薔薇にまつわる話 蛍光灯がぱちぱちと瞬きする廊下を進み、階段を駆け上がる。
階を駆け上がった先に『ロナルド吸血鬼退治事務所』と書かれた扉。
扉の硝子越しに事務所の明かりが消されているのが分かる。退治人であるロナルドが不在のため灯りを落としたのだ。
扉を開き薄暗い事務所の明かりを灯す。おかえりなさい、と言うように大きな目を瞬きさせるメビヤツに帽子を預けて扉の鍵を閉めた。
そのままロナルドは事務所を抜けてリビングに続く扉を開く。そちらは明かりが灯されている。
「おや、おかえりロナルド君」
キッチンで動き回る同居人が顔を上げた。黒いエプロンを付けた同居人、ドラルクはいつも通り夜食の準備中だったようだ。
おう、と応えてそのままドラルクの方へと向かう。
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