那珂ちゃんと不穏なおじさんDM(仮)…の導入部「離脱状況は」
敵軽空母の懐に酸素魚雷を炸裂させながら神通は言った。そのわずかな隙を見咎めるように、研ぎ澄まされた無数の殺気が殺到する。もはや精度は問題にならないほどの物量で襲い掛かる砲弾の回避は、神通をもってしても容易ではなかった。弾幕を中ほどまで抜けたところで右腕のカタパルトがひしゃげ、腰部の魚雷発射管の天板がえぐり取られる。後退する神通は即座に魚雷発射管を二基ともパージすると、すぐさま誘爆が起こった。爆風を利用しどうにか距離を取ることに成功する。破片が頬に赤い筋をつけた。
「竹、桃、共に後方三! 三海里です!」
「あなたたちも全速で離脱なさい」
「でも、それじゃ神通さんがっ!」
「離脱せよ、と言っているの」
12486