彰冬(+杏こは要素)「…………は?」
日課のランニングを終えて部屋に戻ると、ふたつ並んだベッドの片方に冬弥の姿がなかった。
冬弥が使ってるのは手前のベッドだ。起きてトイレにでも行ってるか、それとも寝返って床に落ちたのかと思ったが、違った。
カーテンの隙間から朝日が零れて、その明かりが照明の落ちた部屋を照らす。おかげで、見つけることができた。奥の壁に面したオレのベッドで眠る、冬弥の姿を。
「…間違えた、のか…?」
オレが部屋を出てたのは一時間くらいだ。当然だが、一時間前はそんな状態になってなかった。なんなら、オレは目が覚めた時に冬弥の後ろ姿を見てる。
部屋を出る前に枕も布団も畳んじまってるから、真っ平らなシーツの上で横向きになって寝てる。バスローブのままだし、そんなベッドにわざわざ寝直すとも考えづれえ。トイレにでも行った戻りでこうなったんだろうと自分を無理やり納得させた。
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