普通の日常「おい、起きろ。エッド。もう朝だぞ。」
大好きな人の声が聞こえるけれど、眠気に負けてなかなか起きれない。
「ん~…。にゃむにゃむ…。もう少し寝かせて…。」
そうトムにお願いする。
「…コーラ1日禁止にすんぞ。」
「それはやだ!」
そういって飛び跳ねて起きた。コーラは自分の眠りよりも大事だ。
「相変わらずコーラ大好きだよな…。ほら、朝ごはん食べにキッチン行くぞ。」
「はーい。」
そういってトムとキッチンに向かった。
「あれ?マットは?」
「散歩っていうか宝物という名のゴミを探しに行った。」
ゴミは言いすぎな気もするけどなぁ…と思うけれどまぁ確かに物が多すぎるから否めないよなぁ、なんて思う。
「そうなんだ。マットは相変わらずだな。」
苦笑いをした。
朝ごはんも食べ終わり、服も着替えて、トムと二人で一緒にソファーに座りながらまったりとしていた。
「…なあ、エッド。少し、散歩しに行かねぇか?」
「ん?いいよ。」
なぜかはわからないけれど、トムに一緒に散歩に行こうと誘われた。
トムから誘うのは珍しいことではないけれど、目的地を言わないのは珍しい。
「よし、行くか。」
特に持ち物も持つことなく、手ぶらで行くことにした。
「うん!」
どこへ行くのかはわからないけれど、楽しみだ。
「ねぇ、トム。いったいどこに行くの?」
「秘密だ。」
トムが悪戯っぽく笑う。
「そっかぁ。」
俺はそんな笑顔を見て、幸せになる。
「ふふっ!早くどんな所かみたいなぁ!」
「もうすぐで着くぞ。」
きゅっとトムに手を握られた。
びっくりしたけれど俺も優しく握り返した。
ほんの少しだけ歩いたら
「ほら、ここだ、着いたぞ。」
「…!うわぁっ…!」
そこは、俺が小さいころ、トムに秘密基地だって教えた場所だ。それに、一番最初に来たデートスポットだ。
一面が様々な色と花で広がっていて、けれどとても綺麗で。懐かしくて。
何度も見たことある、けれどすごく綺麗な景色だった。
俺は周りを見渡した。
一面が本当に綺麗なお花畑だった。
「ふふっ。凄く目がキラキラしてるぞ。」
そうトムに言われて
「えっ?!あ、ごめん…。嬉しくてさ。」
「喜んでもらえて良かったよ。」
どれほどその懐かしい景色を眺めていたかは分からない。
けれど、この景色を見れるということは、平和の証だ。
代り映えのない一日に、幸せを感じる。
「こんな普通の一日が幸せに感じるよな。」
と、トムが言う。
「俺も同じこと考えてた!」
そして、向かい合って二人で笑った。
いつまでもこの日常の中で幸せが続くわけじゃないけど、トムの隣にいることは変わらないでほしい。そう思った。