貴方は白馬の王子様 ●
半グレ組織の鎮圧。まあ、ガンドッグのありふれた仕事だ。
渇いた銃声が二つ続いて、最後の一人の膝と手首に穴が空く。銃を落としながら、路地裏のアスファルトにターゲットが倒れ込む。出血と、苦悶の叫び。
「ハハハハハ――痛いかぁ〜? なぁ、おい、なあ?」
その頭部を踏みつけて、踏み躙り。拳銃を突きつけるサクラが軽薄に笑う。
「降参するか? ここで死ぬか?」
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サクラは最近、意図的な殺しをしなくなったように思う。
とはいえこんな稼業だ、激しい銃撃戦の中では不殺を貫き通すのも難しいが。それでも、敢えて殺しにいくような言動は幾らかマシになった気がする。さっきのように手足を撃って無力化するやり方が増えている。
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