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    1_raru3

    ブレワシリーズ書いてます。
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    pixiv未掲載作品。覚醒武器シリーズ、司編。時系列は本家ワンマジ後。

    笑顔の光、導くは輝きの王 ワンダーランズ×ショウタイムをはじめとしたフェニックスワンダーランドの仲間が、来場客を、えむの兄達を、SNSを通じて見た人々を笑顔の魔法に包んでから数日。フェニランの宣伝大使となることが決定した司達ワンダーランズ×ショウタイムの面々は練習のためにワンダーステージへと集まっていた。
    「提案なのだが、今日はセカイに行かないか?」
    「司くんからセカイへ行くといった提案は珍しいねぇ。一体どうしたんだい?」
    「なんとなくの感覚で悪いのだが、なんだかセカイに行かなくてはいけないような気がしてな」
    「だいじょーぶだよ!あたしもミクちゃん達に会いたいし!」
    「ま、いいんじゃない?ほら、さっさと行こ」
     こうして、4人はセカイへと繋がる曲を再生した。虹色の光が包み込み、セカイへと導かれる。セカイはいつも通りの賑やかな吹奏楽が流れる、明るく楽しいセカイであった。違和感や異変は感じられない。
    「着いたけど…特に変なところは見当たらないように見える。司、どんな感じ?」
    「うぅむ…少なくともここではないと感じるな。もうちょっと他の場所に行ってみるとするか」
     4人で歩いていると、少し向こうからぬいぐるみ達が「ミンナ〜!」と駆け寄ってきた。
    「おぉ、お前たち!元気にしていたか?」
    「ゲンキダヨ〜!」
    「ネェネェ、今日ハショースルノ?」
    「ショーもするけど、その前にちょっとやることがあるの」
    「そうだ、お前たち、最近セカイで変わったことはなかったか?いつも以上に不思議なことが起きていたりとか…」
    「不思議ナコト?」
     ぬいぐるみ達は可愛らしい仕草でうんうんと首を捻っている。しばらく待っていると、ハロウィンショーの時期に喧嘩をしていたうちの片割れである犬のぬいぐるみがア、と声を上げた。心当たりがあるようだ。
    「どうしたの?なにか思い出した?」
    「アノネ、旗ガ光ッテタヨ!」
    「旗?どの旗かわかるかい?」
    「オッキクテ、ヒラヒラッテシテルヤツ!ツカサクンガヨク振ッテ踊ッテル!」
    「あぁ、アレか!じゃあ目的地はカイト達がよくいるショーテント前だな!いつもあそこに置いてあるからな!感謝するぞ、お前たち!」
     司はぬいぐるみ達に感謝を告げると、そっと優しく頭を撫でる。ショーをする時にまた呼ぶとぬいぐるみ達に告げて、彼等と別れてショーテントへと向かった。
     ショーテントの近く、ぬいぐるみが話していた旗の近くまで来ると、KAITOとミクが手を振って呼んでいた。旗の方に目を向けると、ぬいぐるみが言った通り、キラキラと光っていた。司の能力のように旗の布地部分のみが光るのではなく、旗全体が眩しく光っていた。
    「ミクちゃん!カイトお兄さん!」
    「えむちゃ〜ん!みんな〜!」
    「カイトさん達もここにいたんだね」
    「みんなはどうしたんだい?」
    「それがだな…オレがなんとなくセカイへと行かなければならないような気がしていて。みんなに付き合って貰っていたんだ。恐らくこの予感はこれのことではないかと思っているのだが…」
    「え、司そうなの?」
    「あぁ。この旗を見た瞬間に直感したんだ。これがオレを呼んでいたのだろうと」
    「旗が呼んでいる…?一体どういうことだろう…」
     考え込み始める類の疑問に、KAITOが答える。
