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    T8D89

    @T8D89

    書き途中のモチベ上げだったり、熱を発散させる場です

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    T8D89

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    書き途中だった三部作モブ部下による懇親会完成しました!
    ついでにちょこちょこと内容も変更したり

    モブPCIA兵による三部作長官談義 ピリポリスとある街角にある特殊なバー。否、バーとしては普通の、どこにでもある酒を提供する大人の社交場だ。ただ、この店の特異な点というのが──

    「悪い、遅くなった」
    「まぁ、PCIAに属している者からすれば超過勤務なんて当たり前だからな。仕方ない。それに、最近じゃ多忙だとも聞いたぞ新作。中で聞こう。原作が席取ってくれているからな」
     似たようにサングラスで目元を多い、何処かの軍部に属しているかのような風体である。

    「お、原作いたいた!遅くなって悪かったな」
    「待て新作」
     バーは大人の社交場というのもあって、全体的に洒落た照明に会話の邪魔にならない程度に絞られたジャズもいい感じだ。金曜日なのだからもっと混み混みしているかと思えばこの店はいつだって閑散としていた。マスターに片手で挨拶をし、いつもの店の角席へと足を進めれば床に片膝をつき、両手を組んで一心に祈る男の姿があった。

    「初っぱなから飛ばしすぎだろアイツピンポイントで照明当ってんのが何かむかつく」
    「……大丈夫か?薬でもキめてるのか?」
    「違う──ドラコルル長官に思いを馳せていたら祈りたい衝動に駆られただけだ」
    「やっぱり薬キめてんじゃんやばい幻想抱いてんじゃんやだぁこんなのが俺たちの大本だなんて」
    「失礼な。うちではみんなこうだぞ」
     急な意味不明な行動にまだ年若い新作の青年兵は取り乱し、少し大人びている旧作兵にしがみついた。
    「取り敢えず祈るのをやめようか──信じられない者を見る目やめろ」
    「お、お前達は祈らないというのか……?あの方を見て……?それは本当に同じドラコルル長官なのか?」
    「祈りはしないけど勃ちはする」
    「語感がいいのが腹立つな。新作の若造、とりあえず黙ってろ」

     無理矢理ソファのボックス席へと二人を座らせ、テキパキと注文を頼み、テーブルを拭いてお手拭きとお通しをそれぞれの前に置く旧作兵を眺めながらお通しを摘まむ原作兵が感嘆の色を滲ませる。
    「いつも思うが、面倒見がいいというか……」
    「友達が家に来たときのかーちゃんみてぇ」
     チョコの入った包み紙を次々に開け、口に放り込むまだ若い新作兵が揶揄する。
    「何言ってるんだ。長官の身の回りの世話はこんなもんじゃないぞ。あの人はすぐ散らかして期日がすぐの重要な書類を無くして夜中俺たちも散々探し回って……」
    「待って、身の回りの世話って下の世話も入ってるのかそこの所を詳しく教えて」
    「新作、卵焼き来たから先に食え」

     ここまで来ればおおよそがお分かりの通り。三部作PCIA兵達による社交場──「長官に対する熱い思いの丈を語ろうの会」発足後、初の懇親会であった。そもそもなんでそんな会が発足するまでに至ったのか、それには彼らなりの影の交流が色々とあるのだがまぁそこは割愛。

     各々飲み物を手に、音頭もそこそこに貴重な時間の本題へと移る。

    「まずは俺の──いや、俺たち原作PCIAが長官に対する想いであるが──ドラコルル長官は神である。崇拝すべき存在。悪魔的頭脳の持ち主であり、軍神にしてそのカリスマ性を持ち我々を導いてくれる尊き御方。本来ならば同じ地に足をつけともに戦うなぞ恐れ多きことしかしあの方はそれをお許しになったそれ即ち──「まってまってブレーキかけてッ!急にアクセル踏み込みすぎて俺たちスタートラインにすら立ててない!」
    「この店に入った時点でかなり振り落とされていたがな」
    「取り敢えずヤバイ宗教の臭いがした。そっち行ったら無理矢理改宗させられそう」
    「踏み絵させられるだろうな。そして改宗しなかったら燃やされる」
    「やだ怖い」
     まだ語り無いという不服を存分に感じ取ったが男は注文したウォッカを流し込む。アルコール度数は高いが、これも彼の敬愛し崇拝する原作のドラコルル長官が好んで愛飲しているものだ。崇拝する存在と同じものを口にしているという事実だけで、彼の機嫌が幾分かは和らいだようだ。──それも恐ろしい話だが。
    コップの中の氷がからん、と軽やかな音を立てたのを合図に次の男が手を上げた。

