ONLY THE BLUE KNOWS 「きりゅうちゃん、明日の誕生日デート行かへん?」
そう言われて、特に断る理由もなかった。
午前中から動きたいから、と今朝は少し早めに起きて指定された服に着替える。そして巨大なターミナル駅から銀色の車両に二人で乗り込んだ。
既に小一時間は揺られているのだが、行き先はわからない。
今日は自分と色違いのシャツを着た隣の男に向かって、いったいどこへ行くんだ?と問うように目を合わせてみたが「そんな遠くやないで」と言うだけではっきりした答えは得られない。
どうやら教える気は無いらしい。
着いてからのお楽しみやとでも言うように目を細めて意味ありげに微笑むだけだった。
ならばこちらもこれ以上は追及せずに楽しみにしておくとしよう。
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