    「この前のプロジェクトワンダーを通して君達はみんなに笑顔の魔法をかけることができただろう?これを通して、君達はすごく成長した。特に司くんは大きく成長出来たんじゃないかな?このセカイがその成長を祝福して、穢れ達と戦うための新たな力として与えてくれたんだよ」
    「えーっと?」
    「この前のプロジェクトワンダーを頑張った司へのセカイからのご褒美ってとこ?」
    「ハーッハハ、このオレに新たな力を与えるとは!」
    「はいはい」
     いつもの調子で高笑いをした司だったが、少し戸惑っている様子であった。
    「司くん、どうしたの?その旗を掴むとその力を受け取れるんだよ?」
     ミクも心配そうに話しかける。司は眉を下げて困ったような顔をしながら答えた。
    「だって、プロジェクトワンダーの成功はみんなの力を合わせた結果だ。オレ一人の成果ではない。オレやお前達だけではなく、青龍院や他の協力者の誰か一人でも欠けていてたら成しえなかったことだろう。なのにオレ一人がその新たな力とやらを受け取ってもいいのだろうかと考えていてな…」
     その司の言葉に5人は顔を見合わせる。確かに司の言う通りではあるだろう。だが、彼等は司こそが受け取るべきだと思う理由があった。
    「違うよ!確かに誰かがいなかったら成功しないものだったかもしれないけれど、1番は司くんがいなきゃ絶対に成功しなかったものだもん!」
     えむはぐっと両手を握って力説する。
    「青龍院への説得だって、わたし達の中で1番ショーコンテストに思い入れのあった司のあの説得がなきゃ成功しなかっただろうし…」
     寧々は落ち着かないのか、両手を胸の前で弄りながらそれでも司の目を見てそう言う。
    「それに、あの大演説。司くんのあれがなければきっと全キャストの心を一つにして頑張ることは出来なかったと僕は思うな。それだけみんなの想いを揺さぶるものだった」
     類もスッと目を細めながら司の目を見て言った。
    「みんな…本当に、オレでいいのか?」
     司が再び確認を取るように問いかける。
    「もっちろん!司くんのための力なんだから!」
     ミクは飛び跳ねながら答え、
    「僕達も君に受け取って欲しいんだ」
    KAITOは穏やかな顔でそう言った。
     司の想いは5人の言葉で固まった。旗に歩み寄り、掴んだ。旗は輝きながら、姿を変えていく。
     大元の形こそは変わらないが、布地の部分は煌めいている。槍の穂先の根本にはオレンジ色に光るリングが浮いていた。旗の布地の先とリングにはダイヤ型の彼等のパーソナルカラーの宝石が付けられていた。旗の根本部分、元はオレンジの宝石が嵌め込まれていただけだったところにはパーソナルカラーの光のリングが浮いていた。黄色のリングには水色と青、ピンクのリングには薄ピンク、緑のリングにはオレンジ、紫のリングにはレモンイエローと赤のダイヤ型の宝石が付けられていた。
    「とても、綺麗だ。まるであの日を思い起こさせるような…みんなが寄り添っているデザインだな」
     司はその優しい煌めきを放つ旗に目を奪われていた。それは、えむ達も同様であった。
     は、と司は気がつく。自分の用事が済み次第練習にする予定であった。手に持っていた旗槍をそっと立てかけてあった台座に戻す。司の手を離れた旗槍はふわりと光り、元の旗の形に戻っていった。一番目を輝かせていたえむからの不満が飛ぶ。
    「えぇーっ、司くん、元に戻しちゃうの!?」
    「だーっ、お前達、オレの用事が済んだら練習をする予定だっただろう!練習するぞ!また今度見せてやるから!」
    「ほんと!?」
     司の言葉にえむは目を輝かせる。ああ、と司は同意を示した。
    「練習を始めるならばぬいぐるみくん達も呼ばないとねぇ」
    「そうだね。さっきショーする時に呼ぶって言っちゃったし」
     司達は話しながらショーテントへと向かう。これからの彼等を祝福するように、旗はきらりと輝いていた。
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