「はいプレゼント」
クリスマスの朝。簡単なラッピングに包まれた小さな箱を手渡され、箱とアゼムを交互に何度か見比べる。目の前にいる恋人の頭にはどうやら人助けの方法だけで無く、クリスマスの知識も一応は入っていたらしい。
直前まで忘れてたような顔をしているが、まぁ今日渡したのだから不問にしておいてやろうと思いつつ、ラッピングを解くと最近話題になっている口紅のパッケージが現れた。
「ほお。悪くない選択だ」
「なんか流行ってんだって?気に入ってもらえてなにより」
へへ、と笑って話すアゼムに口元が緩むのを隠すようにため息を吐く。それからパッケージを開け色味を確認してから唇の上を走らせた。
ザクロのような赤色が唇に乗り、その鮮やかさに胸が高鳴る。
「似合ってる」
アゼムの言葉にさらに胸が高鳴り、照れ隠しにふっと鼻を鳴らす。
「お前のセンスも捨てたものじゃないな」
「エメトセルクに似合いそうなものは分かるよ」
そう言って顔を近付けてきたのを緩やかに躱し、もう一度鼻を鳴らす。
「ちぇ」
バツの悪い顔をしたアゼムが妙に面白くて、鏡で顔を隠し喉の奥でクツクツと笑ってやると眉間のシワが刻まれていく。
「でも似合ってるのはほんとだよ。流行ってるだけあるね」
「ん、まぁ色味もあるが他にも理由はあるぞ」
「そうなの?」
ピンときていない顔をしたアゼムのシャツの襟元を掴み軽く引っ張り、そこへ軽く口付ける。目を見開く姿は最近見ていなかったな。
「ほう……やはり謳い文句にするだけあって色が移らないな」
綺麗な白色を残すシャツにわざと残念がってみせると、そこと私を驚いた顔で見比べるアゼムにまた喉の奥を鳴らした。
「ああ残念だ。せっかくなのだから残してやりたかったが」
「絶対残念だって思ってないだろ」
「さてどうだろうな」
目を細める私に呆れ顔をするアゼムが面白くて、顔を近付けてやる。
「残るくらい強く口付けしたほうが良かったか?」
「……それって誘ってる?」
「好きに解釈しろ」
フッと聞こえた笑い声と共に腕を引かれる感覚がした。