ダイナー「お疲れ」
「あ、アガレス殿…待っていてくれたでござるか」
程よい疲労感を感じながらドアノブを回すと、すっかりと人の掃けたロッカールーム、ベンチにひとり、制服に着替えを終えたアガレスの姿があった。
受け答えに緊張が出てしまった気がする、ガープは背にひっそりと汗をかく。
◇◇
ここ数日、アブノーマルクラスは社会勉強の一環だとかで喫茶店店員のような実習を課せられている。学業に差し障りのない範囲で毎日異なるメンバーがローテーションで既存店のホールに立ち、客に料理やドリンクを提供するのだ。どこに魔術の修行要素があるのかは全くわからない。けれどむやみに薮をつつくと課題を積まれてしまうので、異を唱える者は居なかった。むしろ授業時間に学園外の空気を味わえるとあって、皆ノリが良い。
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