派手なピンクな床で、天井も目が痛くなるようなミラーボールが回転している。
どこだここは
派手なクイーンサイズのベッドに2人横たわっている姿に、いい予感がするはずもなく、急いで太刀川を叩き起こす。
「ん〜、なんだよ二宮、俺は眠い……」
「ウルセェ、バカ川、ここ何処だ」
「あ〜? ラブホだけど?」
「は?」
ラブホ? コイツ今ラブホっていったか?
……
うそだ。
「どう、いう、ことだ?」
地の這う声で太刀川に問いかけるも、当の本人はまだ眠いのかむにゃむにゃと何かを言っているが聞こえない。
とりあえずもう1発はたく。
「いってぇ…なんだよっもう、お前が酔って気持ち悪いっていうから近くのこのラブホで介抱してやったんじゃんか」
「……」
段々とクリアになってきた頭に昨日の記憶が蘇る。
そうだ昨日は羽目を外しすぎて、気持ち悪くなって、太刀川に担がれたのだ。
そして到着したこの部屋の風呂場でずっとコイツは背中をさすってくれた……。
「……悪かった」
「いーってことよ」
そうか…だから自分は下着以外何も身につけていないのか。確か汚れるからって脱がされた気がする……?
そこからの記憶は酷く曖昧で、なんかふわふわした感覚だけは覚えている。
ふわふわして太刀川の声がひどく心地良……かった??
思い出そうにも脳みそが働いてなくて、ふと視界に入った太刀川の姿に疑問が浮かぶ。
「……お前の服も汚れたのか…?」
太刀川は上半身何も身につけていないのだ。
「あーうん、そう」
「……弁償する」
「いやいや、大したことないからっ」
「そんなわけ……っ…………?」
なんだ今腰がビリッとしたような?
腰辺りを確認しようと体を捻る。そこで目にした鬱血痕。
己の身体をよく見ると、何故か至る所に、小さな鬱血の跡があるのだ。
虫刺され…? にしては変だ。
そしてようやく気づく。
今身につけている下着は昨夜履いていた柄ではないことに……。
「……おい」
「へ」
「どういうことだ?」
「な、何が?」
俺が身体の状態を確認していると目の前の相手はこっそりベッドから降りようとしていたので引き止める。
「太刀川テメェ…俺に何した?」
「えっ〜〜と……つい魔が……いやいや………あ〜なんていったらいいのやら……あ、味見?」
てへ、と、訳の分からないことをほざいたので、渾身の右ストレートをかましてやった。
終わり