宵っ張りの宮野にとって、これくらいの時間はまだまだ活動時間だ。
波に乗っていればもう少し勉強したり、もしくは趣味のBLを読んでいたりと日によってまちまちだが、今夜はそのどちらも早々に放棄してベッドに転がっている。
右手には携帯、左手には相棒の抱き枕を握りしめて。
「あと……10分」
――日付が変われば、佐々木先輩の誕生日。
こんなにも誰かの誕生日を待ち遠しく思うのは生まれて初めてだ。
家族や友達を祝うときとは違う、どこかくすぐったいような気持ちになる、初めての恋人の誕生日。
「電話しようかな、どうしようかな……」
抱き枕を抱えこんで携帯の画面に映る佐々木先輩の連絡先を見ながら、電話とメールどちらにしようか悩む。
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