雪朝、アラームよりうるさい声で目が覚めた。いや覚めたというより起こされたの方が正しいが。
「ジョージ!なぁ起きろって!」
「んだよ、うるせぇな…って寒っ!!」
布団から少し手が出ただけで感じる寒さ。スマショで時間を確認しようとしたが、俺は布団に潜り直した。
「今何時…?」
「今7時半!それよりチョーヤベーんだよ!外見てみろよ!」
「あぁ?なんだって…あっこらやめろ!布団剥ぐな!」
早く早くと布団を剥ぎ取られ仕方なく起き上がり、寒いのでブランケットを羽織る。てかこいつこんな寒いのによく平気でいられるな?
「ほら!ベランダ!すげぇ積もってる!」
「はぁ?何が?」
ベランダを覗くとそこには雪が積もっていた。そういや昨日の夜、少し雪が降り始めていて、エィスが、朝積もってるかな?って言ってたっけな。いつも見慣れている景色が雪に覆われていた。どうりで寒いわけだ。
「ヤベー!チョーテンション上がる!雪だるま作れるかな?」
「雪なんて珍しくもねぇだろ?」
「いやいや、こんなに積もるのなんてそんなにないだろ!」
正直、雪で遊ぶなんて事は子供の頃に沢山したので、こいつみたいにテンションが上がる事はなく。どちらかと言うとベッドに戻って二度寝したい。
「ジョージ」
「あ?何…ぶふぁっ!」
エィスの方を向いたら顔に冷たい何かをかけられた。言うまでもなくその正体は雪。
「冷てぇ!何すんだいきなり!!」
「あははっ!目覚めるだろ?よかったな…わぶっ!」
仕返しに油断してる所へと同じように雪をかける。いつもみたいに怒るかと思ったが構ってもらえて嬉しい子供のような笑みを浮かべていた。
「うわっ冷たい!やったなー?」
「いや、そっちから仕掛けてきたんだろ…おい、なに次を用意してるんだお前」
よっぽど雪が積もったのが嬉しかったのか、せっせと雪玉を作り始めたエィスを後目に、これ以上やってたら部屋に入って床が濡れるし、何より寒くて耐えきれなくなってきたのでベランダを後にする。
「なぁ、近くの公園とかも積もってるかな?後で見に行かね?雪だるま作りたい!」
「作らねぇよ、子供じゃあるまいし…」
「そっか。不恰好な雪だるま作って俺に笑われるのが嫌なのか」
「言っとくけど、俺は雪だるま作るのめちゃくちゃ上手いからな?」
後で覚えとけとよ。と付け加えればその意を理解したのか嬉しそうな笑みを浮かべた。
綺麗に作られた雪だるまに瞳を輝かしながら、スゲー!とか言うこいつの姿が目に浮かぶ。
誰かと一緒に作るのは子供の頃以来で、雪うさぎとかも作って見せてやるかなど思うぐらいには少しだけ楽しみになっていた。