貴方の瞳は「…。」
「…？」
「…は～っ…。」
俺は今困惑している。凄く困惑している。
なぜかって？
エッドがやたらと俺の目を見てくるからだ。そしてたまに「は～。」とか「ほわぁ～…。」とか言ってる。やたらと興味津々にな。
流石に俺も痺れを切らして、
「…なんでそんなに俺の目を見てくるんだ？」
と聞いた。
そしたらエッドが
「だってトムの目って真っ暗な瞳の中で凄く奥に青い色が動いてるんだもん。それを見てたの！」
「はぁ…？」
俺にそんなものがあるのか？
「それってただ太陽とか電気の光が反射してるだけじゃねぇの？」
「ううん。違う。光が反射してるわけじゃない。」
「なんでわかるんだ？」
俺の体なのに不思議で仕方ない。まぁ、客観的に見ることが少ないからなんだろうけど。
「えっと、その、え、えっちのときとかも見えるし…。」
「はぁ…。」
顔を赤らめながらエッドが言う。
可愛いと思うがやっぱり余計に？が浮かぶ。
「あと！出かけてる時も！」
だから最近やたら外でも俺の目を見てくるようになったのか。
「うん、まあいいや。ありがとな。俺も自分で確認してみるわ。」
「分かった！」








と、洗面所の鏡で自分の目を確認してみるも、何もわからない。
ただただ真っ黒なだけだ。
「やっぱり黒いだけだろ…。」
そうぼやいてリビングへと戻った。
リビングに戻ると、エッドがリンゴを撫でていた。
「ニャー。」
リンゴは心地よさそうに鳴いている。
「なぁ、エッド。なんもなかったんだけど…。」
「そっかぁ…。すごく綺麗だったからトムにも知ってほしいなって思ったんだけどな…。」
「ま、いいよ。お前のその綺麗な茶色の目を見れるだけで十分だ。」
「…！ありがとう！」
…俺の目は真っ黒だけど、”普通„と同じように見えるんだ。
けれどたまに眩むことがある。
そのときいつもエッドははっと少し驚いたような顔をする。
きっとその時に俺の瞳の奥底に青色が見えたんだろうな。
確信はないけれど、きっとそうだと思った。
俺の瞳はきっと







「トムの目は特別なんだよ！」
「そうなの…？」
「そうだって！だって僕ね、トムの目が海みたいにキラキラ光ってるの見たことあるもん！すっごくきれいだったもん！」
「ほんと…？」
「ほんとだよ！だから泣かないで！トムのきれいで特別な目が見えなくなっちゃうよ！」
「う、うん！ありがと…！エッド！」





「トム？」
エッドに名前を呼ばれてはっと我に帰る。
「大丈夫？なんかずっとぼーっとしてたよ？」
「ああ、ごめんな。」
「ううん！」
俺はふと気になった。
「なぁ、エッド。お前が子供の時俺の目について褒めてくれたの覚えているか？」
「きゅ、急だね、どうだろ？」
「そうか。」
まあそりゃそうだろうな。何年も前の話だもんな。
「…トムの目は…」
小さくそんな声が聞こえた。
「トムの目は特別なんだよ…なんて言ってた気がする…。」
「…！」
エッドが俺の方を向きながら言う。
「そう、そうだ！そう言ってたんだ…！」
「なんで思い出したんだろう？ふふっ！俺でもわからないや。」
へらっとエッドが笑った。
「今もそう思ってくれてるか？」
少し自信がなくなってそう聞く。そしたらエッドが
「当たり前でしょ？じゃなきゃトムの瞳だって見ないよ。」
呆れたように笑って言う。
「にしても、トムもよく覚えていたよね。」
「そりゃ好きなやつから自分のこと褒められたんだ。覚えてないはずがない。」
「俺たちお互いのこと大好きだな！」
「はっ。そうだな。」










真っ暗な闇の奥に、綺麗な青色がまた光った。