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    先日呟いてたネタ。
    メカクレ五とめぐの先輩後輩パロの冒頭だけチラッと書いてみた。
    めぐみくんは頭良くて優等生だけど、サボりたい時はサラッと消えるタイプの子です。

    五条悟、通称『メカクレ先輩』。
    身長は約190cmと高く、手足も長い。スタイルはとても良い。
    だがしかし、五条は良くも悪くもない意味で目立っていた。
    先に言った通り、五条はスタイルはとても良い。良いのだが、その上にくっつく頭は常に白くて長い髪で顔も半分ほど覆われている。鼻から下が見えるくらいで、生まれつきだというプラチホワイトの髪は人目を惹くのに、いつもボサリとしていて何とも根暗な雰囲気を出していた。
    そしてその横には同じような身長と体格をした夏油傑と、小柄だが常にタバコの匂いを纏わせた家入硝子が常にいた。男女共に訳隔たり無く良いも悪いも言う家入と、社交性も高く顔も良い夏油と比べられては笑われる事が多かったが、それでも五条はあまり気にしてはいなかった。それよりも自分の顔が世に出る事の方が嫌だった。


    そんな五条にも少し気になる子が出来た。

    今年入ってきた新入生の中に、その子はいた。
    入学式で新入生代表として登壇し、凛とした落ち着いた声で宣誓を読み上げた男子生徒。
    なんで男子生徒になんか、と最初は五条も思ったがツンツンと撥ねた黒髪、切れ長の目元、細くて長い手足が妙に惹かれたのだが『新入生代表、伏黒恵』と最後に名乗った名でハッとした。

    小さい頃に出会った、めぐみだと。

    面影はある。あのツンツンした毛先は変わってなくて、遠くから見ても綺麗な翠色の目も。
    途端に五条はまためぐみに会えたと内心歓喜でいっぱいになったのだが、すぐにその気持ちは自らによって打ち消された。
    今の自分は、めぐみと話せる見た目でも、人物でもない。あの頃、ずっと一緒にいようねって約束した自信いっぱいの自分ではないと。
    心の中に陰った雲を払うように、五条は目に前髪が入ったふりをして頭を少し振った。




    「今年の新入生は粒ぞろいだねぇ。悟、かわいい子見つけた?」
    「生憎お前みたいにとっかえひっかえは性に合わないんだよ」
    「どっちもどっちだよ」
    「あ、硝子ォ、言うねぇ」
    「一人はヤリチン、一人は童貞」
    「包丁出されるよりはずっとマシだろ」
    「そうだな、一回刺されたらどうだ」
    「それは嫌だなぁ」

    オリエンテーションを終えた新入生達が校舎から出てはしゃいだり笑ったりしている姿を、五条達3人は教室から見下ろしていた。校内紹介の合間の自由時間で、思い思いに過ごす姿に、五条はうっすらと自分たちの事を思い出すがすぐに忘れた。そして、どうせここから見たら全員それなりに見えんだろ、と言った五条に対し、夏油は言えてる、と笑う。
    風に吹かれて舞う桜の花びらに囲まれて、新入生達はとても輝いていた。
    前髪の隙間から右へ左へと視線を移せば、先ほど壇上で見ためぐみの姿が見えた。あ、めぐみだ。と一瞬思ったが、五条は人知れずその表情を曇らせた。
    めぐみのその隣には、ピンクベージュに染まった短髪の男子生徒と、ボブが似合う女子生徒が一緒にいる。男子生徒が何か言って、女子生徒が何かを言い返す。それにめぐみが何かを言えば、3人は笑いだした。大口を開けて笑う二人と違って、めぐみは少し下を向いて口元に手を当てて笑う。可憐なその表情と仕草が可愛らしかった。

    そうだね、めぐみはそうやって誰かと一緒に笑ってるのが似合うと思う。

    そう心の中でめぐみに語りかけて、五条は言葉に出来ない産まれたばかりの感情に蓋をした。

    「あれ、悟どこに行くの」
    「屋上、サボる」
    「気が向いたら私も行こうかな」
    「勝手にしろよ」

    窓から離れ教室から出て行った五条を見送り、夏油は再び新入生たちを眺めていると、そこにふと見知った少年の姿があった。

    「あれ、悠仁だ」
    「知り合い?」
    「そう、後輩だね」
    「どの子」
    「あれ、さっき新入生代表で宣誓した子も一緒だ」
    「あー…女みたいな名前の子。で、どいつだ」
    「なんだっけ…いいや、悠仁経由で仲良くなろ」

    ほら、悠仁はピンクっぽい髪の子。すっごい根明で良い子なんだよね。善人すぎるくらい。その横が新入生代表。その隣が…わかんないけど、硝子とタイプ似てそうな女の子だね。と言って夏油は笑った。











    新入生が来た日は、特にやる事がない。先生たちは走り回ってるし、授業と言っても担当が変わったら自己紹介をするだけ。引き継いで持ち上がった先生なんて、雑談で終わる。遠くから新入生たちの明るい声が聞こえてくる程度。教室にいても居なくても、どうでも良かった。
    俗にいう根暗、だが、五条はやる気がない時はやらない。サボるときはサボる。を徹底していた。いわゆるポリシーというものだ。

    普段は鍵がかかっている屋上だが、夏油がどこかから鍵を入手したのをきっかけに、それを複製して勝手に出入りしている。
    今日も暖かい春の陽気が気持ちよくて、大きく息を吸って、吐く。深呼吸をすれば幾分頭の中がすっきりした気がした。ごろりとそのまま寝転がれば真上に来る太陽が眩しい。目を閉じれば、やがて昼寝にはちょうど良い天気と気温のせいで近寄ってくる睡魔には抗えず、五条は眠りの世界へと入っていった。



    しばらくして突然開けられた屋上の扉に、五条は深い眠りにいたために気付けなかった。

    教師でも夏油や家入でもない人物が、そっと扉を閉めて五条の顔を覗き込んで影を作る。
    風に吹かれて流れた髪の毛は顔を覆い隠すことはなく、そのままの姿を見せていた。


    「…さとるくん?」



    凛とした声が、五条の名を呼んでいたことに。


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