君の世界『最下層』 「俺なんて、初めから生まれなければよかったのに」
「俺はあいつと一緒に居たいだけだったのに、どうしてこんなことを」
「……くるしい、死にたい」
あぁ、なんて悲しい声なのだろう。声の主はどれ程の苦しみを……。
目が覚める。視界は真っ暗闇。
一歩先も、何もかも見えず、真っ暗だった。
その中で声だけが聞こえる。後悔と絶望、ずっとずっと繰り返される嘆き。
私は、生きている安堵よりも、その声の主が気になって仕方がなかった。
「ストレイボウ、何処だ……」
誰に教えられるわけでもなく分かっていた。声の主はストレイボウだと。あいつはこの空間の何処かに居ると。
手を前に出し、障害物が無いか確認しながらゆっくりと歩み出す。
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