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    kor_game87

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    オルストss7話

    #LAL_腐

    君の世界『第5層』 落ちた先は、闇だった。
     真っ暗闇、ではない。両手を広げ、仰向けになった時に見えた視界は、黒と血の色を混ぜた赤が渦巻いていた。何処かで見た景色だ。
     その場から身体を起こしゆっくりと立ち上がると、べちゃ、と何かが地面に落ちた。
     視線をそちらに向ける。すると、自分の背に粘ついた黒いものがへばりついていたらしく、辺り一面にそれらが地面に広がっていた。べたべたとした泥、と言えば良いのか。それは浅い沼のように、何もない空間に地平線まで広がっている。
    「何だこれは、瘴気……? 酷い臭いだ」
     つんとした感覚がする臭いがする。視界は薄い霧がかかっていて、それの臭いだろう。魔王山のものともまた違うが、少なくとも良い匂いとはとても言えない。
     臭いと泥が鎧に纏まりつく。立っていると気分が悪くなったので、当てもなく歩き始めた。歩けば歩くほど、靴の裏に泥がへばりつく。泥に足を取られ、転んだが最後、顔や全身に泥がついてしまった。水のように流れることも、乾くこともない。執念、または怨念のように、その泥は私の体についてくる。
     瘴気もまた、歩けば歩くほど強くなるようで、臭いが濃くなってきた。
    「……!」
     しゅるり、と泥の中を何かが通った。気のせいだと思ったがそれはすぐ否定される。何匹もの蛇が、泥の中を泳いでおり、時折私を見てはシャーと舌を出し威嚇していた。
     蛇達は私の周りを一周すると、同じ方向へ泳いでいく。
    「あそこに何かがあるのだろうか」
     導師君が居てくれたら、と心の中で呟いた。だが彼にばかり頼ってもいけない。そもそも現実世界ではストレイボウに導いてもらってばかりだった。今度は自力で行かなければ。彼に依存してばかりでは、いけない。

     蛇の流れに沿って泥沼を歩く。沼は、段々深くなって、足元だけだった泥は膝まで浸かってしまった。まだ深くなるようで、蛇達は魚の群れにように身体を動かし泳いでいく。私は足を止める。
     次の瞬間、ぞわりと身震いがした。この先には行ってはいけない、本能がそう告げる。
    『これ以上はいけない。取り返しがつかないくなる』
     それが何がとは説明ができないが、そうとしか言えないくらいに、悪寒が止まらず足がすくむ。
     すると蛇達が、私の足元に纏わりついた。
     くるくると何匹もの蛇が足に巻きついて、巻きつく場所が無くなった蛇は、私の足元を泳ぎ足を掬う。
     ふらついて身体のバランスが取れなくなり、背中から泥沼へ落ちる。落ちた瞬間泥沼は一気に水深が下がり、蛇の群れは私に襲いかかって泥沼に沈めた。

     深く深く、蛇は私を泥沼の底へ沈める。息が出来ない、苦しい。
     このまま窒息して死んでしまうのだろうか、まだ彼の、ストレイボウの事を何もわかっていないのに。ここまで来て、私は死んでしまうのだろうか。
     いや、本来ならこの世界にいる方がおかしいのだ。私は魔王山頂上でブラックアビスを受け、あの時点で死んでしまう筈だったのだから……。
     私が憎くて、殺してしまうのが望みだったのだろう? ストレイボウ……。



     「死ぬべきなのは、俺のほうだったんだ」

     頭の中から、声が聞こえる。

     「死んで、消えてなくなるべきだったのは、俺のほうだったのに」

     また声が聞こえて、私は泥沼の中で意識を失った。
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