Sugar-rich DESIRE 自室で通信端末の画面を見つめながら、松井江は首を捻っていた。まさか、噂で聞いた催眠アプリなるものが実在していようとは。松井は少し調べてみたが、セキュリティ的に問題があるような情報は見当たらなかった。かなりの胡散臭さを感じつつも、興味のほうが先行してしまって、松井はそのアプリを端末にダウンロードしてしまっていた。
アプリをインストールしている間、松井は懸想している相手の顔を思い浮かべていた。松井の脳裏に浮かぶのは、燃えるような紅の瞳と、笑ったときに覗く白い歯。それらを想起しただけでも、胸の奥が甘く締めつけられる。
そうしてアプリを起動すると、端末の画面に操作方法の説明が表示された。操作は至って簡易なもので、起動してから画面に表示されているボタンに触れて、その画面を相手に見せると催眠にかけられるようだ。解除するにはアプリを終了させるか、端末の電源を再起動すれば良い、とも記されている。
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