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    utsu2_sh

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    utsu2_sh

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    #長谷部くんのお夜食レシピ
    賑やかしに参加!

    #燭へし
    decorativeCandlestick

    似たもの同士「おっ、これはうまいな」

    コロッケの山からひとつ取ってかぶりついた鶴丸は驚いた。

    夕飯にでるコロッケが好きだ。
    じゃがいもはホクホクとしていて甘みがあり、時おり肉や人参玉ねぎが顔をのぞかせて舌を楽しませる。
    季節によってトウモロコシや枝豆が混ざったり、そもそもじゃがいもではなくさつまいもやかぼちゃ、里芋なんていう時もあって、それは食べる時まで分からない。
    同じ毎日を過ごすよりも、新しい未来を好む鶴丸にとって、コロッケは宝箱だ。

    しかしコロッケが酒のつまみになるかというと、違うと思う。(好みによるだろうが)コロッケはおかずであり、酒のつまみではない。
    そう、思っていた。

    しかし今食べたコロッケは、つまみであった。

    さすがだぜ、光坊。

    鶴丸はひとり頷いて麦酒を飲むと、次のコロッケに手を伸ばす。そしてひと口食べてまた驚いた。

    「違う、だと?」

    先のコロッケはつぶしたじゃがいもに玉ねぎとベーコン。バターの風味を感じながら、多めの粒マスタードがきいてあっさりめの後味。
    今口にしたコロッケは、千切りのじゃがいもとひき肉、粉チーズに黒胡椒のアクセント。
    どちらもコロッケでありながら、紛うことなき酒のつまみであった。

    「凄いぞ、光坊!!また腕をあげたな!!」

    斜向かいの席でだらしなく肘をつき、グラスをかたむける光忠に声をかけた。

    「おっ……どうした?」

    いつもなら素直に喜びの感情を顔と言葉にのせてくる男が、舌打ちで返したのだ。その横に座っていた大倶利伽羅が面倒くさそうな表情をしてこちらを睨んだのも気になる。
    かわいい後輩たちが、急に反抗期を迎えたような気になってしまう。

    「な、なんだ?」

    鶴さんお返事もしてもらえないようないたずらはまだしてないはずなんだがな……と思いながら聞き返す。

    「これはぁぁ!はっせべくんがぁあああ!作ったんだよおおおおお!!!」

    あっ察し。

    なるほど、それで今日の光坊は荒れてるってわけか。
    合点がいった。

    「今日も光坊の作っただし巻き玉子はうまいなぁ」
    「ありがどう、づるさん……でもおいしいよぉ、はせべくぅん」

    二種類のコロッケを交互に口に運んでは、グイグイと酒を飲みすすめる光忠の背中を大倶利伽羅がなでてやっていた。

    「今日の光坊は泣き上戸だな!」

    同意を求めて隣を向けば、不貞腐れて酒をあおる長谷部の姿があった。
    顔は正面のまま目線を一瞬だけこちらにやると、長谷部は再び光忠を見る。
    その視線は鋭く、長谷部の想いを知らねば光忠に根深い恨みでもあるのかと疑ってしまうところだ。

    「貴様、胃袋をつかめと言わなかったか」
    「言ったな」
    「どこが効き目があるんだ?」
    「いやぁ、なぁ……」

    頬をかきながらなんと答えて良いものかを鶴丸が考えていると、その腕を光忠につかみ取られる。

    「おぉっ?」
    「ねぇ!鶴さん!まず胃袋を掴めって言ったけど!僕よりできる長谷部くん相手に何作ったらいいのさ!!」
    「お、おぉ、……ヒッ」
    「貴様、燭台切にも同じことを言っていたのか?」

    光忠に手をつかまれた鶴丸を射抜かんばかりの強さで睨みつけながら、長谷部は鶴丸のもう片方の手をつかむ。


    「ねぇ鶴さん!」
    「鶴丸国永ァ!」
    「お、お前さんたち今日はちょっと飲みすぎじゃないかぁ……?」

    惚気で胃もたれになりそうだなんて、驚きだぜ……
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    takekavat

    DONE同棲中な冬のリーマン燭へし。お題はまいじつ燭へしから、「猫舌の燭台切×汗だくの長谷部」。
    冬のへしは寒さですぐ鼻の周りとかほっぺたとか赤くなっちゃうと可愛いなと思う。
    うちについたら「昼はラーメンにしよう」
     長谷部がそう言いだしたのは、ある冬の休日の昼前。
    「いいね、たまには食べにいこう」
     頷いてそう応じれば、
    「俺たちの部署も最近忙しかったし、これだけ働いてるんだから外食くらい許されるだろ」
    にやりと笑って返される。燭台切が料理を好きなので、あまり二人は休日に外食をすることがない。だが最近は忙しいせいで少し億劫さを感じていたのも事実だ。それに気づいたうえでの提案だとしたら嬉しいけれど、聞いたところできっと彼は首を縦に振らない。だからそれには触れず、歩いて15分ほどのラーメン屋に向かう。


     長谷部は福岡出身なのでとんこつが好きなのだが、味にこだわりがあるようで彼が認めるとんこつを出すラーメン屋は少ない。このラーメン屋でもとんこつではなくごま醤油を頼む。それでもとても美味しそうに啜るから見ているだけで幸せになる。カウンター席の隣に座る長谷部を見ながら、僕が長谷部くんを好きになった決め手はものを美味しそうに食べるところなのかもしれない、と思っていたら、
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