    「じゃあ、次は私だな」
     年功序列として次に口を開いたのは落ち着いた様子の旧作PCIA兵だ。原作PCIA兵の男は一見寡黙であるがこちらはそれとはまた違った、男の年季を感じさせる。
    彼の愛飲するものはビールのようで、少しの苦みと喉越しの良さ、料理を選ばないスタンダードさが面倒見の良い男の性格を表しているようだ。

     その時新作の若造はというと、枝豆を一人頬張っていた。

    「そうだなぁ、うちの長官は確かに声も態度もでかいし大事な物をよく無くすし仕事が出来るくせに面倒くさがって期日をギリギリまで延ばし、ヤバいと危険を察知すれば責任を部下に押しつける。あとはかなりの気分屋だ。でもまぁ──可愛いもんさ」
    「今の可愛い要素あった?」
    「……本人にしかわからないものがあるんだろうな」
    「可愛いだろ?手の掛かる子ほど」
    「お母さんじゃんそっちの長官っていい年っていうか結構おっさんじゃなかった」
    「というか、何でもかんでも部下が手を掛けちゃ上司の為にもならないだろう…?」
    「すぐ調子乗ってしまうけれど、うちの長官は可愛いから良いんです」
     ドンッと空いたグラスをテーブルに叩きつけ吠えるも、「えぇ…」という何とも微妙な空気が流れ始める。この際、長官の年齢云々は置いておいて、それは部下としてどうなのかと再度やんわりと問えば、旧作が口を開いた。
    「あんまりにも聞き分けがなかったらいっぺん尻を引っぱたいてやれば暫くは大人しく仕事するから大丈夫だ」
     ん?と首を傾げそれは比喩なのか?と二人がよくわかっていない空気が帯びはじめたので旧作は自らの膝をスパァンッと叩き、小気味の良い音を立てた。

    「違う。叱る時はちゃんと叱っている」
    「子ども離れしようよ、お母さんねぇ、それって言っても大丈夫な情報だった聞いちゃいけないやつじゃないちょっと特殊なプレイだったんじゃない」
     知りたくもない裏事情を覗き見た気分だ。脳裏で旧作のドラコルル長官がドヤって大声で笑っている姿が思い浮かばれるが、今後彼にあったらどんな顔をすればいいのか慌てふためく。もうそういった目でしか見ることが出来ないかも知れない。たとえそれが彼の自業自得だとしても。そもそもそれで暫くしか大人しく出来ないのか、そんなに日常茶飯事なのかなどと色々気になる点はあるのだが掘り返せば掘り返すほど覗いてはいけない世界が広がってしまいそうだ。
     新作の若造が旧作をお母さんと呼ぶ隣で、原作は自らの崇拝する男を思い浮かべそっと祈った。良かった。うちはきちんとしていて──と。

    「でもそこが可愛いんだ。」
     わかっただろう?と問う男に内心冷や汗を掻きながらもこの場で一番年若い青年が口角を引き攣らせる。
    「うんうんそうだね。もうわかったことにする。これ以上そちらの長官の黒歴史開くのも悪いし」
     まだ甘い物の方が飲みやすい年齢なのか、カルーアミルクを一口流し込んでから、彼はじゃあ、次は俺ね と意気込む。

    「うちのとこのドラコルル長官って、とりあえずエッチなんだけど──」
     
     とりあえずエッチなんだけど──とまるで居酒屋の注文で「とりあえず生で!」とビールを頼むノリで突然そんな話を切り出され年の離れた二人はきゅ、と唇を噛み締めそれは同意していいものかと密かに悩ませた。確かに若造の言う長官はまだ年若く、凜とした姿勢で常に落ち着き払っている。モテるタイプであることは明白だがエッチという表現は正しいのだろうか。
     原作兵はそんな不純な想いを長官に抱くことさえ罪だとして、今にも彼の心の中にいる長官像に平伏し懺悔したい気持ちが沸き立つがぐっと理性で押さえ込む。此処でそんなことをしたら向かいに座す旧作兵に尻を叩かれかねないと自然とそう思えたからだ。
    向かいの席では旧作兵も黙って何とも言えない表情を浮かべている。
     ──確かに、うちの長官にない魅力を持っていることはどちらの長官を見ても明らかであるが、うちの子は可愛いんだぞ、と謎の対抗心を密かに燃やしていることなど誰が気づくだろうか。
    「まず声がね、えっちなの。絶対特殊な声帯なんだと思う。長官だけ俺たちと違う声帯持ってる絶対。んでもってあの声で褒められたり叱られたりするじゃん?あ、俺、戦艦の操舵手の一人なんだけど──まぁ、勃つよね」

