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    かづき@FF14そうさく

    @azeosaru

    ねちねちとしょうせつかくひと。
    基本うちの子ばなしばっかり。よそのこもかりることある。

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    静なるテロリスタ 家族とのアレコレ静かなるテロリスタ現未❌

    ただの妄想話なので流し読みがオススメ。

    雨耶の弟妹が出ます。

    彩霧(あやむ)
    雪依(ゆきよ)
    凪雲(なぐも)






    『約束、守れないかもしれない。ごめん』


    それだけでも、彼は一気に憔悴した。


    雨耶から来たメッセージの後、彼の向かった美術館でテロがあったと報道があったのだ。
    それを聞いた彩霧は血の気をサアッと引かせて、急いで出かける準備をした。もちろん、2人の妹と母親も一緒にだ。
    そうして出かけた先、病院で治療を受けている自身の血を分けあった兄に出会って色々な感情が、どれだけ交差し続けただろう。

    「雨耶……」

    そっと、額に触れる。栄養失調らしく、少しだけやせて見えた。

    「……どうして、こんなことに……雨耶……父さんの代わりになるって……言ってただろ……」

    今にも泣きそうな声で、彼はつぶやく。周りにいる家族に聞こえないように。
    それからというもの、彩霧は雨耶の病室に入り浸るようになってしまった。
    分かってはいたが、認めたくはなかったのだ。

    自身が、どうしようもなく雨耶の存在に頼りきっていたことに。

    「……俺は……雨耶がいないと……ダメなんだな……」

    ポツリとつぶやく。雨耶はいつも謙遜して自分なんて、と言った後には必ずと言っていいほど自分より彩霧の方が凄いんだと、自慢の弟だと得意気に話すのだ。
    そんなことはない。
    雨耶だって努力家だ。毎日毎日、考古学の本を読み解いては知識として身につけている。
    だからこそ、自分を大事にしてほしかった。

    今回も、どことなく嫌な予感はしていたのだ。
    止めるべきだった。

    「……雨耶、お前までいなくなったら……俺は……」

    それ以上は、情けなくなって声が出ない。

    どうしたらいいんだ、なんて。

    自分で考えることだとは分かっている。
    それでも、半身を失いたくはなかった。


    ………………。


    それからしばらくして、彩霧は病室へと走っている。
    院内では走らないで、という言葉も全て無視して向かっていた。彼のいる部屋へ。

    ちょうど戸を開けた頃、そこには検査が終わって疲れたのか溜め息をつく雨耶の姿があった。

    「雨耶っ!!」
    「……彩霧?」

    柘榴色の瞳と瑠璃色の瞳が互いに混ざり合う。
    フラフラと彼の元へ行く彩霧は、もたれかかるようにして雨耶に抱きついた。

    「よかっ……」
    「……久しぶり、彩霧」
    「こわ、かっ……お前が……いなくなるんじゃって……」
    「……本当に、ごめん」

    彩霧を抱き締める雨耶は、そっと背中を撫でる。
    その光景を部屋の外からうずうずして待っている妹たちに目をやり、こちらにおいでと手招きをした。

    「雨耶にいちゃん!!」
    「兄さん……! 心配しました……」
    「うん、皆……心配かけてごめんね。母さんも……」
    「雨耶ぁ〜!! もー、雨耶まで同じことになってたらぁ……! お父さんのこと恨むとこだったよぉ!!」

    びえーと泣き始める母に、4人はキョトンとした顔をしてから笑う。
    久々の家族団欒の時間、それは幸せで何にも変えられない──彼女がくれた大事な時。


    数ヶ月後、テレビから聞こえて来た声に雨耶が小さく笑っているところに、彩霧はやって来る。

    「何かあったのか?」
    「……テロリストを起こした人が目を覚ましたらしくてね」
    「……? 怖い思いをしたんじゃないのか?」
    「したよ、凄く……とても」
    「……父さんの死因も、事故ではなくて殺されたんだって言ってたな……」
    「うん……ねえ、彩霧」

    呼ばれて、彩霧は見ていたテレビから視線を外して雨耶に顔を合わせた。
    柘榴色の優しい瞳と、瑠璃色の凛々しい瞳が混ざり合い、互いの瞳には京紫色が映し出される。

    「聞いてくれる? 僕が……あの美術館で体験した、全てのことを」
    「……聞くよ。雨耶の話すこと、全て」

    それに満足気に微笑むと、雨耶は語り始めた。

    これまでのこと、今までのこと、それからこれからのこと。

    全てを、半身に伝えていく。


    ただ、これを話せるのはここにいる血を分け合った半身だけなのだと分かっているから。


    救ってくれた彼女に想いを馳せつつ、彼は隣にいる弟に静かに語るのであった。


    あの時の、静なるテロリスタたちのことを。



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