無限夏「はいどうも〜(ペコペコ)あぁ拍手ありがとうございます(センターマイクの高さを合わせながら)」
五「五条悟とぉ」
「夏油傑で、祓ったれ本舗です。よろしくお願いします〜…」
「(客席を見下ろすようにして満足気な笑み)」
「コラ悟、頭下げな(頭下げさせようとする)」
「(仰け反って抵抗する)」
「この…我がっ、強いな…(諦める)」
「見下ろされたい芸人ランキング堂々第一位の見下ろし、感謝しろよ」
「ないよそんな部門は」
「ちゃぁんとイケメンランキング一位取ってっからテキトー言っても大丈夫大丈夫」
「ああ、それは僭越ながら私もランクインさせてもらってたね。恐縮です」
「傑は三位だっけ? 顔面偏差値ダントツのコンビで、さらに最高におもしれーと来た。やっぱ俺ら最強だろこんなん。Yeah🤟(ハンドサイン)」
「あー、はは、私たちは高校からの仲なんですが、若い時はよく『俺たち最強〜!』なんて言ってふざけてたんですよね。若気の至りというか、なんでも出来る気がして」
「SI!(ポーズ)」
「♪お〜れたちは(途中まで振り)やらないよ?」
「ちょうどあの頃流行ってたの思い出してつい」
「この舞台でやることじゃないだろ、漫才をしにきているんだよ私たちは」
「でもちゃんと途中までやるんだよコイツ、カワイーだろ?(笑いながら)」
「怒るよ」
「へいへい。んじゃここで、俺の常々思ってることを発表したいと思いまーす。ドラムロール!(指鳴らす)」
「……(キョロキョロしている)……あっ私?私?もー……ドルルルルルルルル」
「ジャン!」
「ジャンも役目だと思ってたけど違った」
「アレ、あんじゃん」
「伝える気ある? アレって何?」
「ほら、一、十、百、千、万、億、兆、っていう桁のやつ」
「ああうん、算盤やってた人なら覚えがあるかもしれませんね」
「アレの後半さぁ、ごうがしゃ、あそうぎ、なゆた、ふかしぎ」
「で、無量大数だね」
「それだよ納得いかねーの」
「ほう。その心は?」
「無量大数は無限でよくね?」
「開発者じゃないから私に言われても困る。あと数学を学ぶ方々に怒られるよ」
「いやもうそんな学問的な話はナシで、偏差値50の話をしよう」
「なんだその誘いは」
「マジで考えてみ。これが生まれた当時、需要がどこにあったの? 実用性ってか、数えることある? 頭おかしくなるわ間違いなく」
「うーん……」
「なさそうだろ、存在意義」
「桁が繰り上がるシステムだからある程度余裕を持って設定したとか」
「うーん、ならまあ不可思議までは許してやるよ」
「偉そうだな」
「でもどう見ても投げ出してんだろ!!!無量大数は!!!!『量、ない。数、おっきい。』はもう思考回路焼き切れてんだろ!!!!」
「君がキレるなよ暑くなる」
「しかもさっき許した不可思議だけどさぁ、あれって言語で表現出来ないことって意味なんだぜ?ならそこでやめときゃよかったのに、愚かにもその上を夢想しやがったんだよ……」
「ふむ。数字のあまりの大きさに開発者が壊れた形跡だ、と」
「さっきから開発者って言ってるけどなんかやめろよ。責任感じちゃうだろその人」
「さっきから責めてるのは君だろ。じゃあなんて呼べばいいのさ」
「名称いらねーから。とにかく、無量大数は人間の普段の認識からすれば実質もう無限って言いてえの!」
「まあいいんじゃないの、今この場ではそれを適用しても」
「っしゃwiki書き換えてくる(はけようとする)」
「ダメダメダメ(腕を掴んで引き戻す)。ダメだよ。この場だけって言ったろ」
「なんでだよ!wikiは誰でも編集可能の玉石混交情報サファリパークだろーが!!」
「言い方が悪すぎる……」
「あ、そういやこの前傑のページ見に行ったら『特徴的な前髪は初恋の子に見つけてもらうためのトレードマーク』って書いてたけど…マジ?(引)」
「マジなわけないだろ誰だ書いたのは?本当にサファリパークじゃないか。ガセ情報を放し飼いにするな」
「ちなみにまだ文句ちょっと残ってる」
「ごめんちょっとそんな気分になれない」
「正直ごうがしゃから納得いってない」
「全然聞かないな。会話のキャッチボールをしてくれ。ハァ…で、なんで」
「漢字書ける?」
「まあ…恒河沙、らしいですよ」
「桁に3文字も使う必要ある?」
「まあ文書で出てきたら煩わしいね、出てこないけど」
「そんで10の52乗なわけ。想像つく?」
「いや」
「同様にそれ以上のもんも想像つかねーだろ。つまりここからも無限でいい」
「……みんながギリギリ想像つく範囲って多分京までだけど、それより後のはいいの?」
「で、俺と傑が初めて会った時のことなんだけど」
「今のは私の送球ミスか?ドッジボールになった」
「いいじゃんブイブイいわせてた青春の話しようぜ」
「振り返ると多分すっごいクソガキだよ私たち」
「お前がたまたまクラスの陰気な女子に声かけたらそいつに対するいじめが始まっちゃってクラス地獄化からの正論ヒーロー・ゲトーによる改心エピソード話す?」
「もう今大体言ったろ言うなよ。本当に申し訳ないあの子に……見てるかな、ごめんね……私が声をかけたばっかりに……私が火をつけて私が鎮火してしまって……」
「あん時の傑アオハルだったな〜……ウォ〜〜〜(両手で盛り上げを表現) SI!(ポーズ)」
「こんな気分で彰にはなれない!!!!!(クソデカ声)」
「あっオマエ彰がいいんだ…………」