     静寂、沈黙。
     背後に流れる何処か古めかしい音楽が場を占める。どうして急に二人が黙ったのか気にもしない若造は新しい注文でカシスオレンジを頼んでいた。

     重々しく、苦々しく口を開いたのは重鎮とも呼べる原作兵だ。
    「お前、仕事中に……」
    「しょうがないだろ。勃つもんは勃つんだし俺、若いし」
    「おまっ、まさか、そのまま操縦してるのか…?」
    「だって、そんなに何回も抜きにトイレに行けないだろ?それに空調設備は最新式だから大丈夫!あとさ、身体の別の部分に力を入れると治まる時もあるんだぜ」
     何が大丈夫なんだ、とかそれだとお前任務中ほぼずっと勃っているってことにならないか?とか、そんな部下が身近にいるなんて普通に長官が可哀想だなとか言いたいことは色々浮かぶが、喉を通らないのは呆れからか、この若者が一度口を開けば流暢に喋り倒すから挟みこむ隙がないからなのか──。
    「あ、勿論声だけじゃないぞ、いや、確かに声もえっちなんだけど隣にいつも副官がいて、この副官が結構ガタイ良くて、二人が並ぶと体格差も凄いんだよ。身長差はそんなんでも無いけど厚みが違うっていうか…。長官だけなら“あ、引き締まった身体してえろいなー”って思うんだけどそんな長官の隣にもっとガタイのいい男がいるとちょっと華奢な感じがして、“うっわやっぱりエッチだなぁ”って」
    「若造、お前の語彙力それしかないのか。時代の弊害か?」
    「え、じゃあ艶めかしい?」
    「やめろ、生々しい!」
    「あと、うちのドラコルル長官、絶対副官と寝てると思うんだよね。いつも距離近いし、長官のパーソナルスペースが壊れているのか副官限定なのかわからないけど、俺たちから見ても近いんだ。普通に並んでいるだけなのに、なぁんか一歩近いんだよね。いやいや、本当だって。普通に並ぶだけの距離じゃないってみんな言ってる。──ってことはやっぱりデキてるんじゃないか?って思うわけ。あれは直接見ないとわからないと思うけど、すっごい二人の距離が近いの。何でって思うぐらい近いの。そんなに近づく必要ある?ってぐらい。俺たちだって長官と話したいのに、目の前に副官が立ちはだかっててさーあの人も悪い人じゃないんだけどデカいからまんま壁だし、報告の内容によっては副官が判断するし……それで思ったんだけどそんな長官“人妻”っぽくないかって思ったらめっちゃ勃つなって……」
    「どこでそう判断したんだお前。認識阻害でも入っているのか」
    「一度休暇取ったらどうだ。頭の病院行きますって言えば絶対休暇取らせてくれるだろう」
    「俺だって、別にNTRが好きってわけじゃない。二人の仲に割って入りたいわけじゃない。ただ、眺めていたいだけなんだ」
     確かに、傍らに常に男がいたように記憶しているが、それは部下として上官の話を聞き漏らすまいという姿勢──と判断したかったが、改めて二人で新作の長官を思い起こすもその隣には必ずといっていいほど体格のいい男がいた。右腕というよりも最早ドラコルルの一部として認めた方が良いのだろうか。。
     ──というよりも、ただただこの青年のメンタルがやたらと強いのは、やはり時代の成せる技なのだろうか。二人としてはそちらの方が恐ろしいとして酒でちびちびと唇を濡らしていた所、やはり何の臆面も恐れもなく口を開いたのは新作兵だった。
    「そっちの長官はさぁ、本当に将軍と寝てんの?なんかそういった噂こっちにまで流れてくるんだけど」
    「……そこは、いや、…あの人も成人している身だしな、私から何か言えることは……」
    「いや、成人云々じゃなくておっさんの尻叩いておいて何言ってんの、あんた部下立ち位置じゃなくてやっぱり保護者なの?お母さんなの?」
    「それが事実であるかは定かではないが……こ、個人的に遊びは程ほどにしてもらいたいというか……」
    「まぁ勝手なイメージとしては、相手を取っ替え引っ替え遊んでそうだよなぁ。そういうの気分で楽しんでそうだし。機嫌さえ良ければ誰の誘いでも受け入れてくれそう」
     ダンッと空いたグラスを叩きつける旧作に、ヤバイ言い過ぎたか?と冷や汗を流しながらお母さ…旧作の顔をそっと覗き見る。
    「外でそんな外聞を流されているということはやはりうちの長官の躾が行き届いてないということだっ!やはり今すぐ問い詰め場合によっては──…」
     苦悶の表情を浮かべ、立ち上がり掛ける旧作を向かいに座る新作が必死に宥める。
    「待って待って!ただのイメージっ あくまでもイメージであって事実がどうとか俺じゃわかんないじゃん!?冤罪かも知れないのにいきなり夜中に叩き起こされて尻引っぱたかれたら流石に可哀想でしょ 唐突にそんな特殊プレイ始められても困るよ」
    「固定イメージにしてもだいぶ酷いがな」
    「原作さーん、ちょっと黙っておいてくれませんかね!それに、折角こうやって集まることが出来たんだし今は酒の勢いもあるだろうから思考が落ち着いてからでいいじゃない!ねっ?」
     あと、そういう面倒なことは自分の本部に帰ってからじっくりやって?と言外に匂わせ落ち着かせる。正直言って、帰ってからそちらの長官の尻がどうなろうが知ったこっちゃないが、今の時点で巻き込まれたくはないのだ。とりあえずこの場の空気を変えようと、ヘラヘラとした顔のまま今度は一人酒を呷る原作に今度は目をつけた。

