過去に囚われている三途とそれを見ていい気がしない蘭お話今迄で、俺が手に入らないものなんて数える程しか無くて、『欲しい』と思った物は何がなんでも手に入れなくては気がすまなかった。
それは『物』にしても、『人物』にしてもそうだ。手に入れたいと思った人も、物も、どんな手段を選んででも手に入れた。
それが当たり前だと思っていたし、誰も俺のやり方に口を出すものなんて居なかった。
弟の竜胆さえも、兄貴の俺のやり方に口を挟んだことなんてほとんど無い。
だからこそ今回、初めて簡単に手に入れることの出来ない事実に直面している。
そもそも俺が誰かに恋愛感情を抱くことも無ければ、強い興味を持ったことも殆どなかった。もちろん初めはこの恋愛感情は嘘だと思っていたし、信じてなど居なかった。
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