満ちるときぎし、とベッドが軋んで高峯が俺の上へと覆い被さってくる。そのまま唇へと降ってきた熱に思わずびくりと肩が跳ねた。構えてはいたけれど、未だ慣れはしない。そんなガチガチな俺を気遣うように繰り返される優しい口付けに、無意識に強張っていた身体がゆっくりと解けていく。出会った頃よりもうんと広くなった背中に手を回せば、嬉しそうな吐息が溢れた。
ちゅっ、とリップ音を立て、顔を離した高峯の瞳は一段と蕩けている。親しい友人にも、大好きなゆるキャラ相手にも、ファンにも、誰にも見せない俺にだけ向けられる顔。入学したばかりのあの頃、今にも死にそうな表情をしていた彼からは想像もつかない。ましてやそれを一身に向けられるようなことになるなんて。
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