    「俺、思ったんだけど原作の長官って男前すぎて“抱いてた筈なのに終わってみたら抱かれてた”ってなりそうだよな」
     ヴェッフォッ
     これ以上ないと言っていいほど盛大に咽せ、憐れウォッカの虹がバーの内装と照明でもってキラキラと架かる。喉を焼け付くアルコールと、呼吸困難に陥り背を丸め盛大に咳き込む背を旧作が撫でつつも、テーブルの上に零れた酒を布巾で拭いて片付ける。皿の中身はほぼ無かったからいいようなものの、突然の発言をした新作の若造はマイペースに乾き物を食べている。少しは気にして欲しいものだ。
     ヒュー、ヒューと少し落ち着いたのかテーブルに肘をつき、なんとか起き上がってきたが、サングラスの奥の目は涙目であろうことは容易に知れた。
    「おまッ…、あの方にっ、なにを不埒な思いを…ッ!せ、聖域を穢すことは大罪だぞッ」
    「まぁまぁ、落ち着けって」
     聖域と言いだしたことに僅かばかり遠い目をした旧作からお冷やを受け取り、ぐびりと煽る。水がアルコールで焼き付いた喉を冷ました。
    「だって、尻で抱きそうだし。実際どうなの?抱いたことあるの?」
     ゴッフォッ
     本日二度目の虹が架かる。綺麗か汚いかで言えば汚いのだろうが、作った本人が殉教者さながらにそのままソファに倒れ込み、祈りを捧げるように手を組んで気を失ってしまったので、そんなことは些細な問題だ。とりあえず意識が戻るまで原作はそっとしておこうと暗黙の了解になったわけだが、この惨事を生み出した若造は「大袈裟だなぁ」なんて暢気なものだから旧作は口元で笑みを作りつつも有無を言わさぬ雰囲気を纏って「それ以上口を開くな。何だったらお前の尻も引っぱたいてやろうか」と、無言の圧を掛け布巾を手渡せば、不服そうではあるが母親に叱られた時のように渋々とテーブルを拭くのだった。

    「でもこうやって見ると本当に三者三様の長官達だよなぁ。んでもって、全員えっち。」
    「お前、ちょっと黙っとこうな。狂信者にそういった話題はデリケートだからな」
    この青年はこんだけ口が回るのに、よく情報機関であるPCIAに属することが出来たな
    ───などと思うところがありつつも、こうして懇親会の夜は更けていくのだった。


    おまけ

    原作PCIA兵
    三人の中でも一番精神的に老成している。原作長官は聖域であり宗教。という考えが原作PCIAの中での共通認識。

    旧作PCIA兵
    お母さん気質。一番手の掛かる長官なので旧作PCIAは色々と振り回されることが多い。実は三人の中でも長官との肉体的な関係が唯一ある希有な存在。

    新作PCIA兵 
    若さが暴走しているが、副官の目があるため妄想で終わらせるムッツリタイプ。最近では二人の関係を疑っているため毎日職場が楽しい。

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