咳がひどくて過呼吸になるお話(pixiv再掲)ひどい咳で目が覚めた、デュースに体温計を手渡され表示されたのは38.6℃改めて数字として認識すると、もっとダルくなった気がして見なきゃ良かったなんて意味のないことを考える位には身体が熱くて何より咳が止まらない
そんなオレを見てデュースは登校前で忙しいというのに喉が痛くても食べやすいようにとスープを飲ませ、薬まで用意してくれた
オレが寂しいから学校へ行かないで、なんて冗談言う必要もない程デュースの方が心配して、今日は休んで付きっきりで看病するなんて言い出すもんだからそこまでしなくて大丈夫だと無理矢理学校へ送り出した
その後はやっと寝付いても咳で起こされる繰り返しで全然眠れなかった
【喉いた…しんど、喉乾いた…水…】
ベッドサイドにデュースが置いていってくれたペットボトルに手を伸ばすが力が入らず床に落ちてしまった。
その瞬間だばーっと涙が溢れ出す
【やばっ、涙出た…っ、熱で涙腺緩んでるだけだし…べつに…寂しいとかそんなんじゃねえし】
ペットボトルが取れなかった位で泣くなんて自分でも意味がわからなくて布団に潜った、泣いたらもっと辛くなるだけなのに涙は全然止まらなくて、泣き過ぎたのか頭もズキンズキンと痛みだす
「げほっ、ごほっ、はっ、けほっ、ひゅっ」
【あ、れ…なんか息しづらい】
苦しくて手足に力が入ってぎゅっと背を丸めて耐える
座った方が楽かもしれないと思い、起き上がろうとしてバランスを崩しベッドから転げ落ちた。
力が抜けて座ることもベッドに戻ることも出来なくて床に倒れたまま時間が過ぎる
どれ位の間そうしていたのかわからない、苦しくて息が出来なくて意識が朦朧としてきた時エースは気づいていないが、デュースが部屋に入ってきた
「ひゅっ、けほっ、っ、はっ、はぁっ」
「エース!?」
咳で過呼吸になってしまったエースを起こし抱き抱えるように座らせ背中を擦る
「はぁっ、ひゅっ、げほっ、っう゛ぇ」
「苦しいな」
「ごほっ、はぁっ、ひっ、げほっ」
「難しいだろうけど、大きく吸って吐いてみよう」
「けほっ、はっ、はーっ、はーっ」
「そう、上手だ」
エースの呼吸が落ち着いたのを見計らって抱き抱えてベッドに寝かせる
「でゅ…す?」
不安そうな顔でエースが訪ねる
「どうした?」
汗ばんだ前髪をはらっておでこに手を当ててみるとかなり熱い、朝より熱が上がっているのかもしれない
「学校は…?」
「こんな状態のエースを一人で放っておけないから早退するよ」
「でも…、げほっ、げほっ」
「ほら、咳辛いだろ、無理して話さなくて良い
このままじゃエースが心配過ぎて授業なんか手につかない、だから、側にいさせてくれ」
「うん…ありがと」
「お昼用意してくるから、眠れそうなら少し休んでてくれ」
「ん…」
【熱い…しんどい…】
エースは疲れ果てて眠りについた
デュースが食事を用意している間エースが眠れているようで安心し、しばらく寝顔を見つめていると目を覚ました
「んぅ…」
「あ、起きたな、お粥作ったんだが食べれるか?」
「…わかんない」
【デュースが作ってくれたご飯、凄く嬉しいけど、今は食べれる自信ない】
「一口だけで良いから、そしたら薬飲もう」
「んっ」
デュースがスプーンを近づけると小さな口が開く
「気分悪くないか?」
「だいじょーぶ、でも、もう食べれない
せっかく作ってくれたのにごめん」
「食べれてえらいぞ、謝ることじゃない薬飲んだらまた休もうな」
「…デュースが帰って来てくれて本当に良かった…息苦しくて一人は怖くて」
ぽつり、ぽつりとエースが不安だったことを話してくれた
「うん、うん、怖かったな、僕が側に着いてるからな
と言ってもただ見てるだけで何もしてやれなくてごめんな、代わってやれたら良いのに」
「側にいてくれるだけで安心する
それに苦しむデュース見たくないからオレで良いの」
「エースは優しいな、早く良くなりますように」