いづるくんとみそぎちゃん『久々にお会いしませんか』
かつての顔馴染みから時候の挨拶と共に手短な連絡が届いたのは突然のことだった。
前触れらしい前触れもなかった。審神者になってお互い数年。就労にはまだ早い若年の審神者を養成する研修会で彼女とは出会い、就任した最初の頃は講習やら途中経過の計測やらで共に召集される機会も多く、隅の方にいた縁で友人をやっていた。
小柄な少女だった。素直で世間に疎く、人に騙されることも多かった。臆病になっていた彼女は他の女審神者候補と違って俺に色目を使ったり、変な目をこちらに向けてきたり、また詮索もしてこなかったので気楽だったとも言える。異性の友達、ということにはなるが、「そういう目」で見る必要の無いのは俺にとって得難いもののひとつだったように思う。
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