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竹谷八左ヱ門が久々知兵助と出会ったのは簡単なこと、ただ部活が同じ、それだけだった。八左ヱ門が初めて兵助を見た時、子供の頃から剣道をしていた八左ヱ門には、真面目そうで体格の悪い兵助は自分と同じ剣道部だとは到底思えなかった。
八左ヱ門たち剣道部には1つ上の代に部員がおらず、1年生の春に3年生の先輩が引退したのを最後に先輩と呼べる存在がいなかったのだが、八左ヱ門たちの代が丁度5人だったのでギリギリで団体戦を組めた。まず先鋒(せんぽう)が竹谷。次の次鋒(じほう)が尾浜勘右衛門、3人目の中堅が久々知兵助。そして4人目の副将、鉢屋三郎が繋げるのは大将の不破雷蔵。
最初の1年、部室も武道場もガランとしていたが八左ヱ門たち5人は仲良く楽しく頑張った。先輩がいないものの、団体戦でも個人戦でも割といい成績を取った。
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